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パンチャカルマ体験記/panchakarma note

*このシリーズは2019年8月にサトヴィックアーユルヴェーダスクール主催のパンチャカルマツアーに参加したときの体験記です。

2019.8.26


プネ近郊のワゴリにあるアーユルヴェーダ病院に滞在しています。これで3回目の滞在ですが、本当にここに来るとホームに帰ってきたような安心感を覚えます。ドクター達やスタッフさん達が温かく迎えてくれて、患者さん達の治療に一生懸命になってくれるのが安心できる大きな理由の一つです。

ヨガとアーユルヴェーダ、どちらもインドに源流のある教えです。

ヨガはポーズの練習やその基礎となる動きの練習をすることで、痛みをなくすなどの肉体的な効能にとどまらず内面的な効能も受け取ることができます。アーユルヴェーダは医療ですので体の疾患を治したり予防するもので、西洋医学との一番の違いは痛みをとれば終わりではなく根本原因から治していくところです。

健康な体に健康な心が宿るように、ヨガでもアーユルヴェーダでも肉体を整えるのは重要です。なぜならどちらも健康で人生に与えられた役割を果たしていくことを説いているからです。肉体を健やかに保つために、ヨガではシャットクリアという浄化法が、アーユルヴェーダではパンチャカルマという方法があります。

シャットクリアの一つであるネティは脳と一番近い鼻の奥を綺麗に保つ方法で、パンチャカルマでは体の中に溜まった毒素のような不必要なものを、不必要なものが溜まっている箇所から一番近い穴、口や肛門を通じて排出させていきます。長年積み込んできた不要なものを出していくのは楽ではないですが、そうすることで例えば喘息の発作が出なくなったり、内臓の病気が改善していきます。

今回は自分も治療を受けつつ、アーユルヴェーダの勉強とスパイス料理、特にアーユルヴェーダの指針に沿ったお料理の勉強も深めたいと思って滞在しています。

アーユルヴェーダのダヌワンタリ神

参加しているサトビックアーユルヴェーダスクールのパンチャカルマツアーでは滞在初日にはプージャがあります。これはこれから始まる治療がうまくいくように、そして患者さんや病院関係者だけに限らず周りの人々の健康を祈ります。プージャの進行や祭壇の周りの飾りには全てに意味があり説明を聞くと興味深いことばかりです。お坊さま達の唱えるマントラの音が体の細胞ひとつひとつに響いてきます。

その後には患者さん一人一人にドクターがついて詳細な問診を行なっていきます。病歴や体の不調を確認されたり日々の食生活や生活スタイルを詳しく聞かれます。これがベースとなってジュニアドクター、シニアドクター、そしてサダナンダ先生の回診を経て最終的な治療方針が決定します。

誰一人として同じではない、それぞれ違っていて当たり前だということがみえてきます。ここでは画一的な処置というのがありません。食べてきたものが違えば体型も違いますし、育ってきた環境によって性質も違います。ですので患者さんへの治療はオンリーワンのプライベートなものです。そういう対応ができるのがアーユルヴェーダの治療なのだと感じます。今回も患者さん全員の治療が実りのある結果になることを願ってやみません。

2019.8.29


25日から治療が始まりました。最初3日間はオイルマッサージのスネーハナ、スチームによる発汗のスベーダナ、オイルを使ったマトラバスティの組み合わせで、大体どの患者さんも同じメニューです。そして朝と晩にはジュニアドクターによる回診があります。脈と血圧を測り食欲はあるのか睡眠は良かったか何か問題はないか、丁寧に聞き取りしてくれます。夜の回診では翌日のトリートメントメニューが配られて、どういうことをするのか説明してくれます。

トリートメントが終わったら1時間ほど休んでシャワーを浴びます。随時身の回りの世話をしてくれるマウシーが来てくれてお湯を運んだり洗濯物を回収してくれます。シニアドクターの回診もあって、ジュニアドクターの朝晩の聞き取りを確認したり症状を確認した上で必要な患者さんには追加の飲み薬などが処方されます。

