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「本とメイドの店 気絶」舎長インタビュー ②「気絶」の前身と舎長の由来、中野から湯島へ

「気絶」の前身と舎長の由来

「実は、メイドカフェをやるのは二件目でして」
「一件目があったんですね」
「ええ、当時名古屋にいまして、女性の友人がニートだったんですよ。何か働かないかと尋ねたら『メイドがやりたい』と。でも彼女は結構長い間ニートだったので、いきなりメイドのバイトを長く続けていくのは彼女に負担かなと思いまして。考えた結果、場所を借りてイベントメイドカフェをやりました」
「なるほど、最初は自分と友達のためだったんですね~~」

 優しさのベクトルが独特だけども。

「イベントメイドカフェの会場は知り合いのバーだったんですね。そうしたらちょうど、男装カフェを運営している方が連絡をくださいまして」
「お、なんかいきなり濃い人が。男装カフェの運営さん」
「土日の昼にバーを満席にしている実績を見てくれまして。『持ってる物件がスケジュールの関係で二か月だけ空いちゃうから、その間だけなにかやらない?』って誘われまして。これもチャンスだなあと思って、メイドイベントを連携させることにして引き受けました」
「人とのつながりでスケールアップしましたね」

 男装カフェも行ってみたい。

「二か月やって、『このカフェの経営、おもしろい!』ってなったんですよ。文化祭の準備をしている、あの高揚感が毎日続く状態。メイドさんも好きだったけど、あれこれ試行錯誤して店を繁盛させていく経営の楽しさにも気づきましたね」
「おお~~、経営を楽しめるっていいですね」
「ここでメイド喫茶をやっていくセオリーというか、店舗経営の基礎的な方法を身につけました。『気絶』にも生かされています」

 テストするのは大事。

「『舎長』という名前の由来もここです。『ねこねこ舎』っていうメイド喫茶だったんで、そこから舎長と呼ばれ続けています」
「社長でも店長でもなく、舎長。ユニークだとは思っていました」

 名前の謎は案外あっさりしていた。

「店を続けたいなあ、メイド喫茶がいいかなあとぼんやり思っていた矢先に、収入の柱だった広告制作の仕事の関係でいきなり仙台に転勤することになりまして……」
「えっ、仙台?」
「だったら仙台で店を出すのもいいかな、といろいろ準備していたら、決まらないうちに今度は東京への打診が。それからしばらく東京で働いていたんですが、依頼元の企業と仕事のスタンスが違ったので、契約を更新しないことにしました」
「あー、相性って重要ですもんね」
「そこで、今の貯金で始められる規模のお店をやろうと考えました」

中野から湯島へ

「じゃあ、いよいよこの店を始めるターンですか?」
「はい。『気絶』を作る際、最初は中野を考えていたんですよ」
「今の湯島ではなく、中野。確かにあそこもサブカル文化が色濃いですもんね」
「ええ。ねこねこ舎を手伝ってくれていた女の子が中野に住んでいたので、そこもちょうどよかった。『気絶』も手伝ってくれるとのことで」

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