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スタンダード曲について考える記事

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フラメンコやフォルクローレなど私が演奏しているジャンルの「スタンダード曲」について書いた記事です
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「コンドルは飛んでいく」自由研究

私にとって、これまでもっとも演奏した回数の多い曲、それは間違いなく「コンドルは飛んでいく」です。今日までの35年の演奏経験の全ライブの半分以上では演奏していたはずです。最初はたぶんボンボで、小学3年~高校生まではケーナで、そしてプロ活動を始めてからはギターで、本当に数多くのフォルクローレのミュージシャンの方と各地で共演してきました。 以前担当していたラジオ番組…FM愛媛の『スパニッシュ・カレント~不思議な風』で、数回にわたって企画した「1曲特集」で「コンドルは飛んでいく」

フラメンコには「スタンダード曲」がない?(前編)

前回の記事で「コンドルは飛んでいく」について書きました。この曲は南米の、いわゆる「フォルクローレ」と呼ばれる音楽の代名詞的存在です。そして、 ① メロディーを聴けばだいたい知っている ② タイトルを見るだけでも音楽全体の世界観をなんとなくイメージできる ③ いろいろな歌手や演奏家のパフォーマンスを聴いた・見たことがある ④ したがって「誰の作曲か」知られていない場合がある という、誰が言ったかは知りませんが(無責任)、いわば「スタンダード曲(スタンダー

フラメンコには「スタンダード曲」がない?(後編)

フラメンコには「スタンダード曲」がない?(前編)はこちら 私はガットギター(スパニッシュ・ギター)専門で、フォルクローレ・タンゴ・フラメンコを中心に活動しています。フォルクローレには「コンドルは飛んでいく」「花祭り」、タンゴには「ラ・クンパルシータ」「リベルタンゴ」といった、そのジャンルをご存知ない方でもどこかで聴いたことがある曲があります。また、他にも世界のさまざまな地域の音楽でも「代名詞的な曲」が多く存在します。 でもフラメンコには「フラメンコといえばこの曲!」と

泣きながら“ランバダ”を歌う

このところ続けて書いてきた記事で、私が演奏しているジャンルの代名詞的な曲、あるいは「スタンダード」について考えてきました。その中で、個人的にもう1曲だけどうしても書きたい曲がありました。「ジョランド・セ・フエ」という曲です。このタイトルではピンとこないかもしれませんが、この曲、世界的にはまったく別の名前で知られています。そのタイトルは”ランバダ”といいます。 ランバダとは? 「ランバダ」は1989年に発表され、キャッチ―なメロディーとノリのいい軽やかなリズムで世界的な