私は8月中旬に発熱して、それ以来咳が止まらず声が割れたりしていたのですが、治りそうで治らないのでドクターに症状を説明して飲み薬とギー入りの生薬うがいを処方してもらいました。すると半日程度で症状が治ってきて効果てきめんです。

そうこうしているうちにランチ。ランチは大体おかず2種類とチャパティとご飯の組み合わせですが、チャパティがとっても美味しい!タッパーに入れて配膳されるのでチャパティは大体冷めているのですが、それでも柔らかく層になっていておかずに浸して食べるのが至福です。ご飯を食べた後は回廊をゆっくり歩いて消化を促します。特にお通じが悪かったりするとドクターから歩くことと白湯を飲むことをアドバイスされます。

パンチャカルマ中は体調をアイドリング状態にしなさいと言われます。動きすぎず、怠慢になりすぎず、ゆったりリラックスして過ごすことが患者さんのお仕事です。そういう意味でアイドリングではなく駐車になってしまう昼寝は厳禁。そこでサトビックさんのツアーでは色々なアクティビティが用意されています。アーユルヴェーダ薬局で製剤の様子を見せてもらったり、クッキングクラスがあったり、デーバナーガリーの読み方書き方を教えてもらえたり飽きない工夫がされていて感心します。

スパイスを使うシンプルな作り方

昨日はプラバタイのクッキングクラスがありました。メニューは帰国してからもすぐに使えるようにキチャディ(お粥)です。油を使ってタルカしてから作る方法と、最もシンプルに材料とスパイス少しを加えて作る方法の2種類を教わりました。今日はギーの作り方を見せてもらう予定です。オーセンティックな方法が作られるギーは体の中で悪さをせず良い効能だけをもたらすのだそうです。

2019.9.1

攪拌している様子

プラバタイに昔ながらの真正なギーの作り方を見せてもらいました。滞在している病院の敷地内に牛が飼われているので、その牛たちから取れた搾りたての牛乳が材料です。

まず牛乳を温めてクリーム部分を取り分け、ヨーグルト種を加えて一晩置きます。このヨーグルトには脂肪分も含まれています。そのヨーグルトをチャーニング(攪拌)していきます。昔は木の棒で攪拌していたそうですが、今は電動マシンを使用します。ある程度バターとして固形になってきたらバターを取り分けます。残った液体がバターミルクです。このバターミルクにはオリの様な不純物が含まれていて飲む前に濾すことが多いようです。

その場でバターミルクを試飲させてもらいましたが、加えたのは少量の塩とヒングのみ。濃厚で美味しいバターミルクでした。ただし、カパを増やすので、患者さんの容体によってはこういう試飲も禁止です。

取り分けたバターを鍋に入れて火にかけ、水分が飛んで泡が出なくなったら黄金色のギーの出来上がりです。芳香のあることったらありませんでした。

こうして作るオーセンティックなギーはオイルであってもコレステロールを増やすことはないそうです。市販のギーはどうか聞いたのですが、製造方法が分からないのでなんとも言えないそうです。

インドで1番神聖なオイルであるギーは料理にはもちろん、治療にも使われます。ギーを使った製剤もありますし、薬用のギーを治療の前処置として飲むこともあります。

2019.9.3


病院の敷地内で飼われている牛の話を説明してもらいました。インド原産の牛は8から10種類いて、ここで飼われいてる牛はおでこが丸くコブがあるのが特徴でマハラシュトラ州原産とグジャラート州原産の牛がいます。どちらもインドの強い太陽の光の中でも暮らしていける強い性質を持っていて、プラバタイの説明ではコブに太陽のエネルギーが集まることで牛から出るミルク、尿、便がとても神聖な効果をもたらすのだそうです。尿は農薬代わりに使ったりお清めの代わりに使ったり、便は乾かして燃料になりますので全く無駄がありません。

ジャージー種やホルスタイン種はインド原産の牛たちよりもおよそ2倍量のミルクを出すそうですが、同時に病気を引き起こしやすい原因を持っていることが最近の研究でわかってきているそうです。そのため、この病院で飼われているのはインド原産の牛にこだわりがあります。

