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「障がい」「できない」を変換して表現しよう

W Innovators :「障がい当事者とクリエイターとの事業創発の場」を企画しております、中塚智恵です。


↓前回は、こちらの記事を書かさせていただきました。

一般社団法人PLAYERSタキザワケイタさんとお話をしたことで、PLAYERSさんが独自にプログラムを開発してきたことに、相当な勇気をいただきました。

W Innovatorsとしては、6月に第一回目のワークショップの開催を公言していますが、そこまでの進め方を4月初旬よりずっと考えていました。
ワークショップを開催すること自体は何回か経験しているので、不安はそんなにないのですが、大きく乗り越えるべき部分は、
①チームづくり ②プログラム内容 ③参加者集め
でした。頭を抱えていても答えは見つからないので、同時に、いろんな方にヒアリングを行なっていたわけです。

グラウンドルールが決まりました:
「障がい」「〇〇できない」を変換して表現してみよう

*グラウンドルールとは、アイディア創発のイベント全体での大まかなルールのことです。
例えば、
・ポジティブに発言をしよう〜とか、
・いいね〜を言っていこう
・体を使って表現しよう
などがよく用いられます。

グラウンドルールは、「障がい」「〇〇出来ない」を変換して表現してみよう

障がいという言葉にとらわれずに、
「人としての意志・未来への欲望を追求する空間であり続ける」
という想いがこもっています

「障がいがあるから〜」「〇〇できないから〜」ということから着火すると、どうしても人によって障がいの悩みが共感できずアイディア創発が進みにくくなったり、「〇〇できないこと」に納得しそうになってしまいます。

さらに、友達や家族に障がいを持った人がいる場合は、一度は感じたことがあるはず。
私の〇〇(←私の場合は祖父)は、障害者って感じではないけどね。
といういわゆる社会の捉えられ方とのギャップです。

そもそも「障がい」という概念に違和感がありますし、社会で楽しむ方法を考える時には、この障がいという概念から一旦飛び出した方が、色々思いついた経験がありました。

はい、車椅子は使っているんですけど、それ以上でもそれ以下でもない感覚です。

だから、ずーっとあったその気持ちと、今日出会った記事から思い出したオーストラリアで発見したことをヒントに決まりました。しばらくは、これで試してみようと思います。

多様性は外に向かって叫ぶものではない、
自分たちで作っていくもの

どうしてこうなったかというと、今日、朝5時。珍しく超絶健康的な時間に目が覚め、暇なのでネットサーフィンをしていたら飛び込んできたのが、これでした!インスピレーションとなりました。

すごくいいですよね。

実行委員長になった高岡杏さんは、
「『障がいがあっても私は普通に大学生。私が障害者であることは関係なく、普通に委員長をやるだけ』」と演説し、見事筑波大学の学園祭「そうほう祭」の実行委員長になったそうです。
そして、実行委員会のメンバーは、会議のデジタル化を積極的に導入していき、全員がコミットしやすい状態を作っていったようです。

筑波大学自体、障がいのある人の学生が150人在籍していて、障がいのある学生を支援する「ピュア・チューター」を配置。授業のようやくや板書を書き留めたり、配られた資料を整理したりとサポートしているようです。
(https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200424-00000021-sasahi-life&p=4より一部抜粋)

これは、実行委員会が、自分たちのためにデジタル化を進ませ、強みの象徴として「多様性」を外部に示したものでした。

この記事を読んだ時、オーストラリアで経験したことを思い出しました。

Hireupから学んだこと①

私自身、2018年から1年半、障がいのあるオーストラリア人の日常生活を出来るだけ自然な形で体験し、ニーズや可能性を把握するため、Hireupという会社で働きました。

そこで、多くの障がいを持つ大学生に出会いましたが、まさに彼らが大学を満喫していた背景には、筑波大学のようなチューター制度がありました。実は、このチューター制度は、オーストラリアでは特別なものではなく、主要大学には必ずあります。重度の知的障害、重度の身体障害を持つ場合、エレベーターの機能があるだけでは不十分。例えばペンを持つことができない両手に障害を持つ学生の場合は、そもそも書き取って覚える習慣がないため、聴覚的な記憶力が抜群に良くて日々の講義ではあまり困らないと言っていましたが、それでも授業内容を板書したりスキャンしてくれたり、テストや授業中に彼が口頭で喋ったことを書き留めてくれる人が必要でした。

なので、筑波大学には、チューター制度があり、その中でこうした学園祭の実行委員が進んでいて、実行委員会が持つ強み・面白みとして「多様性」をテーマにした学園祭が開催されることは非常に嬉しいです。

