実況パワフル俺 〜石川ミリオンスターズ編 2018シーズン〜
2018年7月
石川ミリオンスターズへの移籍が決まる。
基本的にBCリーグでのシーズン中の移籍は戦力外からの移籍という形が一般的だが自分から退団して移籍させてもらうパターンはほとんどないと思う。
大体そんなことを目論んだ所で任意引退にされるのがオチだからだ。(現群馬で元滋賀の茨木くんとかが恐らくその例)
まあ、運良く移籍できたという所だ。
割とそういう運に恵まれてる気がするこの頃
正直勢いのみでここまで来てしまったので自分で動いたのにも関わらずかなり動揺はあった。
まず練習参加させていただいた際に、監督であった武田勝さんやコーチとお話をさせていただいた。
勝さんのまず一言目が
「うちでは好きにやっていいから」
え!!!何この違い!!!!
なんなの!!!えっ!!!
信濃は良くも悪くも厳格で常にピリピリした雰囲気で恐る恐るプレーをする人が多かった印象だが、石川は真逆。緩い。
まずはナイターゲームがあったのでベンチで見学させていただくことになった。
緩い、サークルレベルの緩さ。
ただ、嫌な緩さではない、選手が皆恐れずに思いっきりプレーをし、楽しそうに一生懸命やっていた。
傍から見ても楽しそうなチームだとは思っていたが、まさかここまでとは思わず、環境の違いに戸惑いながらも選択は間違ってなかったなぁ。と実感した瞬間でもあった。
ちなみに同級生で沖縄の北山高校出身の神谷塁とは沖縄繋がりで信濃にいた時から絡んでいたので、正直かなり助かった。特に石川での二年目。
高校の時に練習試合をしたことあった相手と6年後に全く違う地でチームメイトになるという偶然はそうそうないので人生は面白い。
今練習試合してるチームのサードと6年後に石川県の独立リーグのチームでチームメイトになるぞ。
と高校時代の俺に言っても絶対信じないだろう。
話は逸れたが、なんとデビュー戦はオリスタでの信濃戦となった。
移籍を決断したのがオリスタでの石川戦。
先発は近藤俊太郎。
そして石川でのデビュー戦がなんと同じオリスタでの信濃戦という面白いシチュエーション。
しかも先発は近藤俊太郎。
ベンチでいいピッチャーやなーと見ていた数週間後にまさかバックを守ることになるとはまあなかなか無い経験。
相手ピッチャーはギジェン。
いいピッチャーなのはご存知の通りだが、それ以上にめっちゃ良い奴。ストイックさもあり、謎にしょっちゅう走っていた。ドミニカ人には珍しいタイプだと思う。
ちなみにまだスパイクも何も届いてない状況の為、スパイクは信濃時代のを利用するという本当にバタバタの状態であった。
やはりしょうがない部分でもあるが、「絶対見返してやる」という気持ちが強すぎたのか、力も入りすぎ、勝ち越しのチャンスもあったがノーヒットに終わってしまう。
(ちなみに待望の移籍後初ヒットは福井戦での元オリックス神戸投手からでした。)
そんなこんなで少しずつチームに馴染めてきたところでの、七尾城山球場での対滋賀戦では勝ち越しの場外ツーランを放った。
打った瞬間だった。
苦しいBCリーグでの生活から何となく脱せたような気がしたので結構嬉しかったのであろう、ベース1周の回り方がダサかったらしい。お恥ずかしい。
そんなこんなで移籍後は出たり出なかったりという感じだったが、納得のできる起用法だったので悔しさはもちろんあったが不満もなく、移籍後にホームランも2本放ち次のシーズンへの兆しも見えたところでシーズンを終えた。
しかし迎える2019年シーズン。
1歩間違えれば今の自分はなかったであろうターニングポイントになる1年であった。
運を呼び込み、辛抱強く粘った結果の1年でもあり、今に繋がる貴重な1年であった。
次回お楽しみに。。。
〜番外編 忘れられないホームラン〜
シーズン終盤の対富山戦
順位はほぼ確定しており、石川は消化試合、富山は飼ったらリーグ優勝という試合であった。
その試合はベンチスタート。
試合は終盤まで2-3の1点ビハインドで進むが7回裏に3点取られ、優勝ムードへと向かう中で8回表からは勝ちパターンが登場した。
そう。
この年のシーズン後DeNAに復帰する古村さんである。
おー、出てきやがったな〜
と思いつつ、おそらく出番はないだろうと踏んでいたので割とぼーっとしつつも身体は動かしていたところしれっと1アウト。
やっぱ速えな〜と思いつつ、ぼーっと眺めていると
川村!代打行くぞ〜!
と急に言われ、全く素振りもしないまま速攻で準備して打席に立つことになった。
初球スライダーで空振り
いやいや、真っ直ぐじゃないんかい。
2球目もスライダー
しかし軌道がイメージ出来たので見送りボール
(次絶対真っ直ぐ、絶対真っ直ぐ)
きたっ!!!真っ直ぐ!!!いったれ!!
ガシャーーーーン
タイミングは完璧!!!
しかし真後ろへのファール。
やっちまった。
2ストライク1ボール
もう絶対次スライダーじゃん。
三振じゃん。終わった。
そこで川村の中に存在するもう1人の僕が脳に語り掛ける
(次絶対あえて真っ直ぐで来るから真っ直ぐ張れ)
今現在でも意思決定を瞬時に迫られる場面に陥ると「もう1人の僕」が語り掛けてくる。厨二のようだが割とマジ。裏を返すと厨二。
だいたいその選択に従った時は間違いがない。
真っ直ぐハリハリで早めにタイミングを取ると、インコース高めにその通り真っ直ぐが!!!!
マジックシリンダーと言わんばかりに跳ね返された打球は左中間高々と上がり余裕のフェンスオーバー。
人生最初で最後である代打HRを放った。
スコアボードに映される 148km/h の文字。
未だに忘れられないホームランの一つである。
と同時に直感ってすげえな。
という訳で今の自分の行動指針のひとつになっている「直感に従う」というエピソードの1つでもあった。
おしまい。
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