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猫の集まる橋がある

 今日のエッセイにはオチがない。ただただ自慢したいだけ。

 シェアハウスの近所に橋がある。そこによく人が集まる。お目当ては最大九匹いる猫だ。

 茶トラや真っ黒など、毛色が異なる野良猫が九匹も集まっている。野良にしては体格がいいので、誰かしらが餌をやっているのかもしれない。

 普段は粗大ゴミの多い空き地で雨をしのぎ、晴れた日は橋の段差で日向ぼっこをしている。撫でても逃げなかったり、気持ちよさそうに目を細めたりする。猫カフェの猫よりよほど人懐っこい。

 人に慣れている猫もいればまだ警戒心の強い猫もいるようで。茶トラの大きな猫はめちゃめちゃ触らせてくれるが、黒猫はすぐ逃げる。何度も通う内に、少しずつ個性がわかってきた。

 人もたくさん来る。猫好きなおばさんや、おばあちゃんと孫のペアなどいろいろな人がやってくる。あるおじいさんは座っているだけで猫を引き寄せていた。あの境地に至りたいなあと思いながら、私は猫を追っかけまわして逃げられている。

 一般的に、多数の猫と触れ合うのはそう簡単なことではない。例えばこの前弟子と行ったレイクタウンの猫カフェに行けば、ツンとすました気位の高い猫を間近で見るだけで数千円かかる。モテるにはおやつを買わなければならない。おやつが切れるとあっけなく去っていく。

 しかし橋は天国である。日によって猫の数に増減はあるが、行けばほぼ確実に猫を撫でることができる。こんな幸せがあってよいのだろうか。豊かすぎる。

 特に、昼ご飯に魚を調理したときはモテにモテた。何せ、手をかざしただけで猫がやってくる。鼻をひくひくさせながら、私の手のひらにこすりつけていくのだ。こちらはにやけがおさまらない。

 シェアハウスに遊びに来た際はぜひ案内させてほしい。現代にこれほど豊かで平和すぎる場所があったのか、と驚いてほしいから。

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