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ボーダーブレイク家庭版勝手に反省会(いいところ編)

2023年5月15日、ボーダーブレイク家庭版(以下BBPS4)のサービス終了が発表された。
8月14日、BBPS4のメインコンテンツと言えるランクマッチの最終シーズンが終了し、ランクマッチが遊べなくなった。
この記事を書いている現在は課金なども終了し、全パーツがアンロックされた状態でカジュアルマッチなどの一部モードが遊べる状態で、9月9日のオンラインサービスの終了まで秒読みの段階となっている。

TwitterなどではBBPS4の終了を惜しむ声などが散見されるが、ここではそんなBBPS4の振り返りをアーケード版(以下BBAC)との比較などを軸にどこがよくてどこがダメだったのかを書いていく。長くなりそうなのでこっちにはいいことに絞って書く。

BBPS4の良かったところ

1.料金体系

  • 基本プレイ無料

  • ガチャ課金あり

  • プレミアムサービス(月額課金制)月1500円

BBACからの最も大きな変更点がこの料金体系だ。
BBACでは100円で260秒の時間制課金が採用されており、さらに武器や機体の入手にも数百円程度の課金が必要で、機体のカスタム中でもこの時間のカウントが進む仕組みとなっていた。この条件で一時間遊ぶと安くても1000円程度、丸1日程度遊ぶとどんな遊び方をしても良くも悪くも1万円はかかる仕組みとなっていた。

BBPS4では基本プレイ無料となったため、ゲームのプレイ自体は無料、BBACで有料であったトレーニングモードやカスタマイズも何時間やろうがタダとなった。
「タダだしやってみるか」という新規プレイヤーや、「武器は揃ってるからランクマッチやりこむぞ」「機体の構成を考えるの楽しい」「マップの下見やキャラコンの練習がしたい」という気合が入ったプレイヤーにとっては嬉しい仕様になったと言える。

その代わりに武器や機体の入手経路はほぼガチャからとべらぼうに悪くなったのだが、この点はサービス開始から時間が経つにつれてプレミアムサービスの拡張やキャンペーンによるガチャチケの配布などでちょっとだけ緩和された。

最終的には無課金プレイヤーでもプレイし続ければある程度は武器の入手がしやすくなっていたし、サービス開始当初に比べれば無課金・微課金にも優しくなっていたといえる。
キャンペーンやるぞってなった時に必要なプレイ自体はタダになったしね。ガチャの悪口は悪いところ編でたくさん書くのでこのへんで。

キャンペーンでもらえる報酬の例。
ガチャチケや課金通貨が含まれているのでやってさえいればガチャも結構引ける。
これがサービス開始当初からあってくれれば…

プレミアムサービスはサービス開始時から内容の変更を経ている。
最終的には月額1500円で各種便利系の機能が拡張される上に、ある時期までに実装されていた武器や機体パーツが自由に使えるようになる特典が付くようになったのが大きい変更だ。
環境トップとまではいかなくてもかなり戦える構成が使えるようになるため、プレミアムサービス自体は値段に見合う価値があるサービスだったと言えるだろう。

プレミアムサービスを利用したりガチャやキャンペーンなどで頑張ってパーツを揃えさえすれば、何日でも無料で遊び倒せるというのは大きな強みだったと言える。つまり課金すれば無料で遊べる。


2.プレイ可能時間の拡大、変更

  • カジュアルマッチ:24時間可能

  • ランクマッチ:開催期間中の12時~翌日午前3時

  • エクストラマッチ:主に19時~翌日午前2時

  • エキシビションマッチ:人が揃えばいつでも

  • トレーニングモード、ストーリーモード:24時間可能

カジュアルマッチ、エキシビションマッチに限ればプレイヤーのいるマッチを24時間楽しむことができた。

BBACではゲームセンターの営業時間に大きく依存していたため、プレイヤーが遊べる時間もそれに合わせて10時~23時や24時までとなっていたのが相場で、深夜に遊ぶことはかなり難しいゲームとなっていた。

BBPS4一番の目玉であるランクマッチはゲーム全体の人口が少ない影響か、毎日12時から午前3時までの開催であったが、BBACに比べればプレイ可能な時間自体は増えたのでこれもうれしい変更の1つだ。

