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2019年に映画を200本見たので、良かったやつ挙げます

映画鑑賞が趣味で時間がある時によく見ている、私です。

いつもは年間約100本なのに対し、今年はよっぽど時間が余っていたのか、うっかり200本も見てしまいました。ということで「今年見て良かった映画」をいくつか挙げさせていただきます。

※「そんなもん見て当たり前や」という超大作や大ヒット作は除外しています。今、あなたの頭の中に浮かんだのが対象です。見て当たり前なので…。
※あと、今年公開された映画ではなく「私が今年見た映画」です。


●アクション

■The Witch/魔女(2018・韓国)

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【あらすじ】
特殊な施設から脱走したショックで記憶喪失になり、気を失ってるところをク夫婦に助けられた少女ジャユンはそのままク家の世話になり10年。家畜の世話に家事に大忙しだったが、大金を手にするためにスター発掘番組に出演し美声+ある手品を披露したところ一躍有名に!しかし謎の組織に目をつけられてしまう…果たしてジャユンは何者なのか…?な話

ジャケットとそこに書かれたコピーからもお察しできるように、ナメてた奴が最強の戦士だったという一番熱いパターンの最先端の傑作。主役ジャユンを演じたキム・ダミさんの、開始1時間07分後に満を持して爆発する「覚醒」があまりにもカッコよく、何回も巻き戻して見てしまうほどでした。ちなみに実際には素朴なご尊顔ながらめちゃくちゃ可愛くて、電車の中でゆで卵を頬張りまくる仕草が最高です。


オーヴァーロード(2018・アメリカ)

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【あらすじ】
第二次世界大戦真っ只中、連合軍はドイツ占領下であるフランス郊外の村の教会に建てられた妨害電波塔を破壊するミッションを遂行する。敵の激しい攻撃をかいくぐって何とか上陸したボイス二等兵は超絶的な運の良さで偶然教会に入り込むのだが、なんとその地下はナチスドイツの科学者が生物兵器を生成するやばすぎる人体実験場だった!そんなアホな〜!な話

「ナチスドイツ×人体実験=超生命体」というこすられたB級設定も、J・J・エイブラハムズが製作に入るとめちゃめちゃ面白くなるという良い例のやつです。前半は重厚な戦争アクション→後半は少年漫画のような分かりやすいクリーチャーパニックという構成ながら必然的な流れによってあれよあれよと転がっていく展開は見どころだらけ。多少のご都合主義と主人公ボイス二等兵のありえないほどの強運はご愛嬌としつつ、ラスボス的立ち位置の奴も、そうなっていく理由と経緯をめちゃくちゃ丁寧に描写することで唐突感を無くしてくれて、最終的に「ついに対決や!うおおおお!」というアゲな気分にさせてくれるのも実に良かったです。長回しのシーンも驚異的!


アップグレード(2018・アメリカ)

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【あらすじ】
アナログ人間グレイは妻と車で帰路につく途中、事故に遭った上に暴漢に妻を殺され自身も四肢麻痺になる踏んだり蹴ったり状態に。失意の中現れたのは友人で超天才のエロン。「最新AIを脊髄に取り付ければ脳の電気信号を補完して体が動かせるようになる」とのこと。かくして四肢麻痺は克服したが、自分に語りかけてくるAIに体の操作を全部任せるとものすごいパワーが!最新AIと共に妻殺しの犯人を突き止めろ!な話

脊髄に取り付けられた最新AIチップが自分の頭の中に語りかけてきて、警察もお手上げだった犯人の手がかりを探し出し、さらに体の使用を「許可」すると驚異的な身体能力で敵をやり過ぎなぐらいになぎ倒す、この発想がまず最高!その動きもありそうでなかったAIらしい機械的な超絶モーションにシステマチックなカメラワークという視覚的ギミックも素晴らしい!でも首から上は普通なので「やり過ぎやり過ぎ〜!」って顔だけオロオロしながら無茶苦茶な格闘を繰り広げる、このギャグ漫画らしさ…。

他にも冷静な判断で捜査を進めて敵を倒す完璧AIステムと、体を提供する感情的な人間グレイの分かりやすいバディ的な捜査パートもアイデアに溢れてて終始わくわくが続いていきました。脚本にも大胆なツイストが用意されており最後まで満足感に包まれる逸品です。


