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4年半前は、立派な「昔」

こうも時間の感覚が虚ろになるのか。

先週末、会社の先輩が結婚式を挙げ、その二次会的な飲み会に呼んでいただきました。司会もいないし20人くらいの会なのだけど、ご本人たち&出席者の半数は披露宴終わり。夫が家でひよこと留守番してくれる、少なからずハレの場、場所が心斎橋、の3拍子がそろって、わたしは否が応でもテンションが上がりました。

普段のお出かけは、常に傍らにひよこがいるし、街中に出ることもほとんどありません。あってもとんぼ返り。格好だって、抱っこした靴で汚されても構わない服、すぐに走り出せるスニーカー、肩に掛けられる(=両手があく)かばんが基本です。通勤も、ユニクロのアンクルパンツとスニーカーがデフォルト。

これを逃したら次はいつ来るとも知れない、絶好のおめかしの機会。ここぞとばかりに、緑色がきれいなシルクのスカート、白レザーのハンドバッグ、ラメびっしりの10cmヒールのパンプス、という意気揚々とした出で立ちで駅に向かいました。どれも、ひよこを身ごもる前に愛用していたモノ。

玄関を出てから駅までの5分で、異変が現れました。足です。あれ、この靴、こんなに指ぎゅうぎゅうだっけ? 10cmヒールって、こんなに土踏まずの上側に体重かかるんだっけ? 甲もふくらはぎも、こんなに柔軟体操してるみたいに負荷を感じるんだっけ? この靴、たくさん歩き回っても疲れへんかった記憶なのになー。あれー。あれー。あれれー。

駅に着いたときには、すでにくたくた。改札を抜けてエスカレーターでホームに上がるなり、ベンチに座り込みました。痛い。しんどい。疲れた。ちょっと前まで一軍メンバーだった靴に、ものの5分でこんなにこてんぱんにやられるなんて。完全に、想定外でした。

……って、ちょ、待てよ?

ひよこはこの年末で4歳になります。妊娠が発覚したのは、2012年5月。骨の髄からマジメなわたしは、妊娠発覚と同時に1年365日パンプス派から、ぺたんこ靴派に180度転向したのでした。

ということはさー、もしかしてさー、今思った「ちょっと前」ってのはさー、「4年半前」のことやんな!? 大学入学→卒業→新卒入社→ちょっと立ち振る舞いが分かってきた入社半年、にあたる4年半の年月を「ちょっと」とな!?

戦慄が走りました。あわわわわわわ。「俺らが若いころはさー……」と、何十年前よ!?って話を昨日のことのように延々語るおっちゃんと同じやん。うら若きあの頃、「俺らが若いころはさー……」伝が嬉々として交わされるのを死んだ魚の目で眺めてごめんなさい。当時は、年齢とともに時空は歪むことを知らなかったんです。三十路半ば、合点承知いたしました。

実は、「酔っぱらったら帰りしんどいよなぁ」と案じて、ハンドバッグの底にクロックスを忍ばせていたんですよね。年の功、グッジョブ。往路はそのまま根性で、帰路は駅につくなりそそくさとクロックスに履き替えました。年齢のせい? ブランクのせい? いずれにせよ、もう10cmヒールで半日闊歩するのは、ムーリー!

人間が「私はこうです」なんて言ってるのは、たまたまその状況でそう言える余裕があるという前提があて思っていることにすぎない。

吉本ばなな「日々の考え」

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