もちろん機体のカスタムや一人でプレイできるモードはいつでもプレイできたし、プレイヤー同士で集まってエキシビションマッチを行うこともいつでも可能となったので、全体的に見てプレイできる時間帯はBBACに比べて伸びたのだ。


3.プレイ可能人数の大幅増

ゲームセンター事情つながりで、PS4を持っていればプレイできるというのもBBACにはない利点である。

BBACの事情を説明すると、ゲーセンに置いてあった筐体の数がそのままプレイ可能人口であったため、どれだけ人口が増えたとしても筐体の数を超えた人数はプレイができなかったのだ。
人気があった時期や週末などには数台の筐体を巡って交代待ちが発生することも多く、他の人とプレイする約束がある場合はそれに合わせて早めにゲーセンに行ったり別のゲーセンを探したり、交代のためのローカルルールを巡ってもめ事が発生することもしばしばであった。

この点、BBPS4でのゲームへの触れやすさについては言うまでもないだろう。
人数の多さでプレイが制限されることがないという点は、地味ながらACに比べて便利になった点だと言える。


4.ゲーム性とその移植のクオリティ

  • ゲーム性は健在

  • アケコンも後日発売

  • アケコン買ってゲーセンの操作性を再現可能に

BBACの後継という立ち位置でBBPS4はサービス開始したが、少なくともゲームプレイ中のシステムについてはほとんど違和感がない程度には忠実に移植が行われている。

ボーダーブレイクはコアと呼ばれる最重要拠点の破壊や防衛を巡って、戦闘・移動・味方のサポートといった様々な要素が盛り込まれた、TPSに似たゲームとなっている。
(公式曰く「ハイスピードロボットバトル」)

こういったゲーム部分の再現はもちろん、BBACの筐体のコントローラーを模した専用コントローラー、通称ボダコンも発売が行われ、操作感も忠実な再現が可能となった。

タッチパネル操作の削除や加速から巡航へのステータス変更など、完全移植とはいかなかった点こそあるものの、操作性やゲームの仕組みは基本的にBBACに忠実に移植されたと言えるだろう。

戦闘やキャラコンといった他ゲーでも見られる要素だけでなく、コア攻撃による一発逆転や、それをアシスト/阻止するために下手なプレイヤーでも貢献できるといった点など、ゲームの面白さに魅せられたプレイヤーは少なくないはずだ。


5.フレームレート、画質や映像関連の向上

  • BBAC:30fps→BBPS4:60fpsに

  • 全体的なグラフィックの向上

  • PS4の機能でプレイ映像や画像のシェアも簡単に

いい意味でBBACに忠実でない移植の変更点があるとすれば、このグラフィックの向上がその一つだろう。
一番わかりやすいのはフレームレートの向上で、fpsが二倍になったおかげでBBACとBBPS4が両方稼働していた時期には「 PS4版やったらAC版はカクカクして見える」とプレイヤー間で話題になるほどであった

また、ブラスト(ゲーム内でプレイヤーが操作するロボット)や武器のディテールや設定、作りこみはBBACからゲームの魅力の1つとなっており、そういったブラストの魅力も画質の向上でより見えやすくなったのだ。

機体だけでなく、背景などもキレイに

そして、PS4への移植が行われたことで、PS4のシェア機能によりプレイ映像のシェアや配信も誰でもできるようになった
BBACでは筐体にデフォルトで付いていた録画機能などはなかったため、ゲーセンに許可を得たり、自前の機材を用意して取り付けてもらったり、録画を行った後もエンコードなどの様々な手順が必要になるなど、えらく手間がかかったのだ。

ゲーム内画像は筆者が自分で撮った。
これもPS4の機能でできているので、本当に便利になったものである。

BBACとの関連を抜きにしても、ゲームをプレイしているうえで画質の面で不快感を感じることはほぼなかったし、ボタン一個で気軽にプレイ映像をシェアできる点はPS4に移植したメリットの1つと言える。