T-34 レジェンド・オブ・ウォー(2018・ロシア)

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【あらすじ】
ソ連士官イヴシュキンは初陣で敗北を喫し、ナチス軍の捕虜となる。収容所の戦車演習に操縦士として参加を命じられるが、それはかつてイヴシュキンを仕留め損ねたドイツ軍大佐イェーガーの息がかかっており、演習にかこつけてイヴシュキンを殺すつもりだった。イヴシュキンはこれが掴んだチャンスとばかりに、仲間と共にあまりにも無謀な逃亡大作戦を計画する…!な話

あんまり見ないジャンルの戦争、戦車、ナチス、ソ連…って感じなんですが、探し求めてた伝説のおもろ映画、ここにあったんかい!ってぐらい、爆熱エネルギーをぶちかましてくれる大傑作でした。血が湧き肉が躍り、心が熱く煮えたぎる!

戦車の特徴を最大限に活かしたアクションが本当に凄まじすぎるというのが本作の一番の特徴。主砲から撃ち出される徹甲弾の一瞬の一撃を、スーパースローとグワングワン回り込むカメラワークで余すとこなく見せ、着弾の会心の一撃をパワフルに描き出す!!からのイヴシュキンの指示で手足となって動く砲撃手や操縦士たちの連携プレーから、作戦がバッチリ決まった時のスカッとさ、絶対絶命のピンチを回避する超奇跡!全てが気持ちよすぎる…!ストーリーや戦友との絆もかなり分かりやすくて少年漫画的な熱さがありつつ、宿敵も悪人顔でベジータっぽい憎めなさもある!そして誰しもが熱くなれる大車輪の戦車アクションとくりゃもう最高っちゅうことですね。


EXIT(2019・韓国)

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【あらすじ】
ホテルの一室で開かれた母親の古希祝いに参加していたボンクラ無職ヨンナムは、給仕の中にボルダリング部時代の元カノがいることに気づき旧交を暖める。しかし、吸うと数分で死ぬ都合のいい有毒ガスが噴霧されるテロが街の中心部で発生!ガスは低い所からじわじわと高度を上げて街全体に魔の手を広げる!ボンクラ!元カノと共にボルダリングの知識を活かしてビルを登って屋上を走って逃げまくれ!な話

おもろ映画伝説in韓国かいっ!最高!ここにもエンタメの全てがある!有毒ガスの成分とかはかなり都合がいいんだけど、映画だからそんなのいいんだわ。いかに面白い映画が作れるか!?楽しめるか!?これに尽きますね…

家族愛、元カノとの吊り橋効果、ギリッギリのスリル、ビルの側面のわずかな出っ張りを頼りに登っていくハイパーボルダリング、軽いおとぼけ、韓国映画おなじみの自分だけが助かろうとして足を引っ張る嫌な奴など、「全て」を詰め込みながら無駄なくまとめてくれる構成は本当に最高。ヒロインを務めた少女時代のユナさんがかなり可愛く、さらにボルダリングもめちゃめちゃ頑張りながら迫真の演技も見せてくれて、実に素晴らしかったです。


●ホラー

ザ・スリープ・カース(2017・中国、香港)

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【あらすじ】
ラム教授は「眠らなくても疲れない体ほし〜っ」と不眠の研究を続けているのだが、元フィアンセのモニークから特殊性不眠症のケがあるという告白を受け、臨床実験を兼ねた睡眠の研究を行うことにした。しかしラム教授は何故ここまで不眠に関する研究に没頭するのだろうか?果たして不眠の謎を解き明かせるのか?な話

眠りにまつわる研究をしてる教授を軸にして、ホラーやオカルトの基本をしっかり抑えつつ奥行きのある凄惨な因縁を丹念に描きながら、終盤には全く予想してなかった信じられないほどショッキングな残虐描写シーンの数々!監督や主演の方の過去作を含めた前情報を入れずに見ると本当の本当にビックリすると思います(現に私がそうだったので間違いない)

