【選挙ウォッチャー】 参院選2022・N国党の山本太郎同姓同名作戦。
今度の参院選で、何が何でも得票率2%を超え、是が非でも1議席を取りたい「NHK党(旧・NHKから国民を守る党)」は、「山本太郎」という名前の、同姓同名の候補を擁立すると発表。れいわ新選組の山本太郎さんを良く思わないアンチ票を取り込むと同時に、れいわ新選組の山本太郎さんに投票したいと思っているけど、選挙のシステムがよくわかっていない人たちがうっかり間違って「N国党の山本太郎」に投票してしまう効果を狙い、この作戦をN国信者の堀江貴文が大絶賛。
れいわ新選組の山本太郎さんには、熱狂的な支持者がいる一方、熱狂的なアンチもいるため、立花孝志がこの作戦を発表した時には大盛り上がり。ネット民たちが「いいぞ、もっとやれ!」と言って、N国党に一瞬に追い風が吹きました。
実は今、5月29日告示、6月5日投票で、松戸市長選が行われているのですが、ここにN国党の山本太郎が立候補。参院選の直前に行われる話題性のある市長選に立候補することで、もっと「山本太郎同姓同名作戦」を知ってもらい、N国党の存在感を示す狙いがあります。
■ れいわ新選組にデザインを寄せるN国党
今年の松戸市長選は、現職と新人8人の合わせて9人が立候補する大乱戦となりました。そのうちの1人が「N国党の山本太郎」ということになります。ちなみに、れいわ新選組代表の山本太郎さんは、ここでは新人で元市議の原裕二さんを応援していますが、もちろん立候補はしていません。
皆さんが疑問に思う点だと思いますので、最初に書いておきますと、N国党の山本太郎は「本名」で、しかも、偶然にも同年齢です。
N国党と言えば、選挙ポスターに提携のデザインがあり、尊師・立花孝志とツーショットで写るのが「お決まり」です。しかし、今回の松戸市長選では、うっかり「れいわ新選組」の山本太郎さんだと錯覚してもらいたいこともあり、デザインを「れいわ新選組」に寄せた結果、こうなりました。
この記事に辿り着くぐらいのリテラシーを持った方は、このポスターを見た瞬間に「こいつは、れいわ新選組の山本太郎じゃない!」と思えるはずですが、「山本太郎」という名前だけが先行している高齢者層などは、「こんな顔だったっけ?」と思いながら、「れいわ新選組」の山本太郎さんだと勘違いしてしまうかもしれません。写真ではなく、微妙にイラストっぽくしているところも「うっかり」を誘発するための作戦です。
いくら何でも「間違える奴はそう滅多におらんやろ!」と思うかもしれませんが、「国会議員だった山本太郎さんが松戸のために市長になってくれるんだが?」と言ってしまう超ホゲホゲした高齢者が100人でもいれば、N国党としては大儲けになる計算です。人口約50万人の松戸市で超ホゲホゲした人たちが100人しかいなかったとしても、約1億人の日本全体では2万人くらい間違える計算になるからです。
そして、この作戦を聞いた堀江貴文が「やっぱ立花さん、天才!」と言って脳味噌をアハつかせているので、堀江政経塾やら堀江貴文イノベーション大学校なるものに通う、自称「意識高い系」の男たちも同じように洗脳されていき、よりによってN国党から立候補するという現象が起こっています。
しかし、冷静になって考えてもらいたいのですが、百歩譲って、N国党の山本太郎が訴える内容が良いと思って投票するならともかく、違う人に投票しようとしている票を「勘違いさせて、かすめ取る」という行為は、民主主義を愚弄するものでしかありません。
こんなものは天才的発明でも何でもなく、ただの「詐欺」です。
詐欺といえば、今度の参院選でN国党は、副党首だった大橋昌信まで「海外逃亡中の詐欺師じゃないか!」と言って批判する「ガーシー」こと東谷義和を擁立しています。尊師・立花孝志にとって、「詐欺」は大した犯罪ではないということなのでしょう。これまでも公然と「騙される奴が悪い」と言ってきましたし。
■ N国党の山本太郎、ついにベールを脱ぐ
N国党の山本太郎が松戸市長選に立候補したことで、ついにその全貌が明らかになりました。やはり「コロナはただの風邪」だと思っているタイプなのか、基本的にはノーマスクで過ごしていたN国党の山本太郎。
もともとは、堀江貴文のイベントに参加し、尊師・立花孝志と名刺交換をしたことで、「山本太郎と同姓同名だ」ということになり、すぐさま選挙に立候補しないかとオファーを受け、参院選への出馬を決めました。
参院選の前に、せっかくの「山本太郎同姓同名作戦」を多くの人に知ってもらいたいという思惑があってか、松戸市長選にも立候補しないかと打診され、松戸に住んでいるわけでもなければ、それまで松戸を訪れたこともなかったけれど、このたびの松戸市長選にも立候補を決め、1週間にわたって松戸市内でN国党の政策を訴えるといいます。
N国党の選挙公約は、NHKをぶっ壊す、犬猫殺処分ゼロ、医療大麻導入検討という3点です。尊師・立花孝志は、「3年前に掲げた公約は100%達成できた」という寝言を言っていますが、それでもなお一丁目一番地の公約に「NHKをぶっ壊す」を掲げているのですから、相変わらず、公約は何も達成していないと考えていいいでしょう。
意外と知られていませんが、犬猫の殺処分については、毎年減少を続けており、ゼロに近づきつつあります。これは殺処分ゼロを目指して地道に活動している方々の努力の賜物ですが、だんだんと大きな公約として掲げるほどではなくなりつつあることは知っておいてもいいでしょう。
そして、N国党の山本太郎が最も訴えたいのは「大麻」です。N国党の山本太郎は大麻の解禁を目指しており、今は違法となっているものの合法化を目指し、活動をしています。
