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Radio Chidorian #12

始まりましたRadio Chidorian。
ただの音楽好きが、気に入った新譜を中心に紹介していこうという、押しつけ型マンスプレイニング風 “読む” ラジオ番組です。

SpotifyのMusic + Talk機能が使えなくなりましたので、当番組はポッドキャストから文字で音楽を紹介する形に変わりました。

お盆も終わりですね。相変わらず温暖化とヒートアイランド現象の抱き合わせでクソ暑い日が続きますが、日々着実に日の出は遅く、日の入りは早くなっています。もう少し。なんとか乗り切るぞ!
というわけで、今回もゴキゲンな音楽を聴いていきましょう!


M-1 『Let It Happen - orchestral version』 Louis Cole

これまで先行して何曲か発表されていたLouis Coleのニューアルバムがついにリリースされました。
今回はその中から、過去曲をリアレンジして録音し直したものをお送りします。今回のアルバムコンセプトにピッタリで素晴らしい仕上がりだと思います。
Louis Cole『Let It Happen - orchestral version』をお聴きください。

Louis Coleのニューアルバム『nothing』はお聴きいただいた曲でもわかるように、オーケストラをフィーチャーした作品になっています。
指揮者のJules Buckleyが持ちかけた企画だそうですが、オーケストラのスコアも全部Louis Coleが書いたそうなのでビックリです。ジャズ・ドラマーからキャリアをスタートさせた彼ですが、美しいメロディも書けて、オーケストラアレンジまでこなしてしまう。「才気溢れる」とは正に彼のことですね。
Metropole Orkestはオランダのオーケストラで、クラシック、ジャズ、ポップス、ロック何でもござれだそうですよ。団員がクリックを聞きながら演奏できるオーケストラというのは少ないんだそうです。
その辺りも含めて、アルバムのことを語っているインタビューへのリンクを張っておきます。

『Let It Happen』は22年のアルバム『Quality Over Opinion』に収録された曲ですが、曲ができた時、その頃既にスタートしていたオーケストラとのプロジェクトに使っても良いなと思ったそうです。ですから、今回のオーケストラバージョンは「完全版」ですね。
MVは観客の入ったステージでの演奏を収録したものですが、みんなでお馴染みの骸骨スーツを着ていて、サビの部分では団員までボウを振ったりして、良い雰囲気が伝わってきます。サックスソロも最高。
オーケストラと来日してほしいけど、そうなるとチケット代がヤバそうですねえ。

M-2 『しゅー・しゃいん』 寺尾紗穂

前回のオープニングで、8月は「戦争」を考える月だと言いました。「終戦記念日」を過ぎた今、この曲を聴きましょう。
寺尾紗穂で『しゅー・しゃいん』

9月18日にリリースされる、彼女の2年振りのフルアルバムから、先行曲としてリリースされたタイトル曲で『しゅー・しゃいん』を聴いていただきました。

日本は、1945年に戦争が終わったもののその傷は深く、空襲などによって身寄りをなくした「戦災孤児」と呼ばれた子供たちが街に溢れ、彼らが日銭稼ぎに始めた商売が靴磨きでした。
私の父は兵隊として戦争に参加しましたが、戦後父の口から戦争の話を聞いたことがありません。母親は終戦時には小学生でした。私は所謂「戦争を知らない子供たち」です。小さい頃には街に「傷痍軍人」がいたりして、微かに戦争の臭いが残っていましたが、今はもう日本人が戦争でたくさん死んだなんて、凄く遠い話になってしまいました。
ただ、「日本の戦前が始まっている」という人もいますし、ガザを始めとした世界各地で、戦争によって命を落とす人が後を絶たないのが現状です。

靴磨きは終戦直後の特徴的な風俗だったので、当時いくつかヒットした歌があります。暁テル子『東京シューシャインボーイ』や宮城まり子『ガード下の靴磨き』などです。
戦後79年目にして、その系譜に連なる新曲が発表されました。

