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【選挙ウォッチャー】 なぜ「暇アノン」になるのか。

 先日、僕が「この人は『暇アノン』だ」と思っている方々と4時間にわたって話をする機会があり、なぜ「暇アノン」になってしまうのかという構造の一端が垣間見えた気がしましたので、これは一つ、まとめておく必要があると感じ、筆を執ることにしました。
 あらかじめ言っておかなければなりませんが、僕がこの記事を書いた動機は、べつに煽っているわけでも、ケンカを売っているわけでもありません。おそらくご本人は「ケンカを売っている」と思うかもしれませんが、昨今の社会現象について、感じたことを文字にまとめておくことで、これから起こすさまざまな出来事のヒントにならないかという目的で書いています。
 せっかく4時間も話をした中で、何か一つでも学んだことがないと、本当に時間の無駄になってしまうし、ネットでの論争(おそらく傍目から見たら口喧嘩のようなもの)が終わってからも、僕はさまざまな「なぜ」を考えましたので、これをまとめたいと思います。


■ 仁藤夢乃と大津綾香の類似性

 ご存知のように、僕は反社会的カルト集団「NHKから国民を守る党」を専門にしており、けっしてColaboの問題を専門に扱っているわけではありませんが、多少なりとも「暇空茜」を名乗る男性を中心に巻き起こった騒動に関心を持って見てきました。
 N国党に関する話は、ほぼすべてを網羅するつもりで情報を追いかけていますが、Colaboをめぐる問題については、すべて網羅できているわけではありません。ただ、だいたいの起こっていることは把握していて、僕は常々思っていました。
 なぜ仁藤夢乃さんは、ここまで攻撃を受けるのか。
 それは時々、ネット上で過激な物言いをしたり、一部のアニメを愛する人たちにとって理解のできない基準でのダメ出しなどで、「こいつ、めっちゃ嫌いやわ!」と思うことはあるかもしれませんが、かと言って、そこまで執拗に追いかけ回す情熱は湧いてきません。毎日、仁藤夢乃さんがネット上で何を言っているのかを逐一チェックし、それに対してガタガタと意見を述べるほど、何か思うことがあるだろうかと思うのです。
 こう言うと、アホのN国信者は「オマエだって立花孝志に対して似たようなことをしているじゃないか」と思うかもしれませんが、僕は立花孝志に自宅を晒され、住所などの個人情報を晒され、大量のパンフレット攻撃を受けたり、ウンコが届いたり、取材の現場で集団で取り囲まれたり、さまざまな直接的な体験を経て、「そこまでするのでしたら、最後までお付き合いしましょう」となり、ほとんどの人が興味のない「NHKから国民を守る党」のヤバさを伝えようとしています。

 今、皆さんに訴えていることは、6月20日に行われる東京都知事選に売名とビジネスを目的として30人の候補者を擁立しようとしているところです。皆さんは、これが批判されるべきものではないとお感じでしょうか。
 立花孝志という男は、何かがあると(何もなくても)すぐに裁判を仕掛けてくる男です。なので、N国党を批判することには常に裁判のリスクが伴うため、大手メディアですらN国党を取り扱うのには及び腰ですが、それでも無批判ではいられないため、日々、N国党の問題点を皆様にお伝えしています。
 N国党についての説明はこれぐらいにして、これまで仁藤夢乃さんや運営する「Colabo」という団体は、ほぼ「ネットリンチ」という言葉がピッタリではないかと思うほどの猛烈な批判に晒されてきました。
 もちろん、仁藤夢乃さんや「Colabo」に大きな問題があって、その事実を批判するのであれば何の問題もないのでしょうが、現状、ほぼ「デマ」だと言ってもいいような内容の批判をネットリンチ的に受けていると思います。 
 そして、仁藤夢乃さんが受けているネットリンチと、ほぼ似たような構造になっている問題として、「N国信者による執拗な大津綾香叩き」があると考えています。
 論戦の中で、「暇アノンの定義は何か」と聞かれたので、僕は「暇空茜なる人物の話に賛同し、疑いもせずにColaboや仁藤夢乃さんを攻撃している人物」だと述べましたが、これをそのまま「暇アノン」「N国信者」に置き換え、「暇空茜」「立花孝志」に置き換えれば、まったく同じ構造になっていると考えているのです。
 そして、彼らの目的が「Colaboの不正を追及したい」ではなく、「仁藤夢乃を追い込み、苦しむ顔が見たい」になりつつあるように、大津綾香党首に対しても「大津綾香を追い込み、苦しむ顔が見たい」になっているということです。そして、「この加害性の源は何なのか?」を考えた時に、僕はそれこそ「その根底にミソジニーがあるのでは?」と考えているのです。
 この「N国信者」「大津綾香」の話を少ししておくと、たくさんの人が支えているColaboと異なり、世間一般の関心がほとんどない「みんなでつくる党」は支える人が極めて少なく、Colaboのような反論や反証ができていないことに加え、N国党の暇空茜である立花孝志が、今も大津綾香を攻撃するように仕向ける発信をし続けているせいで、今も問題が続いています。