たとえ「大麻の解禁」というテーマであっても、それをやりたいと思った瞬間から「政治」であるため、「政治的な思想はない」とは言わないのですが、「政治的な思想がアレ」とは言えるのではないでしょうか。
よって、れいわ新選組の山本太郎代表とは、まったくの別人で、政治的思想においてもシンクロする部分はないと言えますが、N国党の山本太郎は今度の参院選では「比例区(全国比例)」から立候補するため、もし「れいわ新選組」の山本太郎さんに投票したいのであれば、投票システムをよく確認した上で、間違いないように投票していただきたいと思います。
ちなみに、「れいわ新選組の山本太郎」には東京都に住んでいる人しか投票ができません。全国の山本太郎ファンの皆さんには残念なお知らせですけれども、山本太郎さんには投票できないため、比例では「れいわ新選組」と書くのが最も応援になるでしょう。もし間違えて「山本太郎」と書いてしまった場合には、それらの票はすべて「N国党の山本太郎」の票になってしまいます。くれぐれもご注意ください。
■ 山本太郎どころではないN国党の台所事情
600万円の供託金さえ用意してくれれば、どんな人でも公認すると宣言したため、N国党に600万円を持って公認してほしいと現れた女性がいました。現在は公認が取り消され、一般人となったことに加え、彼女がN国党の被害者になっていることから、名前や顔の公開は自粛させていただきますが、現在は日本に帰化されている中国出身の観光バス会社社長です。
新型コロナウイルスが流行するまでは、中国からのインバウンド観光客がたくさん来ていたため、中国人をアテンドする観光バス会社は儲かっていました。なので、日本で頑張っている華人もいるんだということを知ってもらいたくて、「日中友好」を掲げて立候補しようとしたところ、知人にN国党を紹介してもらい、公認候補となったという経緯のようです。
ところが、N国党からは在特会の幹部だった極右の西村斉なども立候補する予定であり、華人の挑戦は受け入れられませんでした。さらに、ネット上ではさまざまな憶測が飛び交うようになり、「中国共産党による工作活動の一環ではないか」と言われるようになり、彼女のもとには大量の誹謗中傷が寄せられるようになりました。
N国党は、アホの陰謀論者・黒川敦彦が幹事長を務めているため、彼女に鬼電したあげく、「電話に出ないのは怪しい」などと言って、もはや完全にスパイ扱いをしたあげく、いよいよ彼女の会社の前で街宣活動を始めようと宣言しました。
中国出身の方を擁立すれば、さまざまな憶測が飛び交うことになることは予想できるわけですから、事前に「身体検査」をして、何も問題がないことを確認してから立候補させるべきだと思いますが、とにかくお金を払ってくれるのであれば、どんな人でも公認すると宣言したため、このたびの騒動が起こりました。
その上で、彼女が「中国が送り込んできたスパイかどうか」は、スパイであるということも、スパイでないということも難しいです。どれだけスパイではないと言っても信じてもらえないだろうし、逆にスパイだったとしても自分から「実はスパイです」とゲロるアホはいません。
なので、この騒動に「スッキリとした決着」なんていうものは存在しませんが、アホの幹事長・黒川敦彦は、大きな声で「スパイ疑惑がある」と言って、会社の前で迷惑な街宣行為を行うそうです。
ネトウヨからの票を獲得することで議席獲得を目指すN国党なので、こういうパフォーマンスをしなければならない事情ってものがあるにせよ、こうなってしまうと、N国党から立候補しようとした中国出身の女性は被害者です。N国党なんていう「反社会的カルト集団」に関わってはいけないことを身をもって証明してしまった形です。
■ 選挙ウォッチャーの分析&考察
今回の松戸市長選は、老朽化した市庁舎の建て替えをめぐり、現地で建て替えるか、移転をするかが争点の一つとなっています。現地建て替えにすれば、少なくとも40億円以上は無駄を削減できると主張している無所属の原裕二さんには、立憲民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組、緑の党グリーンズジャパン、新社会党などが「応援」という形を取っており、6月3日には「れいわ新選組」の山本太郎さんが街頭演説をする計画となっています。N国党にとっては、N国専属広報紙の東スポの記者を引き連れ、「山本太郎vs山本太郎」を見せる絶好のチャンスとなることから、ひと暴れしてくる可能性は否定できません。この詳細は、松戸市長選のレポートでお届けいたします。
松戸市民の皆さんにとっては、こんなにバカにされた選挙も、そう滅多にあるものではないかと思います。しかも、N国党の山本太郎が市長になった時には、無条件で「立花孝志が副市長になる」と宣言しています。国政政党の党首を辞めて、山本太郎市長のもとで「副市長」として働くとしていますが、こんな奴が副市長をやった日には、いよいよ「松戸がぶっ壊れる」ことになるでしょう。
松戸市の財政は、ただでもこの3期12年の間に借金額が猛烈に膨れ上がっているのに、自分の政党さえポンジ・スキームに陥り、10億円以上の借金に返済の目途が立っていない「自称・経理のプロ」の立花孝志がやりたい放題にやった日には、間違いなく松戸がぶっ壊れます。なにしろ、「選挙のプロ」と言いながら選挙で92連敗し、「法律のプロ」と言いながら懲役2年6ヶ月・執行猶予4年です。「経理のプロ」についてもお察しください。
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