はじめてのライブ配信

こんにちは、ギタリストの智詠です。

2020年2月からの時間の流れは、これまで感じたことがないほど複雑です。ずっと家に閉じこもっていると1日がすぐ終わりますし、逆に昨年の夏や秋を思うと、つい最近のことなのに、はるか遠い時代に来てしまったように感じます…。

この間、多くの演奏仲間や先輩ミュージシャンがライブを再開、配信も積極的におこなっています。私もようやく1本、自分のライブ動画を配信することができました。当たり前のことですが、やっぱりミュージシャンのモチベーションは「演奏すること」で保つことができます。

おかげさまで反響もいただき、「投げ銭」を入れてくださったり、CDをご購入いただいたりで本当に感謝、配信直後はこれを機にライブ配信もどんどんやっていけたら…という気持ちがあったのですが、思った以上にライブ配信というのはエネルギーを使います。次のプランを考えているうちに、気がつけばもう1か月以上が過ぎてしまいました。

あらためて、積極的にライブ配信をし続けることは、すごい大変なことだと頭が下がる思いです…。私もなんとか継続していくために、今回は備忘録というか、自分なりに感じた「ライブ配信」の課題などを書き残したいと思います。

ライブ”生”配信 or ライブ”録画”配信 

今回、私は「ライブ”録画“配信」をおこないました。事前に録音・録画した演奏の動画を自分のYouTubeチャンネルで7月23日(木)18:00から「プレミア公開」という形で公開しました(現在は公開を終了しています)。

「プレミア公開」とは、時間を指定して公開した映像を作成者と視聴者が同じ時間に一緒に観ながら楽しめる(公開中は巻き戻しはできても早送りはできない)機能で、動画が最後まで流れるとアーカイブ(記録)として、そのままYouTubeの動画として観られる仕組みです。

私が参加しているオンラインレッスンの講師のグループ「オンラインレッスン商店街」主催の「夏FES」のスケジュールのプログラムの1つとして配信、公開当日はたくさんのチャットを寄せてくださり、とても勇気づけられました。「夏FES」期間中と私のホームページのリニューアル記念の再放送、合わせて10日間ほどで1,000回近い視聴回数をいただきました。ご視聴いただいたみなさん、ありがとうございます!

正直、ミュージシャンのライブ動画の再生回数としては「ピンキリ」でいえば「キリ」の部類、まだまだ少ないです。各動画サイトでは、世界中あらゆるジャンルのアーティストが毎日どんどん動画をアップしているし、ニュースになるような「〇〇万回再生!」には程遠い世界です。発信する側である以上、多くのチャンネル登録者の方と再生回数を増やすには、という課題と少しは向き合わなくてはなりません。でも、この時点での自分としては「ようやくリスタートできたんだ」という喜びの方が大きかったです。

ライブに足を運ぶのがむずかしい状況で、今まで応援してくれた方に家にいながら観ていただく機会ができたのは重要なことですし、ひとまずギタリスト智詠の「生存確認」をお伝えできたことだけでも、やる意味はあったと思います。

さて、いまネット上で盛んに行われている「ライブ配信」の多くがリアルタイム、すなわち生配信です。「〇月〇日 〇〇時スタート」で出演者も視聴者も同じ時間を共有する緊張感、高揚感は「生配信」ならではで、音声トラブルも折りこみ済で楽しむことができます。というか「ライブ配信」=「生配信」というのがすっかり定着して、録画を流すのは 「疑似ライブ配信」なんていわれているようです…。

でも私はライブを配信することを決めてすぐに、今回は「録画配信」にすることを選びました。双方のメリット・デメリットを考えた時に、今の自分の環境では「録画配信」がいいだろうと思ったからです。

