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君と一緒に。

昔、親同士が仲良くて、家族ぐるみで良く旅行に行ってた。

向こうの家族には、僕より4つ下の女の子が居た。
僕のことを「お兄ちゃん」と呼んでくれて、僕も妹のように可愛がっていた。

遊園地に行った時の話。
夏休み真っ只中…大勢の人で混みあっていた。
「お兄ちゃん、迷子になるとあかんから手繋ないでや~?」
「しゃないなぁ~ほらっ。」

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「お兄ちゃん、メリーゴーランド乗ろうや。」
「えっ~、ジェットコースター乗ろうや~」
「いやや、怖いもん!」

「じゃあ、あれは?」
「観覧車?」
僕は妹を連れて、観覧車に乗り込んだ。
大勢の人混みを下にして…妹は、
「みんな、アリさんみたいやね(笑)」
「そうだね。そろそろ頂上だよ!」

「わぁ~、高い!」
観覧車を降りる頃には、夕暮れ時になっていた…

(館内放送)
「この後、19:30より夜空を色めく色とりどりの夏の花が咲き誇ります。今日という一日の終わりに夜空を見上げてみませんか?」

「花火があがるみたいやね!」
「お兄ちゃん、一緒に見ようね!」

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「お兄ちゃん、綺麗だね~。」
「また、見に来ようね!」

あれ以来…あの子には会っていない…親の話によると、父親の転勤で引越ししたらしい…

それから、数年が経ち…あの遊園地もこの夏をもって閉園するらしい…
あの日見た花火、また一緒に見ることは出来なかったけど…
僕は、今…その場所に立って花火を見てます。

元気してますか?

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