6.カスタム機能の変更、拡張

  • 気に入ったカスタムを保存し呼び出せる「ハンガー」機能

  • 所持パーツを並べ替えたり絞り込んだりできる「ソート」「フィルター」機能

武器や機体の種類が膨大なこのゲームでお気に入りの構成を考えるのは、楽しくも大変な作業である。
そんな中で苦心して考えた構成を「ハンガー」に保存し、マッチングごとに「ハンガー」を呼び出して使用することができるのがハンガー機能だ。
BBACではBB.NETへの登録、課金やネットでのハンガー登録操作も必要だったが、BBPS4では誰にでもこの機能が開放されており、さらに登録枠を課金などで増やすこともできようになった。

所持しているパーツのレアリティや各種ステータスでソートやフィルターをかけられるようになったのもパーツが豊富なこのゲームには欠かせない機能となっていた。
今時のゲームならこれくらいあってくれないと困るという意見も一理あるし、フィルター機能はサービス開始当初にはなく後からようやく追加された機能だ。
少なくともBBACでは出来なかったり制約があった機能なので、これもBBPS4の良い点として上げておきたいと思う。


7.ソーシャル系機能の拡充

  • エキシビジョンマッチで仲間やライバルとバトル

  • 招待機能を使って仲間と出撃

  • エキストラマッチでも仲間と参加できるように

エキシビジョンマッチ(BBACでいうクラン演習)もあらかじめ登録しておいたフレンドを招待する形で成立するようになり、スマホなどを介さずPS4だけで操作が完了するようになった。
また、ゲーム内機能としてのクランも廃止されたため、逆にそう言った枠組みに囚われずに様々なエキシビジョンに参加できるようになった。
実際のところは待ち合わせのために結局スマホなどの操作やコミュニケーションは必要になるのだが、ゲームシステムとして踏む手順自体は減っており、簡略化して運用しやすくなったことは間違いないだろう。

エキシビションマッチで作成したマッチング画面。
ここに仲間を招待するだけでマッチを開始できる。

またカジュアルマッチや一部のエキストラマッチはエキシビジョンと同じ要領でプレイヤーを招待してフレンドと一緒にプレイすることができる。
野良プレイヤーがいる対戦にフレンドと一緒に入れるのもBBPS4ならではの仕様で、特にユニオンバトルやスカッドバトルではフルパを組んで乗り込むなど、大いに活用される機能となった。


8.カジュアルマッチやストーリーモードの実装

  • ランクの変動がないカジュアルマッチ

  • 一人で様々なミッションに挑戦 ストーリーモード

気楽にプレイできるカジュアルマッチやストーリーモードの実装もいいところのひとつだ。
初めてゲームに触れる人や新しい要素を試したい人でも参加しやすいし、ランクマッチに疲れたベテランプレイヤーがのんびりプレイするにも便利で、ネタに振り切ったスタイルのプレイヤーも思う存分暴れることができる。

BBACでは全国対戦(ランクマッチに相当する)とイベント(エクストラマッチに相当する)しかなかったため、例えばネタプレイをするためだけに全国対戦に参加するとなったときのプレッシャーは小さくなかったのだ。

ストーリーモードも、チュートリアルを意識した内容になっており、序盤は初心者でもやりやすく、後半は多少は手ごたえのある作りとなっている。
ストーリー自体は正直そこまで内容が充実しているわけではないが、ゲーム内の設定や世界観に触れる貴重な機会となっている。

ストーリー一覧。後半は敵も強くなり多少は手ごたえも出てくる。
専用マップやサイドミッションも用意されていてやれることは多い。

ゲームへの参加の敷居を下げるという点で大きな役割を果たしたカジュアルマッチやストーリーモード。
ストーリーの出来については不満の声も聴かれるが、1人プレイ用のゲームモードとして成立したこと自体には意味があるだろう。


9.PlayStation+加入不要で遊べる

  • PS+がなくてもオンラインマッチがプレイできる

  • PS+加入者にもささやかながら特典がある(週に1回だけガチャが引ける)

PS4でオンラインマッチを楽しむ場合、PS本体側の月額課金サービスであるPS+への加入が必須であることが少なくない。
BBPS4はこの加入も不要でオンラインマッチが利用できる。