搾りたてミルク

現在、ここでは12頭の子牛が生まれています。搾乳の時間は朝と晩の2回で、最初に子牛を連れてきてお母さん牛のミルクを飲ませます。そうすることで母牛は刺激されてミルクが出やすくなるのだそうです。少ししたら子牛を離して人間が手で搾乳します。乳は4つあって、搾乳しながらもどこにどれくらい残すかは人間の職人技です。

人間に分けてもらえるミルクをとったら最後に子牛を戻して食事タイムです。しかし、人間用に分けてもらっているので、子牛としたら飲み足りないし、母牛の近くにいたいしで離されるのを全力で阻止します。その様子の不憫さというか本能で抵抗する様子には申し訳なさを感じます。

この間、母牛はずっと食事を与えられています。搾乳する間、人間や搾乳したミルクの入った缶を蹴飛ばさないように母牛は後ろ足を紐で縛られています。お母さん牛は必ず自分が生んだ子牛にしかミルクをあげないそうです。他の母牛が生んだ子牛が近づいてきても蹴飛ばしてミルクを与えないと聞きました。

日中は放牧されて青草を食べているのですが、それだけでは水分が多すぎてミルクが薄くなってしまうので雑穀などの乾燥させた草、小麦のふすまなどの食事も与えるのだそうです。先日、初めてのお産が終わった母牛が子宮脱のような状態になって特別食を与えられていましたが、それはベーサンパウダー、ジュワリという雑穀、ジャガリに水を加えていました。配合考えたら人間のスイーツになりそうな材料です。

こうして取れたミルクはこの後ギーを作るために人間が加工します。最初のクリーム分をとった後のミルクは私たち患者のチャイの材料となります。病院のチャイが美味しい訳はここにありました。

2019.9.6


患者さんのトリートメントは毎日続いていますが、大学ではガネーシャ祭りが大学祭のような感じで行われています。パンチャカルマ病棟の隣には大学とガンプロジェクトのリサーチセンターがあり、数日前から学生さんたちがガネーシャ祭りの飾り付けを行なっていました。

学生手作りの祭壇

大学からガネーシャ祭りへの招待状を頂き、初日の午後のアールティには患者さん全員と参加してきました。ガネーシャ様にお供えしたものは儀式が終わるとプラサードとして参加者に配られるのですが、2日目はスクマール先生率いるアタルバ製薬さんが揚げモーダカをプラサードに配ってくれました。3日目の午前のアールティにはシニアドクターのアンジャリマダムとサリーカマダムが美しいサリー姿で参加されていました。

患者さんにも配られるプラサードですが、甘いお菓子ですのでカパをあげて粘液を増やします。ですので患者さんの容体によっては、一口にしなさい、全部は食べないように、とドクターからチェックが入ります。パンチャカルマ病棟からすぐ隣の大学の建物まで歩いて行くにも、外を歩くためにできるだけ耳まで塞ぐ帽子をかぶったり靴下をはくなり、無防備な格好にならないようにと言われます。耳に綿を詰めるだけでもヴァータ対策になります。

患者である我々は午前中は治療です。最初の3日間はほぼ同じメニューでしたが、4日目からは患者さん個人に合わせたメニューが始まりました。私の場合はアビヤンガ、スベーダナ、シロダーラ、バスティ(ビッグバスティとスモールバスティの組み合わせ)、タイラパッティが1週間続きました。生理や発熱するとトリートメントは一旦中断して、回復次第で再開されます。治療の基本的な日数は1週間単位ですが、これも患者さんによって変わってきます。

私は額にオイルを垂らすシロダーラが1週間続きましたが、3,4日するととにかく午後の時間が眠くて眠くて起きているために廊下をちょっと歩いたりして過ごしました。シロダーラはオイルが毛髪全体に行き渡るので、病院でもらうハーブシャンプーを使っても落ちきらず、乾かしてもオイルが残った感じになります。そこで便利なのはオイルまみれになっても良い毛糸の帽子や捨てていけるようなショールです。今回は友人がこれ用にプレゼントしてくれたものを被ったり、手ぬぐいやコットンのショールを頭に巻いたりしています。

