心の可視化
児童発達支援センターにて
心の可視化は容易いことではい。と思っているのは大人だけなのかもしれません。
小児期の逆境体験やその子の現在置かれている環境や立場をまずは受け入れることが支援の第一歩だと思っています。
それを受け入れた上でのセラピーワーク。
2年半で子ども達の色や形やイメージがこんなにも広がったこと。また閉ざしていたものを明け渡してくれたことに感謝しかありません。
今日の気持ち。心の色。
ある子は赤とグレーと黒で塗りつぶし、
ある子は紫一色で表してくれました。
これらの色が発する子どもの心のSOSサインは
色彩心理学では「不安」や「母親(父親)への不満」や「緊張感」などの言葉のみで片付けられることがありますが、これはあくまで統計上のもので、
「心」は過去のデータでは語り尽くせないほどの未知なるものを秘めています。
その未知を掘り出す作業がセラピーワークです。
「心の扉」と子ども達にはお話していますが、
開けたくない扉はずっと閉めておいてもよいし、
鍵をかけていてもよいのです。
けれども固く錆び付いてしまっては、
「開けてみたいな」と思った時に開けることができないので、たまには風を通してあげようね。
といった感じです。
心の色を「クソバカ」と文字で表現した男の子。
「先生、怒らないのかな?」といった表情で私の顔色を伺います。
「なんて素晴らしいのかしら!
思っていても文字におこせる〇〇君は大物だな!
いっつも、ちいちゃな妹達のお世話頑張っているもんね。まだまだ書きたいこと、あるやろ?
何枚でも書いてええんよ。」と返しました。
この後、この子は5枚も10枚も書きました。
最初は「クソバカ」を連発していましたが、
次に「うんち」、「トゲトゲの線」「勇者」
「蛇」、、、色が足されていきます。
書いているうちに線が緩やかになります。
最後はまあるいサークルを何重にも重ねて描きました。
1週間経ち、男の子はお友達とお話の続きを作成しました。
少し固くなって錆び付いた扉が、
少しずつ開いていく様子を
隣で静かに見守りたい。
昨今、児童発達支援センターの職員研修で度々セットで語られる「支援」と「教育」。
児童発達支援センターの職員、
学校教職員、医師とそれぞれの立場で連携が図られるわけですが、「支援」と「教育」を分けて考えるよりも両者は同時に行われるべきであると感じています。
「支援」は見守り、寄り添うこと。
その次のステップが
「教育」であり、
「教えこむ」から「引き出す」に
大人がどれだけシフトできるかということが
日々問われているような気がしています。
ある時は「支援」のなかに「教育」が、
またある時は「教育」のなかに「支援」が、
あるいは「教育」と「支援」が同時に起こっている。
その子その子に適応したトリートメントを探ると
子どもの「見方」「観方」「鑑方」がもっと広くなる。
そう信じて、子ども達の色、形、イメージを発信し続けていきたいと思います。
大人の図工塾管理人 米光智恵
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