POV形式でとある一家の長が不眠症に陥って人格が壊れていく様子をオープニングクレジットと交互に差し込む幕開けで不安をよぎらせ、不眠の研究に没頭するラム教授のもとに不眠症治療の依頼が来る…という流れから、中盤はラム教授の父親の過去編に突入。戦時中の香港を舞台にオラオラな日本軍が虐げるタフな状況でラム父がどう生きたかを描くパートで、日本軍や慰安婦などかなりセンシティブな描写が続いて「どうつながんの?」と見ていたら、まさかこうとは…うっっ、今思い出しても凄い!この戦時描写に1000億点のグロシーンが含まれるおかげで日本公開が一時絶望視されてただけに公開に踏み切れたのはアッパレ!少しでも気になった方は是非見てみてください。現状配信やレンタルが一切されてなくて、「DVDを買う」という方法しか見る術がありませんが…。


コンジアム(2018・韓国)

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【あらすじ】
ホラー動画配信サイト「ホラータイムズ」のハジュンは、その昔患者が集団自殺し院長も謎の自殺を遂げ世界7大心霊スポットに数えられるようになったコンジアム精神病院跡への潜入をライブ配信し、霊障の謎を解こうと試みる。視聴者から隊員を募りいざ進入するが、案の定やばすぎることが巻き起こる〜!助けてくれ〜!アニョハセヨ〜!な話

割とこすられたシンプルな構成。数々のホラーPOVを見てますが、これはなかなか良かった部類に入りますね。オリジナリティあふれる展開はないものの、「グレイヴ・エンカウンターズ」や「ブレア・ウィッチ」「REC」などのレジェンドPOVへのリスペクト精神を高めてブラッシュアップした恐怖演出に、ジワジワと盛り上げて後半に本気の本気で叩き込むお化けラッシュはかなり完成度が高くて、普通に震えあがりました。霊を出しすぎない、安易なビビらせがあんまりない、そもそも病院内の全てが怖いなど、怖さのバランスもかなり研究してるなって感じが見て取れました。

登場人物もまた良くて、集められた女の子がボーイッシュ、セクシー、おっとりとしっかり見た目と性格が分かれてしかもみんな可愛いという奇跡の調整…。あと4人の男(みんな同じ顔)の計7人で、序盤は大学生のサークルかいっ!と言いたくなるほどノーテンキに遊びまくる!これが良い!何故なら「ここからこいつらが恐怖に震えて死ぬ(?)のか…」と思いながら見ることで最初からかなりの優越感に浸れるから…。予告はかなり面白いところを見せまくってるので見ない方が吉。


フレイルティー/妄執(2001・アメリカ)

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【あらすじ】
「神の手」と呼ばれる犯人による連続殺人事件を追うドイル捜査官の元に、とある男が現れる。その男によると「神の手、実は俺の弟やねん。でも自殺してもーた」とのこと。彼の話を静かに聞くと、どうやら幼少期に父親が突然頭がおかしくなって洗脳されかけたことが原因の一端らしい。果たして過去に何があったのか…?な話

「親父が狂ってる映画のオススメ」の、怖おもろいやつ。この父親の「理由無き狂い」が心底ゾッと背筋を凍らせてくれる嫌さを突き詰めてて、さらに分かりやすいストーリーも相まってグイグイ引き込まれていきました。

父親が温厚で優しかったのにいきなり天から「人間に化けた悪魔を滅ぼせ。これがその名簿」という啓示を受けて「俺たち家族は天から選ばれた使いだ!」と人殺しをしまくって、幼い息子たちもこの狂った父に抗うことが出来ずガタガタ震えながら殺人に加担してしまうという…このいきなり崩れ去る日常が怖すぎる!突然降りかかった不幸と嫌さでかなりお腹いっぱいにしてくれながら、さらにオチにもツイストが何個も用意されていて最後まで全くテンションを落とさずに突き抜ける展開はかなりお見事でした。


サバハ(2019・韓国)

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【あらすじ】
1999年、とある村で双子の少女が産まれるが、妹は姉に足をかじられており、さらに姉は血だらけで醜い姿で穢れて「悪鬼」と忌み嫌われ出生届を提出されずに実家に幽閉された。そこから10年以上あと、宗教詐欺を取材するパク牧師は怪しい宗教団体・鹿野苑の調査を開始するが、次第にヤバすぎる闇に飲み込まれていく。果たしてどうなる?な話