手軽に遊べるのはもちろん、PSNのサーバーを利用していない通信方式のため、PSNの障害が発生しても遊べるという意外な利点もあったのだ。
その独自サーバーが不安定だったという悪口はわるいところ編で


10.著名声優、著名デザイナーなどとのコラボ

  • 多数の著名声優ボーダーの実装

  • 複数の著名デザイナーによる新規パーツの実装

  • 各種コラボガチャ

BBACからの変更点の一つとして操作キャラクターのカスタムの仕組みが、少なめの種類のキャラクターを膨大な種類のキャラクターパーツを使って自分でカスタムする方法からキャラクターそのものを多数実装する方法へ大きく変わったことも挙げられる。
この点はBBAC版のほうがいいという声も聞かれたが、この方法に変わったことでキャラクターの個性をゲーム側が設定しやすくなり、様々な著名声優を起用した個性的なキャラクターや、サマー○○のような差分のボーダーの実装が実現したのだ。

著名デザイナーによるデザインが実現した武器・機体パーツも複数回にわたって実装されている
性能も一線級のものが多く、実施されるたびに見た目と性能の両面でプレイヤーたちに強い印象を残していくことになった。
やっぱりガチャな上にチケット使えない仕様だったのでさらにひどい入手性だったけど

コラボ武器ガチャの一部。見た目も性能もユニークなものが多い。

BBACでもしばしば行われていた様々なコラボも行われており、BBACで行われていた別ゲーなどとのコラボも復刻という形でキャンペーンが行われ、さらに主にSEGAの別ゲーとのコラボ企画も多数行われることになった。
強い武器はガチャ、ネタ武器やさほど高性能でもない武器はプレイしていれば取れるという棲み分けも行われた


11,完全新規武器・機体の実装

  • BBPS4版にのみ実装された武器・機体も多数

  • BBACの人気機体の発展型パーツなども実装

BBACでは存在しなかったブランドや特性の機体パーツや武器も多数実装された。
機体で言えば、ストーリーの主人公も使用する機体でBBPS4版の顔ともいえる中菱級機体パーツ「輝星」シリーズを始めとして、重量級パーツ「キャバルリー」シリーズ、軽量級パーツならば「ヴェクター」シリーズなど様々な完全新規のブランドが登場した。
武器のほうもやはり主人公が使う武器であるスムレラ投射長銃、他には一時期環境を荒らしまわったツィーゲルラケーテ系統など、兵装を問わず膨大な数のパーツが実装されており装備の幅広さにさらなる個性を与えている。

また、BBACでの人気機体や武器の発展型パーツも実装された。
例えば初期装備でもあるクーガーには☆4クーガーACEが、重量機体であるヘヴィガードにはHRTが、シュライクにはAERがそれぞれ実装されている。

こういった初期から実装されている武器やパーツにもそれぞれBBPS4から実装されたパーツなどが含まれており、入手性は相変わらずだが各機体のファンやより高性能を求めるプレイヤーには注目の要素となった。


いいところまとめ

色々ないい点を挙げてみたが、サービス開始当初にはなかった要素もあり、数年のサービスの間に追加されていった改良点も複数挙げることになった。

個人的にはボーダーブレイクの核となるゲーム性は唯一無二のものだと思っているので、そのゲーム性が家庭で楽しめるというだけでもうれしいものだったし、実際自分はそういう風に家で気楽にプレイする機会が多かったと思う。
コアを巡って弾幕をかいくぐって攻め込んだり、逆転や味方との連携で勝利を決める体験は他のゲームでは未だに体験できないもので、そういった体験ができなくなると思うとなんとも惜しい気持ちになる。

BBACの末期には長期サービスの影響で筐体の寿命を始めとした様々な問題点があったが、PS4への移植を機に画質やシステム関連の改善が複数行われたので、移植されたこと自体は筆者は好意的に受け止めている。

もっとも移植によって変更された様々な要素は新たな不満を巻き起こし、それがこのサービス終了に繋がったとも言えるのだが、それについてはわるいところ編で詳しく語りたい。
わるいところについて書いた記事はこちら。


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