さて、もう一つ、Hireupから学んだことがあります。

Hireupから学んだこと②

Hireupは、多様性を強みにする企業としての在り方。

Hireupで提供しているサービスは、自宅・外出・就業中・仕事中に支援を受けたい障がいのある人と、支援したいサポートワーカーがプラットフォーム上でマッチングできるサービスです。障がいのある人は、自分の要望に合わせてサポートワーカーを選ぶことができるメリットがあり、サポートワーカーも、希望する関わり方を選ぶことができる上、社会保障や労働環境も整備されているので、とても働きやすいのです。
(オーストラリアでは、時給3000円くらいで働いていたので、半日ほど働き、日中か夜どちらかは、ビジネス系の学校で起業について学び、授業料+家賃+生活費と回せていました。)

また、このニーズが多様化するサポート体制を築きあげたのは、Hireupの共同代表(障がいのある弟の悩みをなんとかしたかった2人の姉兄)であり、障害当事者を企画部や事務スタッフとして採用してきてスタートアップとして成長してきたことが企業の強みや姿勢そのものになっていました。

その中に加わって気づいたことは、自分たちのフィールド(福祉業界)で多様性を追求し続けていることです。(ここは、意外にできていない福祉事業者が多いです。多様性を外に求めすぎてて、自社のスタッフの多様化に取り組めていない。)

障がいのある人といえば、障害へのニーズを持っていると捉えられがちですが、
本当の声は、
より一般的なニーズであり、障がいへの理解をプラスアルファで探している人が多いのです。

つまり、

「ジムで体を動かしたいからサポートスタッフを探している」
(→深掘りすると、トレーニング方法のプロであり、障がいの体のことも知っている人を探している)

「夜、クラブでダンスしに行きたいからサポートスタッフを探している」
(→深掘りすると、ダンスを一緒に楽しめるようなダンスが好きな人で、障がいのことも理解している人を探している)

です。なので、サポートスタッフも、ただただ福祉業界に染まった人が好まれる訳ではなく、
楽器が弾ける人、ダンスが上手な人、スポーツをずっと続けてきてトレーニングに詳しい人、同じスポーツチームのファンの人、旅行が好きで多言語が話せる人、Webサイトの立ち上げができる人…など
+障がいのことも理解している人
なのです。なので、意外と福祉業界外で働いてきてフラットな関係性が気づける人、障がいのある人を障害者と捉えない人が好まれることも多かったです。

「多様性」を一般業界・一般社会に発信しがちな福祉に関わる人たちこそ、自分たちのフィールドで、「多様性」を進めるべきだと思った体験でした。


よって、人としての「〇〇したい」を追求した方が、
想い描く地点に到達できるのではないかと思っています。

Hireupのサービスは、日本でいうと「重度訪問介護」という制度にあたりますが、やはりオーストラリアの方が、数年先を歩いています。
日本では、2018年より、やっと学校に通う障害当事者や働く障害当事者に対するサポート体制に取り組み始めましたが、市区町村の裁量になっているため、地域によりまだ利用できないところも多いようです。日本でも早く、この業界内で、利用の統一化と多様性が進むといいですね。

感想:
オーストラリアに行くと言った時も、帰ってきた時も、就職口を見つけたり活動をしていく中でも、日本でも最先端を見て回れるのになんでオーストラリアに行ったの?と言われましたが、こうした制度の影響を大きく受けている業界だからこそ、海外に行きたかったんだと思います。

そもそも、画期的な新規事業をダイレクトな方法で立ち上げるには、制度が進んでいない社会では、制度や法律を変えていくことがまず求められるので、国の協力が得られるまでは時間がかかり、すぐに自立支援や介護保険の対象になる訳でもないので、利用者が増えないなど、事業として回りにくい環境です。そして、海外の社会づくりを知っていないと、社会や制度の遅れということにも気づきませんし、グローバルな視点での日本の立ち位置を見ることができません。また、こうした状況の中、福祉業界に染まりすぎず、福祉業界の外で、事業として独自路線を進むには、海外での経験が羅針盤の役目を果たしてくれます。

以上、

「障がい」という概念そのものを、そろそろ変えていけないだろうか、

日本では「障がい者を理解して」と呼びかける風潮が強いので、

逆手にとって、

W Innovatorsは、「障がい」「〇〇できない」を使わない時間の中でアイディア創発を行い、新しい概念で事業開発が進む先に革新的な未来があることを期待して、独自空間を作っていきたいと思います。

取り組み方やプログラム内容は、関心のある人たちで、5月中に決めていきます。興味のある方は、お問い合わせください。
https://2020.etic.or.jp/actions/w-innovators/

対象:障がい当事者、介護経験のある当事者の身近な方、クリエイター、インクルーシブデザイナー、創発の場の運営経験者



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Chie Nakatsuka@W Innovators
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