見出し画像

実況パワフル俺 最終話 〜石川ミリオンスターズ2020シーズン 後編〜

↑間だいぶ空いてしまったので一応前編。


そして、なんやかんやで無事開幕を遂げる。


まあ地区分けや7割は富山戦という不満や不安はあったが、何よりも野球ができる喜びの方が大きかったので、もうどうでも良くなっていた。

ぶっちゃけた話、主力ほとんどがシーズン前からラストシーズンと決めていたので、「もしこのまま今年中止になったら来年どーする?」みたいな珍会話が生まれてました。

まあなんやかんで開幕。

開幕戦でのライト前ヒット



チームの優勝はもちろん、個人的な目標は盗塁王とドラフト指名。
正真正銘のラスト。


とりあえず走りまくる。これがテーマだった。

当時、ソフトバンクの周東選手や巨人の増田選手、富山からロッテに行った和田康士朗選手がNPBで代走キャラとして価値を見出してた中で、俺の勝ち筋はこれしかないという判断だった。

しかし、
野球人生としてもラスト1年になるかもしれない。
ひたすら悔いのないようにプレーをせねばならぬ。

結論、そんな覚悟もあってか、このラストイヤーが初めて独立リーグの人生の中で自分のプレーができた。
やはり覚悟は大事。

約2年間のティッピングポイントを乗り越えた2019年シーズンの後期から掴みかけてた感覚がモノになった。

途中2~3試合不調でスタメンから外れることはあったがそれ以外はほぼフル出場だった。

開幕から順調に打ち、走り、夏場まで打率も3割を超えほどあった。そして盗塁王争いもかなり激化して、明らかに牽制も増えた。

しかし警戒されることは最高だ。

「警戒されつつ勝つ」ことの快感たらありゃしない。

ただ、こちらも無策で挑む訳では無い。
対して警戒されてなければスピードだけでも勝てるが、警戒されるとそうはいかないので、より良いスタートがする切れるように相手のモーションを観察し、クセを探したり等は徹底的にやった。

しかしシーズン終盤で少し不調に入ってしまい出塁数が減り盗塁数が伸ばせず、盗塁ランキングは3位に終わった。
(確か25盗塁だったはず)

そしてラスト1年ということもあったのでジャイアンツの入団テストも受けたりとやることはやり切った。

ちなみに20m走で受験者最高タイムを出したりもしたが、無事撃沈。

まあ年齢(当時24歳)に対する完成度が低かったのが決め手だろうと思っている。

逆にそこで完全に諦めが付いた。


このシーズンを通して、壁を1つ乗り越えたのでもっと上手くなる自信はあったし、もっといい選手になれたが、野球をやる目的がNPBのスター選手になることだったから、ドラフト指名されないなら野球を続ける意味が自分の中では無くなり、シーズン前から決めていた通り引退を決意した。

4年間、非常に濃く、
人生で1番長く感じた4年間だった。

大学中退、ニート、フリーターという鬼イベント満載の自分に道を作ってくれた独立リーグという舞台。

1年目は周囲に圧倒され、永遠にベンチに座り自律神経がイカレまくったり、2年目はシーズン途中で球団社長に移籍を直訴し移籍したり、3年目は成績不振でクビになりかけるも勝さんに救われ後期から活躍したり、4年目はコロナで開幕が2ヶ月半遅れたり等、波乱万丈でした。

ただ、その中でも自分が子供の時にテレビで見てたり、なんならパワプロで使ってた様な選手が各球団の監督やコーチをしてたり、二軍ではあるがNPBの球団と試合ができたり、自分が小さい頃からファンだった阪神からヒットを打ったり、元メジャーリーガーや元NPB選手が普通にリーグ内にいたりと、言い出したらキリがないがその様な環境で4年間プレーできた事が非常に幸せで楽しかった。

試合後の勝さんと金山と喜多とワイ

まあもちろん今に比べりゃ鬼の安月給だったり、往復8~10時間くらいのバス移動があったり大変だったが、まあそれも込みで何にも代えがたいいい経験だった。

あの経験が俺の「大学生活」だったに違いない。

そして話は戻り、迎えた引退試合。

及びシーズン最終戦。

場所はボールパーク高岡でのナイトゲーム。
相手は富山GRNサンダーバーズ。

完全に消化試合ではあるが、小5から15年間続けた野球人生の引退試合。

あまりその時の感情が言語化しづらいのですが、「エモい」ってやつですね。多分。

小学校卒業して以来、1回も泣いたこと無かったのにさすがに守備付きながらウルっと来ました。
結局泣くまでには至らなかったけど。。。

結果は無安打でしたが、盗塁は決めた。

引退試合。多分サードゴロ

試合も負けたが、この試合最後のバッターが俺の前のバッターだった。

最終打席が回ってきそうでしっかり準備をしたまま引退を迎える虚しさったらありゃしない。


おい、そこは意地でも回せよ。
そういう雰囲気だっただろベンチも。

まあでも、この最後の打席が回ってこなかったのは何かのメッセージなんだろうな〜と勝手に解釈してます。

「人生のバッターボックスは終わらねェ!!!!

なのか、どっかで現役復帰しろなのか、それともシンプルな神様の嫌がらせなのか、自然の摂理なのか。


ただ、現役を終えた瞬間というのは以外に呆気なく、「あー終わったんだなぁ」という程度だった。

オフシーズンから覚悟を決め、全力でやり切ったからこそ、そう思えたのかもしれない。

だからこそ、現役でやってる選手や今年で辞めようとしてる選手に問いたいのは

「今を全力でやれているか」

「今、辞めて後悔しないくらいやり切れているか」

そう思えてないのであれば全力でやれ。
後悔しないレベルにやり切れ。

是非、そうしてから辞めて下さい。

という訳で、以上、小中高と目立った活躍はしてないのに、どんだけバカにされようが「プロ野球選手になる」という目標を掲げ、諦めず、リスク上等で駆け抜けた野球人生のお話でした。

まあ、ただ所詮NPBに行けなかった独立リーガーに過ぎないのは間違いない。

常に新しい目標を立て追い続ける。
きっと死ぬまでそうだ。

「人の夢は終わらねェ!!!!

〜Fin〜

独立リーグ人生最後のホームラン

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?