シロダーラでも十分に神経系へのケアはできるのですが、剃髪した上で頭頂をオイルに浸すシロバスティーは最も効果が高いと言われています。それをサトビックアーユルヴェーダスクールの佐藤先生が今回自ら体験されているので、9月の連休の講座で解説してくださるようです。ご興味のある方は是非そちらを受講してみてください。

2019.9.11


ガネーシャ祭りも終わって平日の静けさが戻ってきました。終わったと言ってもここの大学のお祭りが終わっただけで、プネ市内ではまだお祭り期間が続いています。そして今日はケララのオーナム祭です。ここで施術をしてくれるのはドクターとケララからきているセラピストさんのペアなので、セラピストさんたちはご馳走を作るために早く帰宅します。場所がどこであっても、ケララの文化でお祭りするのです。広大な土地のインドではそれぞれ食文化や言葉や祝日が違いますし、現地の言葉が違えばインド人同士であっても会話はできない多文化国家です。

私自身のトリートメントは浄化のためのバスティが終わり、現在は滋養するためのバスティをしています。浄化では大量の煎じ液を入れて下剤のような感じで排出することが目的でしたが、滋養するためのものは量も少なく吸収させることが目的です。別名ミルクバスティ(友人曰く、アーユルヴェーダ版レッドブル)と言いますが、これはミルクにギー、その他の薬剤が混ざっています。

ここのドクターたちは毎日の回診でお腹の柔らかさ、ガスが溜まっているかどうか、舌のチェックなどをしてくれますが、その時に必ず食欲があるかどうかを確認されます。そして「according to appetite (食欲に従って)」食べてください、と指示されます。私の場合、ミルクバスティ初日にはあまり時間が経たずに排泄されてしまったのですが、翌日には6時間後、3日目にはオイルも何も排泄されませんでした。腸から直接吸収するということは腸でも食事をしているような感覚で、実際の食事をする時間になってもあまりお腹が空かなくなります。そこで大切なのが現在の食欲に従って食べる量を決めるということです。

普段時間がきたから食べるということが習慣になっていると、自分の食欲の程度を意識することはないような気がします。お腹がぐうっとなれば食べ物を消化する準備ができたという内臓からのお知らせです。そこからどの程度の量を食べたら何時間後に消化がすんで同じようにお腹がなるのか、そういう気付きを確認する良い機会がパンチャカルマです。

ご飯、チャパティ、おかず2種類

ここでの食事は朝食は消化に軽いもの、ランチはご飯、チャパティ、ドライ系サブジとスープ系サブジ、晩御飯はご飯、バックリー、スープ系サブジが2つになります。消化力が下がる夜にはスープ系にすることで消化しやすくする工夫がされているのだなと思いました。味は美味しいので食べ始めるとついつい食が進むのですが、自分の消化力に見合っていない量を食べるとお腹が重くなったりガスが出ますので、食生活を見直すきっかけになります。

2019.9.15

敷地内で放牧される牛

トリートメントも残りわずかとなってきましたので、これまで受けたトリートメントの内容を記録してみます。全身をオイルマッサージするスネーハナ、その後スチームで発汗させるスベーダナはほぼ毎日行われていて、その他にどんな治療が追加されるかは患者さん次第です。最初の3日間はmatra bastiというオイルを使った浣腸で、これは寄生虫などがいる場合に効果があります。最後に検便をして検査にまわします。

4日目からはniruha basti(ビックバスティ)とanuvasana basti(スモールバスティ)の組み合わせが入りました。どちらも浣腸ですが、ビッグバスティの場合は大量の煎じ液による浄化が目的で、スモールバスティはオイルを使った滋養が目的です。ドクターの回診で確認されるので、バスティの後は特に何回おトイレに行ったか、便が出たのかオイルだけが出たのかという結果を患者は記録しておきます。浄化の期間が終わってからはburhan basti(ミルクバスティ)でした。これは前回も書いたように腸から栄養を補給し骨まで滋養のための浣腸です。

私の他にも最後の7日間ミルクバスティを受けていた患者さんがいて、彼女が言うには体の変化は、まるでぬいぐるみの綿を新しく詰め直した感じがするそうです。内側からもちもちするようなそんな感覚なのだと言っていました。

