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22|コンポストトイレと毛管浸潤トレンチ

うかうかしているうちに、家の取得日から一年が経とうとしている。市と県の移住者向けリフォーム補助金に取得から1年の縛りがあるため、ここにきて急に、5月半ばまでに水回りの工事を発注、6月末までに完了というスケジュールが明確になった。

目に見えるデザインや素材と同時に、排水の配管も決めないといけない。つまりそれまでに、屎尿と雑排水の処理システムを決めないといけない。


トイレは、コンポストトイレが優勢。カナダ製のコンポストトイレ輸入代理店の事務所を訪ねて話をきいたところ、なんとなく、できそうな気がしてきた。

話してくれたのは大阪弁の、ビジネスマンぽい、土の匂いのしない人。きけば、ご両親が退職後の田舎暮らしのなかでコンポストトイレを使うようになり、輸入代理店業をはじめたのを、高齢になってきたために引き継いだそうで、本業は別にある様子。

ご両親が田舎暮らしを始めたのは家を出た後のことだから、その人自身は、コンポストトイレ生活を経験していないらしい。

それでわかるのかな、と思わないでもないが、バックには生活の必要性からカナダの会社と取引を始めたご両親がいるわけだし、それほどエコロジーに関心のなさそうな人が商材として扱うところに、製品の一般性があるのかなとか、その人なりに感じている合理性があるはずだから、いいのかなと、思ったりもする。

いま有力なのが、そのご両親が、カナダの製品を使うなかで見えてきた改良ポイントを元に、国内で製造している製品で、カナダ製のほうが見た目が良いので売れるらしいが、それを長らく扱ってきた人が、わざわざつくったものなら、良いような気がする。

大小分離(大と小を分離するのが臭わないポイント)、非電化(臭気排出ファンをまわすのにだけ電気を使うが月100円分くらい)、容量が大きい。寒冷地でも大丈夫だとその人はいう(その会社で扱っている電気式のコンポストで月3,000円の電気代は温めるためではなく大小分離しないで水分を蒸発させるためのものだそう)。お腹がゆるくなったって大丈夫、けっこう許容力があるという。

本体はステンレス、撹拌する構造体が棒じゃなくて筒状なのも、許容力を感じるポイント。臭気を逃す管と換気のファンがついているのもいい。価格は20万円くらい。

仕組みはシンプルだから自分でもつくれそうにも感じるが、同じものを作ろうとすると案外難しい。ステンレスの溶接なんてできないし。その製品はコンポストトイレに関する知見の塊でもある。買おう。

コンポストトイレが良いと思うのは、微生物の働きが実感できて、微生物を通じたもののみかたが開かれて、世界観が変わりそうなところ。微生物が分解してることが、実感できるのがおもしろそうなのやよね。

中身の取り出しは3ヶ月〜半年に一回くらいだという。ほんとうに?というのはやってみないとわからないが、月に一回以上の頻度でなければ耐えられると思う。冬の寒さ対策も、トイレも断熱気密ラインの内側にいれる計画をしているから、心配しなくていいのかも。

と思ったのだけど、そうなると今度は、断熱気密との兼ね合い問題が出てくるのだった。

断熱は良いとして、気密とは、とにかく切れ目なく空気が漏れないようにすることだから、コンポスト内部から外に換気の管を出すのは、壁に余計に穴を開けることになって、気密と矛盾する。

かといって、トイレを断熱気密ラインの外にすると、微生物が働かない温度になりそう。

まさにジレンマ…

まあ、トイレの穴で気密性能が多少落ちることは、仕方ないのかな。


で、コンポストトイレにしたときに、もうひとつ問題になるのが生活排水で、これがコンポストトイレ以上に情報が少なくて、全然わからない。

コンポストトイレの事務所で教えてもらったのが、毛管浸潤トレンチ、通称ニイミトレンチ。新見さんという方が発明したものらしい。

土を広範に掘って、水が沁みないシートを敷いて、石をしきつめてから緩やかに水が染みていく陶器の管を設置、上に土を盛って植物を植える。土の中に、土を利用した浄化槽をつくる、ということだと思う。浄化性能は合併浄化槽と変わらず、非電化、ランニングコストもなし。

ならばこれがいいじゃないかと思うが、ネット上に乗っている情報はたいへん少なく、採用してる人は自分でつくっているようである。

毛管浸潤トレンチを紹介している会社のwebサイトには、自治体の下水処理場や、メキシコやブータンでの導入例が紹介されていて、仕事の規模が大きい。個人宅の相談なんて、のってもらえるのか?

排水に気をつけないといけなくなって、シャンプー等化学的なものはいっさい使えなくなって、ということは整髪料も使えなくなって、いっそ坊主にするのが合理的だねって生活になるんだろうか。

坊主の合理性について、しばし考え込んでしまう。なぜ坊主は坊主なのか…

案ずるより聞くが易し。電話をしてみると、おもいのほか親切に対応してもらえた。

はじめに実地調査が必要で、日当と交通費で来てもらえること。できるとなれば、指導者として1人来てもらって、人員はこちらで集めるやり方が可能なこと。その場合の費用は、土や砂利など、どれだけ使えるものがあるかにもよるが、交通費滞在費含めて15万円〜25万円くらいなこと。その会社以外で扱える代理店はほぼないこと。自作する人も多いこと。ビジネスとして展開しないものだから、普及していないこと。劇薬でなければ、シャンプーやワックスを使っても大丈夫なこと。

話が具体的になると安心感が出てくる。まずは調査に来てもらおう。

調査して、無理でした、だけではもったいないから、毛管浸潤トレンチについて、ききたいことある人はどうぞ、みたいなイベントにしようかな。

近々、エコロンシステムも導入家庭に見学にいかせてもらう。毛管浸潤トレンチは設置できないけど、エコロンシステムならできる、となる可能性もあるから、情報は集めておきたいし、排水処理はこのさき移住してくる人も当たる問題だろうから、いろいろ調べておいて、ぼっとん便所か合併処理浄化槽、以外の選択肢も共有できたらと思うのやよね。

導入費用約50万円でコンポストトイレと毛管浸潤トレンチか、材料費だけでどちらも自作するか、導入費用約200万円で水洗トイレの先にエコロンシステムか。

どれが取り入れやすいかって、人によるよね。立地にも依る。

わたしはコンポストトイレがやってみたいから、生活排水処理には毛管浸潤トレンチが予算的にもしっくりくる。

あとは土壌浸透調査次第だ。どうか、できますように。祈るような気持ちである。もし不可の結果が出たらどうしようかなあ…



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今日はいい日になりますよ。
ライター|重文指定絹織織物「結城紬」産地で働いた経験を元に工藝や地場産業のライティングを行う|『ぼくたちはケアして表現するサル?』書籍化奮闘中|神奈川出身、茨城、札幌を経て富山在住|www.chieyabutani.com