ネトフリ韓国オカルトミステリーホラー。宗教観や信仰など難しく繊細なテーマを扱ってるものの、脚本がよく練られておりグイグイ引き込まれていきました。つまりめちゃおもろい、ということ…。忌み嫌われた姉妹に始まり不審点が多い宗教施設鹿野苑、コンクリートの中に埋められていた女の子の死体、悪夢にうなされながらある任務を遂行する密教の「四天王」と呼ばれる男達、そして捜査線上に浮かび上がるキム・ジェソクという男の存在など、点と点が繋がって一つの線になり、その先にある人の常識を超えたただならぬ実態が明らかになっていくまでの探偵パートがめちゃくちゃ緻密で興味深きの連続な構成。その先にあるスーパーナチュラルなフィクションをフィクションだと思わせない圧倒的な説得力!

ホラー描写もなかなか気持ちが悪く、オープニングの姉妹出産シーンでは邪悪な存在すぎて近くの家畜が死にまくったり、天井から薄汚い子供の悪霊が天井からヒタヒタと迫ってきたり、納屋の奥に幽閉された悪鬼と忌み嫌われた姉のただならぬインパクトもすごい。脚本も緻密ながら見た目の恐ろしさ・凶々しさもかなりクオリティでものすごく見応えがありますよ。固有名詞が結構ややこしくてかなり集中して見る必要はあるかもです。


トマホーク ガンマンVS食人族(2015・アメリカ)

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【あらすじ】
1890年代のアメリカ、野盗がとある町に逃げ込んでくる。町の女医サマンサはハント保安官の要請で野盗の治療にあたるが、その夜忽然と姿を消し、厩舎に町民の惨殺死体があった。やべすぎる食人族が野盗を追って町へ来て、サマンサ達を誘拐したのである!ハント保安官、サマンサの夫オドワイヤーなど4人の精鋭が救助に向かうが、その道程は険しいものだった…な話

かなりB級なタイトルと設定ですが、結論からいうと「後半の急展開やべすぎ…」って感じで、かなり面白かったです。流れとしては「食人族に攫われた妻を夫含む4人の男が救助に行く」という構成。2時間10分の長尺の中、1時間ぐらいずっと追跡シーンが続く(ここは1.5倍速でいい)!でもその過酷な道程が凄まじく、まさに生きるか死ぬかの選択を常に迫られるスリリングな旅でした。しかも最愛の妻を誘拐されて激情にかられるオドワイヤーが最初から足を骨折してて全く機動力が無く常に満身創痍というポンコツ具合も「こんなんで勝てるんか?」と不安にさせてくれる…。

で、たっぷりと追跡劇を見せておきながら、ふと気付いたら何のBGMも効果音も無く目の前に突然、本当に突然食人族が出てきてあっという間に地獄の底に叩き込まれて超残酷サバイバルホラーに様変わりするという強気の構成も凄かったです。今まで見た中でかなり上位に入るほどグロテスクな殺し方をするのに、食人族にとってはそれが日常とばかりに遠目の画でかなり淡々と見せてくるのが余りにもヤバすぎて「とんでもない奴らの相手をしている…」という絶望感!恐ろしい!


●サスペンス

マジカル・ガール(2014・スペイン)

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【あらすじ】
白血病で余命幾ばくもない少女アリシアの願いは、魔法少女ユキコのコスプレをすることと、13歳まで生きる事。何とかその願いを叶えてやりたい失業中の父ルイスはネットでユキコの一点物コスチュームを見つけるが、7000ユーロ(900,000円)という破格の代物だった。果たして父は娘のささやかな願いを叶えられるのか?な話

これ、何気なく見たんですが余りにも衝撃的なストーリーでひっくり返って頭を打って死んでしまったほどのやつです。何だこれは…?父ルイスはアリシアちゃんの願いを叶えるために金が必要なのに、失業中の身で世の中も不景気で頼れる友もおらず、どうしたものか…と思ってる時に偶然メンヘラ女のバルバラと出会って話が転がってくんですが、そこから三人の登場人物を軸に三部に分けて展開してくこの構成力が凄まじく、一気に引き込まれてしまいました…。

しかも何が起きたのかを深く説明せずに結果だけをポンと見せていく手法もめちゃめちゃ凄いんですよね。「トカゲ部屋」とは?そこで何が起きてああなったのか?「ブリキと言うまで終わらない」て何?気になるけど教えてくれない…でも話はさらに予期せぬ方向へ進む…!今年見た中でかなり驚いた記憶がありますね。