寺尾紗穂さん、失礼ながら存じ上げませんでした。
学生時代から弾き語りを始め、2007年メジャーデビュー。シンガーソングライターとしての活動の他にも映画やCMの曲作り、日本各地のわらべうたの採集などいろいろなさっていますが、エッセイや評論などの文筆家でもあります。著書も、修士論文の『評伝 川島芳子』から始まって、『原発労働者』(2015年)、『日本人が移民だったころ』(2023年)などなど、私の興味関心にとても近いところで活動されているのに、なぜ今まで接点がなかったのか不思議です。気付かなかっただけかもしれません。
このほかにも実に様々な活動をなさっていて全部は紹介できません。ライブ行きます。本も読みます。

MVは、タイのマンガ家で『マムアンちゃん』が有名なウィスット・ポンニミットが担当しています。

M-3 『Ever Seen』 Beabadoobee

さて3曲目は、Z世代に大人気、この番組ではこの世代のミュージシャンを紹介することが凄く多いんですが、理由は、何でしょう。今度ゆっくり考えましょう。beabadoobeeで『Ever Seen』です。

beabadoobeeは、イギリス出身のシンガーソングライターです。
フィリピンで生まれ3歳で家族とイギリスに移住。17歳でギターを手に入れ、その年に初めて作った曲がYouTubeでバズり、すぐにレコード会社からオファーが来て契約するという凄い経歴の持ち主です。
Z世代を中心に人気のあるアーティストですから、その後の活躍については割愛。今回3枚目のフルアルバム『This Is How Tomorrow Moves』がリリースされ話題になっている、というわけです。
同世代のライター、竹田ダニエルさんによるインタビューでアルバムのことやその他諸々を話していますので、リンクを張っておきます。今回はRolling stone紙大活用の巻ですね。

アルバムの曲で私が気に入ったのが『Ever Seen』だったのですが、MVも良いですね。曲の雰囲気がよく出ています。日本で、とても楽しい撮影だったそうですよ。彼女がSNSにアップしたライブ映像では観客たちと合唱になっていますね。

M-4 『ココロウチュウ feat. imase, 『ユイカ』』 ニャンちゅうオールスターズ

今回はちょっと語りが多くなってしまいました。マンスプレイニングも大概にしろということで、最後の曲にいきましょう。

NHK教育テレビ、今はEテレと言うんですか。ニャンちゅうという、猫がネズミの着ぐるみを着ている、という設定のパペットが出てくる番組がありまして、番組名やコンセプトを変えながらも、1992年から現在まで続いているそうなんです。
実は私の子供が、その初期の番組を観ていまして、子供番組って親も観るんですよね。おかあさんといっしょとか、仮面ライダー555とか電王とかも、けっこう楽しんで観ましたね。
ニャンちゅうも、あの声ね。知っている人は真似してるでしょ。声優さんは替わったらしいんですけど、番組は続いてるんだ!と感慨深く思いました。

現在ニャンちゅうさんは『ニャンちゅう!宇宙!放送チュー!』という番組に出演なさっているようで、そのテーマ曲がリニューアルされたというわけです。
今回はエンディングテーマを紹介しようと思いますが、作詞作曲meiyo、 編曲が100回嘔吐、歌がimaseと『ユイカ』、という座組です。
オープニングを選ばなかったのは、エンディング特有の仄かに漂う寂しさ、切なさが好きなのと、これまで流れていたテーマ曲を作ったダンス☆マンへのリスペクトなのか、ソウル風味なのが良いですね。

それでは今回はこの曲を聴きながらお別れです。また次回をお楽しみに。
ニャンちゅうオールスターズで『ココロウチュウ feat. imase, 『ユイカ』』。

※今回ご紹介した曲を加えたRadio Chidorianのプレイリストです。Spotifyのみになりますが、よかったらお聴きください。


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