私はこれの他に額に暖かいオイルを垂らすshirodhara(シローダーラ)を7日間、背骨に沿って暖かいオイルを浸したガーゼを湿布するtailapatti(タイラパッティ)を7日間、腰に小麦粉を練って作った生地で丸い土手を作ってそこに暖かいオイルを浸すkathi basti(カティバスティ)を7日間受けました。これはサダナンダ先生が脈診で私の体にコリがあると判断されたためです。

ヨガでも背骨はとても重要なエネルギーの流れている場所で、今回初めてタイラパッティを受けましたが、2回目の施術が終わって部屋に戻ったら、なんとも言えない幸福感というか内側から沸き起こる充足感を感じました。ヨガの練習がきっちり受けられた後の充足感とも通じます。カティバスティもタイラパッティも基本的には暖かいオイルにつかるだけの処置ですが、このオイルの薬効が皮膚から吸収されることで体内で勝手に仕事をしてくれます。それがどうしてこの幸福感につながるのか、先人がこういう知恵を残してくれていることに驚くばかりです。

私の場合は事前の脈診で基礎疾患はないと判断を受けていて、健康を一段階引き上げるためのトリートメントとなりましたが、更年期による熱が高すぎて体の中が乾燥しているので、それに対応するバスティが中心の治療となりました。患者さんによってはヴィレーチャナもしくはヴァマナという処置で悪化したドーシャを排出します。この場合は実際の治療日の前後で食養生も入りますのでトリートメント自体がお休みになることもあります。

トリートメント計画は最初のサダナンダ先生との回診で決まりますが、患者さんの体調によっても細かい計画は変更されていきます。サダナンダ先生は折をみて回診にいらしてくださって、患者さんの様子や治療の方針を確認してくれるので安心して治療に専念できます。

2019.9.22

入り口の東屋にて

21日間のパンチャカルマ治療と予備日を加えて4週間ぶりに帰国しました。確か前回は日本の景色に馴染めずに変な感覚があったのですが、今回はすんなり普段の生活に戻りました。変化を受け入れやすくなったのでしょうか。家族4人が1つのバイクに乗っているインドの風景を懐かしく思いますが。

アーユルヴェーダの古典であるチャラカサンヒター9章には「医者、治療薬、看護人、患者。この4本柱が必要な性質を供えていれば、病気を治すことができる」と書かれています。今回の滞在中はこれを何度となく思い出しました。

ワゴリのBSDTアーユルヴェーダ病院では、医者がしっかりとした治療計画を立て、そこに良い薬があり、看護人がきっちりと見守ってくれています。そうすると後必要なのは我々が良い患者になれば良いわけです。医者の診断に信頼をおき、闇雲に不安がるのではなくリラックスを覚え、自分の食欲に従って食事をすることです。

薬を飲んだからといってその効果はすぐには出ないかもしれない、他の患者さんと自分の体調を比べて卑下しても、日本とインドの治療を比較しても意味ありません。せっかく日本の日常生活をストップさせてインドまで治療に来ているのですから、全てを受け入れてみる、新しいことにチャレンジする心意気を持つことが重要なのだと感じました。

私は他のアーユルヴェーダ施設を知りません。他施設はもっと綺麗でお湯がふんだんに使えたり食事も美味しいのかもしれません。しかし、ワゴリの広大な緑の敷地と鳥のさえずり、牛が放牧されている日常風景と土地が持っているエネルギーは説明し難いパワーがあります。もしもこれからここに治療に来ることを検討されているならば、是非とも身を任せて良い患者になって欲しいと思います。それがパンチャカルマ中だけではなく、帰国後の生活も変えていく第一歩になるはずです。

帰国後は自分の責任で体を維持しなくてはなりません。私は3週間治療していましたので、帰国後も3週間を目安に消化力を育てていきます。簡単に食事を済ませるのではなく、何をどう食べたら消化に負担をかけずに栄養を取れるのか、病院に滞在中に食べていた食事を思い出しながら試行錯誤していきます。良い患者であることは、帰国後も続きます。神様がお住いの自分の体をメンテナンスすることは生涯続く大切なお仕事です。


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