●嵐の中で(2018・スペイン)

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【あらすじ】
嵐の夜。ベラは物置にあった古いテレビをつけると時空の歪みが生じて25年前の嵐の夜と繋がり、そこに映ったニコという少年と会話ができた。ベラはニコがこのあと事故死することを知っていたので、説得しニコの死を回避させる。しかし過去改変によりベラの状況が大きく歪み、大切な娘がそもそも存在しない世界線に突入してしまった!どうする…な話

「マジカル・ガール」の監督カルロス・ベルムトと、今作の監督オリオル・パウロはスペインのすご監督二大巨頭として覚えておいていいぐらい、良い映画を作ってくれますよ。そしてタイムパラドックスがまず良い。過去改変からの別世界線突入、世界は同じなのに以前と全く違う恐怖感、ミステリアスでハラハラドキドキが止まらない!

嵐によって発生した謎の力で過去とつながったことで世界線が変わってしまい、以前の記憶を保持してるベラが完全な狂人として扱われてしまうというのをギミックにし、そこから25年前にニコが目撃したある事件を絡めながら複雑怒涛に絡み合う展開はお見事。最終的に到達する一つの解もタイムパラドックス特有の切なさも含んだ着地を見せてくれて、また一つこのジャンルに傑作が生まれたな…という感じ。ヒゲもじゃ男やおばさんが何人か出てくるもののそれぞれめちゃくちゃ似てるのでちょっと混同するのはありつつ、ストーリーはかなり面白かったです。


ヴィジョン(2015・インド)

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【あらすじ】
映画好きのヴィジェイは、街の皆から好かれ家族を大切にする勤勉で好感度が爆高な男。ある日、妻と娘が下痢バカ人間に弱みを握られ脅されてしまうが、娘がその男を正当防衛的にぶち殺してしまう。家族の幸せを守ることを第一に考えるヴィジェイは、その死体を埋め、車を処分し、完璧なアリバイを構築する。しかし殺した男の母親は警察長官だった…!果たしてどうなる?な話

ネトフリにあるインド映画。歌無し、踊り無し、笑い無し、マジのサスペンス。2時間40分もありますが、意を決して見てみたら一瞬で2時間40分が吹き飛ぶ面白さでした。

殺してもいいほどの外道とはいえ人を殺してしまった家族を守るために奮闘するヴィジェイの計略がめちゃめちゃ用意周到で計画的で、綱渡りの危険性はありつつも警察をどんどん出し抜いて行く様はかなりスカっとしましたね。タイトルにもなってる「ビジョン(視覚)」を利用したトリックも見てるこっちですら「あら?辻褄合わなくね?」とミスリードさせてしまう推理パートは実に痛快!!ここまで加害者に肩入れしてしまうのは久々だったな〜。日本だったら多分バレそうな気がするけど、インドというお国柄やらヴィジェイ家に感情移入しまくるあまり細かいところは気になりませんで、それでいてかなりおもろいのでオススメです。


サマー・オブ・84(2017・アメリカ、カナダ)

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【あらすじ】
郊外の町イプスウィッチ近辺では、近頃少年の失踪&殺人事件が相次いで発生していた。少年デイビーはこの一連の事件は隣人の警察官マッキーによるものでは?という疑惑を持つ。不良のイーツ、デブのウッディ、ガリ勉のファラディの分かりやすい親友3人とともに、デイビーの推理に基づいた独自の調査を開始する。果たして勤勉なマッキーは殺人鬼なのか…?な話

80年代の田舎町を舞台に、4人の少年達がひと夏の冒険に乗り出すというジュブナイルミステリースリラー。80年代が舞台の映画にハズレ無し…。80年代丸出しの電子音BGMを背に自転車にまたがって駆けるオープニングの時点で「良すぎ」ってなりつつ、そこからキャラクターが分かりやすすぎる少年探偵団の好奇心あふれる推理パートはもう「こんな感じで親友達と冒険したかった!」と思わせてくれる良さに満ち溢れています。全てがアナログ!足で稼ぐ地道な調査!トランシーバーの通信!他にもマッキーの疑惑を調査する以外にも、デイビーのベビーシッター・ニッキーとの淡い恋あり、つらい事があったら遠慮なく泊まりあったりする男同士の友情あり、思春期真っ盛りの下ネタトークありなど、まさに青春…と言った趣でしたね

