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Radio Chidorian #13

始まりましたRadio Chidorian。
ただの音楽好きが、気に入った新譜を中心に紹介していこうという、押しつけ型マンスプレイニング風 “読む” ラジオ番組です。

SpotifyのMusic + Talk機能が使えなくなりましたので、当番組はポッドキャストから文字で音楽を紹介する形に変わりました。

紹介したい新譜が貯まってきたら纏める不定期更新でやっていますが、この8月は3回というハイペースになりました。
正直それでも紹介できない曲が出てしまうという、嬉しいような悲しいような、そんな状況です。
その分厳選してお送りしているものと考えてください。今回は偶然ですが、全部アジア勢の曲になりました。
というわけで、早速聴いていきましょう!


M-1 『Imaginary Road Trip』 Wellsaid

1曲目は、当番組ではおそらく初めてだと思います、香港のバンドです。
Wellsaidで『Imaginary Road Trip』です。どうぞ!

Wellsaidは、インスタの自己紹介によると「香港最高のエモバンドで最悪のブルースバンド」だそうですよ。“エモ”というのはハードコアパンクの流れを汲む音楽ジャンルのようです。彼らのことをマスロックに分類する人もいます。音楽のジャンル分けはトテモムズカシイデス。でも、彼らの音楽は大好きです。
2017年に1stEPをリリースし、この曲は今年リリース予定の3rdアルバムの先行シングルという扱いらしいです。
ネットに流れている情報が少ないんですが、昨年来日しているんですね。ライブ、好評だったようです。BiKN shibuya 辺りでまた呼ばないかなあ。

M-2 『Sunday Wave (Feat. Loco, Valo)』 소코도모 (sokodomo)

2曲目と3曲目は韓国からです。どちらもSTANDARD FRIENDSという今注目のレーベルからリリースされている曲です。
それではまずは、소코도모(sokodomo)の『Sunday Wave (Feat. Loco, Valo)』をお聴きください。

STANDARD FRIENDSは、R&Bシンガー、ラッパー、プロデューサーとして10年以上活躍しているZion.T (ザイオンティー)が2022年に作ったクリエイティブ・カンパニーです。
まあ私は、ヒップホップ方面はからきし弱いので、なんつって、別に他方面も強くないんですけど、基本にわか勉強の受け売り情報を書いておりますよ。

sokodomoは、2000年生まれのラッパーでソングライターです。
2019年に、Radio Chidorian 10 (リンク) で紹介したイ・ヨンジも出演していた『高等ラッパー3』で注目されデビュー。その後の活躍は端折って、2024年4月にSTANDARD FRIENDSに移籍しました。
South KoreaのKodomoだからsokodomoなんですって。
彼のプロフィールはとても面白いのでナム・ウィキ(リンク)を覗いてみることをお勧めします。

M-3 『STOPLIGHT』 수민 & 슬롬 (SUMIN & Slom)

もう一曲、STANDARD FRIENDSからリリースされた曲をお聴きください。
SUMIN & Slomで『STOPLIGHT』。

数々の楽曲提供をおこなうプロデューサーでシンガーソングライターのSUMINと、プロデューサー、ビートメーカー、DJのSlomが、コラボアルバム『MINISERIES』をリリースしたのは2021年のことでした。このアルバムの続編に当たるのが、今年7月にリリースされた『MINISERIES 2』で、『STOPLIGHT』はこのニューアルバムのラストに収録されています。

ボサノバとドラムンベースの組み合わせが気持ちいいですね。
ドラムンベースは1990年代に生まれたジャンルですが、NewJeansの曲にも使われていましたね。今またブームになっているんですね。
ボサノバもドラムンベースも新しさはないのに、アップデートされているのか新鮮に響きますね。大好きな曲です。

M-4 『will』 paranoid void

4曲目は日本のバンド、paranoid voidの『will』を聴きましょう。

今日は音楽ジャンルの話が多いような気がしますが、paranoid voidは紛うことなきマスロックのバンドでしょう。
マスロックは、「Math=数学」という名前からもわかるように、変則的なリズムを多用するのが特徴で、Radio Chidorianで紹介したことがあるバンドでは、Elephant Gym、ZAZEN BOYS、toeなどがこのジャンルに含まれるのではないでしょうか。
今回紹介した『will』も13拍が一組になっていて、楽譜的に言うと、7/8拍子と6/8拍子が1小節ずつ交互に繰り返されます。このちょっと変なリズムに乗れると最高に気持ちいいんですよね。
paranoid voidは2013年大阪にて結成。「国内外で活動するマス・ポストロックを主軸とするスリーピースインストゥルメンタルバンド」と、公式YouTubeチャンネルでは紹介されていました。

M-5 『手機錢包鑰匙菸 Phone, Wallet, Keys, Cigarettes』 美秀集團 Amazing Show feat.盧廣仲 Crowd Lu

最後の曲は台湾から。人気インディーズ・バンド美秀集團と、こちらも大変著名なシンガーソングライター盧廣仲(ルー・グワンチョン)のコラボ曲で、9月にリリースされる美秀集團のニュー・アルバムに収録されるようですね。

スマホ、財布、鍵、タバコ。何度声に出しても忘れるのに、彼女のことは忘れられない、という、まとめ方がザックリし過ぎていて身も蓋もありませんが、とても切ない失恋ソングです。
私の美秀集團のイメージって、下の画像の感じなので、こんなに切ない曲が出てくるとは思いませんでした。ファンの人には怒られますね。

美秀集團(中央の光ってるのは楽器です)

この曲を知ったのは、台湾を中心にアジアの音楽情報をガンガン発信されている中村めぐみさんのSNS投稿(リンク)からだったのですが、彼女もこの“哀愁”に注目し、長年台湾音楽が築いてきたものだと指摘しています。

MVで、彼女のことが忘れられない男性を熱演しているのが盧廣仲さんで、彼女役は俳優の睦媄 Mu Meiさん。お店で食事しているのが美秀集團のメンバーです。

概要欄には、当初この曲はリリース予定がなかったが、盧氏がトラックを録音し始め、アレンジを完成させ、プロデュースまで名乗り出たと。で、録音したら今度はミキシングを20回以上繰り返し、ミキサーに「自分の曲より真剣じゃねーか」とぼやかれたと。前のめりの盧氏がとても可愛かったと謝辞が述べられています。

それでは今回はこの曲を聴きながらお別れです。また次回をお楽しみに。
美秀集團 feat.盧廣仲で『手機錢包鑰匙菸』。

※今回ご紹介した曲を加えたRadio Chidorianのプレイリストです。Spotifyのみになりますが、よかったらお聴きください。


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