■ 「ミソジニー」に過剰反応する人たち

 まず大前提として、僕はフェミニストではありません。
 なるべくフェミニスト的な視点を持とうと努力こそしていますが、やはり僕はどこまでも日本人男性で、「女子供は黙ってろ」みたいなことは思っていないものの、フェミニストの方々が言う「女性にとって、これは不快」を理解しきれていないのだと思います。なので、最終的にはモテません。
 あるいは、表現の自由戦士たちが必死に抵抗している「18歳未満の少女を描いたエロ漫画を禁止する」みたいな話についても、現実の未成年の女性をエロと結びつけるのが御法度なのは当然として、マンガについては「しょせん、どっかのフガフガしたブサイクなオッサンが描いている変態丸出しのイラストであり、ただのゲロキモアイテムである」としか思っていませんので、存在すらしない女性の性的な云々が議論になっても、まったくピンと来ていません。
 この「ピンと来ていない」ということをもってして、僕はフェミニストの方々から言わせれば「ミソジニー」かもしれないし、そう批判されるのであれば、それはそうなのかもしれません。だから、「自分は断固としてミソジニストではない」と考えるのではなく、「もしかしたら自分にもミソジニーの心があるかもしれない」と考え、「それはフェミニストの極端な意見じゃないのか」と感じることがあっても、まずは話を聞き、自分の中で消化することができたら、それを一つずつ受け入れようと思っています。
 そもそも日本は「家父長制」という考え方が根強く残る特殊な国です。
 それは僕が生業としている「選挙」にも色濃く表れていて、政治の世界に女性が進出することは少ないし、野党の女性たちほど猛烈な批判に晒される傾向にあり、「政治家なんだから批判されるのは当然だろう」と思うかもしれませんが、野党の女性たちに批判が集中する傾向にあるのは、その根っこの部分で「Colabo」の問題とつながるものがあると考えています。
 まさに今、僕は6月16日投票の沖縄県議選を取材していますが、全73人の候補者のうち、女性は13人しかいません。沖縄県議選の定数は48ですから、仮に全員が当選しても4分の1程度にしかなりません。この中には情勢的にかなり厳しい人もいますので、実際に議員になる人の数はもっと少なくなると考えられます。
 これは潜在的に、政治の世界に女性たちが入り込むことを望んでいなかったということになろうかと思いますが、「どうして望まなかったのか」ということを言えば、「政治は男性がやるもの」という空気があり、女性たちが口を挟もうものなら「女子供は黙ってろ」の精神があったと思います。どうしてこう考えるかと言えば、先陣を切って政治の世界に飛び込んできた女性議員たちの多くが「女子供は黙ってろと扱われてきた」と証言しているからです。なんとなく「おばあ」の言うことが強そうな沖縄でも、女性たちの政治進出は思うように進んでおらず、世界的な指標となっている「ジェンダーギャップ指数」が146カ国のうち、125位まで後退していることがすべてを物語っているのではないでしょうか。