ストーリーとしては順当な感じで進みながらも、「こんなことアリ!?」と容赦なし&斬新に強烈なトラウマを植え付けてくるようなショッキングな展開もあって鑑賞後感も抜群。さすが「ターボキッド」を作り出した映像集団が携わってるだけはありますね。


特捜部Qシリーズ(デンマーク)

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【あらすじ】
殺人課刑事カールは向こう見ずな捜査の果てに重傷を負ってしまい入院、復帰後は特別部署「特捜部Q」へ配属された。そこは未解決事件書類の整理というかなり地味部署だったが、同じく配属されたアサドとともに数々の未解決事件を洗い直し、再調査を重ねていく

北欧の人気ミステリー小説の映画シリーズを一気見して、その完成度の高さに驚いたんですが一般的にはまだまだ知名度が高くないのでここでオススメしておきます。二人の刑事コンビが事件を解決していくというかなりシンプルな構成で、まずこのカールとアサド、めちゃめちゃ地味なのが良い…。陽気な黒人と堅物な白人がバディになりがちですが、この二人の感情の出さなさ・お互いに踏み込まなさ・淡々と一緒に行動する地味さ!これがかなり斬新でしたね。でも見ていくごとに「無愛想で不器用だけど熱いカール」と「ポジティブでめちゃめちゃ良い人のアサド」という個性が強まっていくのも良きです。

あと、これが一番伝えたいのが、「犯人があまりにも外道過ぎる」という点。「狭い空間に監禁して1年ごとに空間内の気圧を1バールずつあげて10年以上かけて拷問する」とか「己の狂った思想のために女性の女性的な部分を無許可で勝手に切除して機能を失わせてしまう」とか、二人の手に負えないぐらい情状酌量の余地なく死刑一直線な奴が目白押し。胸糞展開は続きますが、かなりよく出来たストーリー展開と二人の成長が実に面白く、全シリーズ一気見してしまう魅力に包まれています。


●コメディ

ロマンティックじゃない?(2019・アメリカ)

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【あらすじ】
おデブちゃんナタリーはラブコメ映画の嫌なとこを3時間ぐらい語れるほど全ての恋愛に否定的で誰にも心を開かなかったが、ある日強盗ともみくちゃになった時に頭を打ち気絶。目が覚めたら世界はラブコメ映画みたいになっていた!綺麗な街と自宅、ゲイの親友、ライバルの同僚、突然歌い出す人々、そしてイケメンとの運命的な出会い…!こんな世界イヤ〜!な話

ラブコメ映画のあるあるをメタ的に仕込みながら「ラブコメ嫌いがラブコメ世界の中でラブコメみたいな展開にあえて乗っかる」という流れがミソで、ラブコメ世界の中のストーリーは全ての定石が詰まった何のひねりの無いものなのに、一歩引いた目線で見ることで「あ〜あるある!化粧バッチリで朝起きるとか、自分を全肯定してくれるゲイの親友とか、セックスは全部カットして朝にワープしちゃうとか、全部みたことある!」と全てのシーンが笑いに昇華されるのが最高です。

その中で自分のコンプレックスを受け入れて克服していく流れもベタながら本当に完璧で、誰もが心から楽しめるエンタメ映画に仕上がっていた気がします。ラブコメあるあるが本当に精度高くて、全部メモしていきたいくらいだったな〜。ちなみにこの監督の前作は「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」っつってホラー映画に入り込んでしまう話で、そっちもめっちゃめちゃに面白いです。


ハッピー・デス・デイ1&2(2017・アメリカ)

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【あらすじ】
ヤリマンの女子大生ツリーは性格も最悪であらゆる人から恨みを買っていた。その日はちょうどツリーの誕生日だったが、夜に赤ちゃんマスクをかぶった何者かにナイフで刺されて殺されてしまう…!しかし気がつくとまた誕生日の朝に時間が逆戻りし、何度も殺され、また朝に戻ってしまうという無限ループに入り込んでしまった。なぜや〜!?ここから抜け出すためには、犯人を見つけなくてはならない…!な話

