帰れなかったサンタさん　後編

ななちゃんは　サンタさんと　おともだちになれて

うれしくて　たのしくて

もっとピカピカの笑顔になります

そしたら　いつものおともだちも

また　たくさん　ふえました

ぽかぽかの春も

ぴかぴかの夏も

さらさらの秋も

サンタさんと　いつもいっしょでした

そして　ふわふわの冬

ななちゃんは　サンタさんにいいました

「サンタさん　なな　もうプレゼントなにもいらないから

ずっとここにいてほしいの」

サンタさんはだまって

顔をよこに　ちいさく２回ふりました

「サンタの国には　なかまたちが　たくさんまっているんだ

ななちゃんも　おともだちは　たいせつだろう？」

「それに　世界中のみんなを笑顔にする

わしたちのしごとが　だいすきだから

帰らないわけにはいかないのだよ」

「でも　おぼえておいておくれ

ななちゃんがいつか　おとなになって

わしのことが見えなくなっても

お花がゆれたり　かき氷がうつわからこぼれたり

かれ葉が風にまったりしたとき

それは　わしたち

帰りそびれたサンタのイタズラだからね」

そして　さよならをするクリスマス

大好きなクリスマスなのに

今年は　さみしいきもちでいっぱいのななちゃんは

泣きつかれて　ねむってしまいました

ポップコーンのような雪にのって

サンタさんたちが　しずかにまいおりてきます

メリークリスマス　メリークリスマス

しゃらしゃらと　雪のおとがしたら

集合時間のあいずです

プレゼントをくばりおわって

それぞれのお家から　とびだしたサンタさんたちは

ソリにのる　お空のサンタさんのふくろに

つぎつぎと　すいこまれていきました

しゃらしゃらしゃら・・・

「さようなら　ななちゃん

きみといられて　とてもたのしかったよ」

星の音といっしょに　サンタさんの声がきこえて　目をさましたななちゃんは

窓をあけて　おおきく手をふりました

「サンタさん　ありがとう

またきっと　あえるよね？」

サンタさんは最後に

ハートのかたちにちいさく光り　きえていきました

「わしは　いつでも　

ななちゃんの　こころの中に　すんでいるよ」

ななちゃんのこころは　ぽわっとあたたかくなり

もう　さみしくありませんでした

あ　　

べつのお家に　またひとり

帰りそびれた　サンタさんがいます

あなたのとなりにねむっていませんか？

おわり