「録画配信」してみて気づいたこと

今回は7月23日の18:00からの配信で、その5日前のほぼ同じ時間帯に収録しました。「夏フェス」の期間中に行われた他の講師のライブ配信の半分は「生配信」だったので、私もできるだけライブに近い環境で、なるべく「1テイク」での収録を試みました(実はちょっと録り直しの部分はありました…すみません)。

私はいま住んでいる愛媛で4年間(2015年~2019年)FMの番組を担当していたこともあり、構成→収録→編集→公開の流れは、1つの番組を作るような感覚でした。もともとドキュメンタリー番組が好きなせいか、自分の作成する動画には映像の間によく静止画(自分で撮影した写真など)を挿入したりしています。

手持ちのライブ用、レコーディング用、オンラインレッスン用の機材、フラメンコ教室用のビデオカメラや自分の趣味で使っているカメラも総動員してセッティング、なんとか収録を始めることができました。もちろんひとつひとつの機材に凝り始めたら、ここはいくらでも投資してしまう世界です。

収録を始めると、録画とは分かりつつも、不思議とライブのような緊張感が(良い意味で)伝わってきました。練習したようにいかない部分、逆に練習では思いつかないようなアイデアが出てきたり…気がつけば、普通にライブをしていました!

映像の途中に挿入する写真もだいたい事前に決めていたので、それに合わせたMCを入れていきます。結果的にしゃべりはけっこう長くなりましたが…一応目安にしていた収録時間内におさめます。

音は複数の機材(マイク音声はギター、ボーカル/MCに分けてそれぞれiPadに録音・カメラ2台・予備用の小型レコーダー2台)で録って、もしマイク音声に不具合があったら他の機材で録った音をブレンドするつもりでしたが、幸い不具合がなかったので編集時間短縮のためにマイク音声のみ使用、カメラの音声はマイクの音声とタイミングを合わせるためだけに使いました。

編集については、配信当日まで日程に余裕がなかったのもありますが、あまりいじるとライブ感が損なわれるので(またそれほどの技術もないので)、できるだけシンプルに。音の仕上げに数時間、映像の仕上げに1日、調整してアップロードに数時間、告知も考えて放送の2日前には作業を完了させました。自分でライブ”録画配信“を継続するとしたら、1本のライブ映像の制作にあまり時間をかけない方がいいと思いました。

プランを考えて、練習して、収録して、編集して、公開する、というプロセスはとても楽しく、充実した経験でした。客観的に自分を見るのはあまり得意ではありませんが、我ながら…クセの強い画を楽しく観ていただくためにはどうすればいいか、学ぶ機会をいただきました。

まとめ

結果的に今回は「録画配信」で良かったと思っています。一方で「生配信」にはかなわない部分、「録画配信」でより手間のかかる点も多かったはずです。収録には家族がサポートしてくれましたが、無観客での収録からの編集は基本的に孤独な作業ですし、「ライブ感」を求めた分、本番での大小さまざまなミスタッチもそのまま配信することに。ブログにも書きましたが、編集しながら「あーここやり直したいな、そのまま流すのはちょっと恥ずかしいかも…」という気持ちになったものでした。

それでも、このワクワク感は久しぶりの感情で、「1歩踏み出せたかも知れない」と感じる瞬間でした。次の「配信」に向けても準備していきたいです。そして「生配信」もいつか、体験できる日が訪れることを…

◇「録画配信」のメリット
1.通信トラブルのリスクが少ない(アップロード時のみ注意)
2.ライブを記録する機材があれば高画質・高音質で配信可能
3.いつでも録れる
4.これまでのライブ映像を動画サイトに公開するのとほぼ同じプロセスで制作できる

◇「録画配信」のデメリット
1.ライブのような勢いを出すためには、ミスもそのまま流す覚悟が必要
2.無観客だと演奏中も編集中もとにかく孤独
3.ちゃんと準備しようとするといつまでも収録できない
4.ちゃんと演奏・編集しようとするといつまでも終わらない

※あくまで私の実感に基づくものであり、メリット・デメリットには個人差があります。

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