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コラム「なるほど。」

 なるほど、は理解それと、共感の意味合いを持つ言葉だと思うのですが、それを「感想」の意味で使われるのが嫌いです。
 きっかけは、ネットで怪談を話す番組を見た時でした。芸能人が自身の恐ろしい体験談を語り合う、対談形式の番組で、メインのコメンテーター(怪談に詳しいらしい)がいて、実際に体験談を話す芸能人は毎回変わるようでした。
 一人一人自身の体験談を語ってゆくのですが、話を聴き終えると、そのメインコメンテーターが、だいたいのシーンで「あーなるほどね~」とか「なるほどなるほど〜」って頷くんですよね。
 そして知ったような顔で「あー、その幽霊は自分と同じ境遇の人を探していたんでしょうね」や「それはきっと過去に何か凄惨な事件の被害者の地縛霊かもしれないですね」とか続けるんですよ。
 お前に何が分かる⁉ と言いたい。
 命を落としてまで現世に想いを残した魂の行動、発現、そして、それを体験し、語った人の伝えよう、怖がらせようという努力を1ミリも理解しようとしていない「感想」としての「なるほど」を繰り返されると、せっかくの怪談話すらも楽しめなくなってしまいます。
 たとえば怪談の感想であるなら「うわ!怖ッ、その話本当ですか⁉」とか「気味悪いですね~」で良いんですよ。その方がその後の話だって盛り上がるでしょうし、それこそ「なるほど」で終わらせられたら、幽霊も怪談師さんも浮かばれないというものです。
 ビジネスにおいても「なるほど」は上から目線だと受け止められがちだと言いますからね。
 なるほど、は必要な言葉でとても便利なのですが、それは、ちゃんと話や相手を理解しました、という場面でこそ使っていただきたいと思うのです。
 

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