■ 「暇アノン」と「N国信者」は弱者男性

N国信者はデータを見ても9割が男性であり、女性は1割ほどしかいない

 大津綾香叩きに明け暮れているN国信者とは、どのような人なのか。
 これは、YouTubeなどで顔出しで大津綾香叩きをしているN国信者がいますので、ぜひ検索して見てみてください。もれなく「うだつの上がらない弱者男性」です。
 Colaboを叩いている男性たちを見ても、ほぼ似たような傾向にあるのではないでしょうか。なにしろ属性が非常によく似ているので、N国信者の中にもColabo叩きをするような男性がいました。Colaboに対する批判がピークを迎えていた際、昨年4月の新宿区議選にN国党から立候補した人物が、新宿区役所前に展開されたColaboのバスの前で、嫌がらせの迷惑行為をしていたこともありました。

 そして、これが非常に重要なことなのですが、先日、4時間に及ぶ論戦を繰り広げた相手の方々は、「僕がどう考えているのか」という点についても間違った解釈をして、僕が目の前で何度も「そうではない」と否定しているにもかかわらず、自分なりの解釈を曲げず、僕の「思考」の部分が勝手に変換され、話が進められてしまいました。
 これは仁藤夢乃さんや大津綾香さんに対しても、まったく似たようなことが起こっています。つまり、仁藤夢乃さんが何をどう考えているのか、あるいは、大津綾香さんが何をどう考えているのかは、本人しか知り得ないにもかかわらず、例えば、N国信者であれば「大津綾香は党を乗っ取りたいと考えている」とか「大津綾香は党のお金を自由に使えないかと考えている」というオリジナルストーリーを前提にして、物事の話を勝手に進めてしまう傾向にあるということです。
 そして、この問題の深刻なところは、仁藤夢乃さんや大津綾香さんの気持ちが「オリジナルストーリー」によって補われた結果、仁藤夢乃さんや大津綾香さんが「非常に悪いことを企んでいる人間だ」と感じるようになり、現実と大きくかけ離れた「巨悪なモンスター」へと脳内成長してしまうということです。
 さらにタチが悪いことは、こうした「巨悪なモンスター」と化してしまった相手のことを、けっして能力が高いとは思っていないため、「無能であるにもかかわらず、ここまで大きなことになっているということは、バックにナニカがあるに違いない」と感じてしまうところです。しかし、これはディープステート陰謀論と同じで、そこは「パラレルワールドの入口」でしかないのです。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

4時間に及ぶ討論の、ほんの1時間ほど前まで見ていた沖縄の午後8時の夕焼け

 世の中には、ろくでもない父ちゃんというのは、たくさんいるものだと思っています。もちろん、僕が父ちゃんになったとして、僕が立派な父ちゃんになれる自信があるかと言われたら、さほど自信はありません。
 ただ、守るものが何もない「無敵の人」ならともかく、家族がいるというのであれば、少なからず、Colaboのような若年女性を支援する団体に対して嫌がらせをかまし、世間から後ろ指をさされてしまうようなことは避けたいと思うものではないかと思うのです。ましてや、裁判次第では、そこに正義がないことを認められかねないのです。相手がカルト政党やカルト宗教のようなものであれば、仮に正義が認められなかったとしても、まだ救いがあるかもしれませんが、よりによって困窮している若い女性たちを助けようという団体に対し、しっかり手続きに乗っ取って粛々と詰める作業をしていたならともかく、「キェーーーーッ!」と言いながら叩き切ろうとして返り討ちに遭いそうなのです。父ちゃん、マジで勘弁してくれ!
 これは今、まさに大津綾香党首を攻撃しているN国信者たちにも同様のことが言えるのです。「Colabo」「みんなでつくる党」のネットリンチは根底でつながっています。

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