全く新しいタイムループ殺人回避コメディスリラー。これ、異次元レベルに面白いやつです。1週目の時点であらゆるヒントを散りばめて観客の興味を持続させ、登場人物も簡潔に完璧に説明するテンポの良さ、そして無限ループに気づいたところでもうすでにワクワクは最高潮。そこからノンストップでジェットコースターのように全速力でおもしろが駆け抜けて行く、いつまでも見たくなる最高の仕上がり…!無限ループに陥るツリーはかなり可愛いのにめちゃくちゃ性格が悪くて容疑者が登場人物のほぼ全員となってしまうのも最後まで全くダレないし、「恋はデジャ・ヴ」みたいにループしていく中で自分を見つめ直して変わっていくという分かりやすい展開も清々しい気持ちになって応援したくなりました。

正直なところ犯人は大体予想はつくものの、気持ち良さや面白さに加えて「こいつだったら完璧だったからオーケー!」という必然性がそれを上回ってくれるので鑑賞後感も究極でした。持ち上げすぎ?いや、全てがサイコーだったから…。そして「1」の直後から始まる「2U」も全く蛇足なくタイムループにおちいる経緯を描いたりして、さらなる最高の渦に巻き込んでくれました。本当にオススメです。


モンスターフェスティバル(2018・アメリカ)

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【あらすじ】
ホラー映画の祭典「ブラッドフェス」がやって来る!ピエロゾーン、ゾンビゾーン等、広大な敷地で恐怖を楽しむフェスで、ホラー映画オタク、しっかり者の女、太っちょゲーマー童貞が参加するのだが、主催者が狂人で会場を閉め切って本物の殺人鬼が投入され、大殺戮が始まってしまった!やばい!ホラー映画の知識を総動員して、この地獄のフェスから生き残れ!な話

ホラー映画の祭典にマジのモンスターが投入されて大パニックになって、ホラー映画の知識を使って生き抜くというスプラッターコメディ。このプロットは「ゾンビランド」や「キャビン」が思い出されますが、こっちもハチャメチャでおもろいです。ブタの仮面を被ったチェンソーの殺人鬼、ゾンビ、ピエロ、女吸血鬼、貞子、悪魔シスター、SAWのデスゲームなどなど、ホラー映画を彩ってきた様々なモンスターがスマブラみたいに暴れ回る展開はまさにホラーの祭典って感じ。勢いと血しぶきで細かいことを全て吹き飛ばす豪胆の脚本も見てて潔い!と思いきやけっこう活躍した人でもホラー映画の掟を破ると死んでしまう裏切りもあって、最後まで楽しめました。コメディ&スプラッター、王道&裏切りのバランス感覚が心地よい逸品です。

登場人物の一人であるデブのオタクはトムホ版スパイダーマンの親友ネッドを演じたジェイコブ・バタロンで、スパイダーマンの時と全く同じ立ち位置と性格で主人公の親友役として活躍するのも最高です。重宝するなあ〜。


リトル・ショップ・オブ・ホラーズ(1986・アメリカ)

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【あらすじ】
スラム街でしょうもない花屋に住み込みで働くしょうもない男シーモアは、ある皆既日食の日に手に入れた未知の植物を店頭に飾ったところ、物珍しさでお店が繁盛する。しかしその植物は宇宙からやってきて地球征服を企む恐怖の宇宙生物だった!さらに植物はシーモアの生き血をすすり、どんどん大きくなっていく!このままでは地球が大変だ〜!な話

全くその存在を知らなかったんですが、これ、面白すぎました…助けて…。今までに見たミュージカル映画の中で一番好きになったかもしれません…最高の体験でした。まず劇中で歌われる曲が冗談抜きで捨て曲一切無し、全て神曲なのがすごい!アラン・メンケンとハワード・アッシュマンの二人によるもので、この成功でリトルマーメイドを筆頭とする90年代のディズニー映画の楽曲制作に抜擢されたっていうのも頷けるほど、パワフルで楽しいものばかり…。

ストーリーも子供でもわかるくらいの単純明快さでキャラクターも最高。特にあの「歯医者」は泣きたくなるほど天才的なキャラクター造型で、感動すらしてしまいました…何あのキャラ…ずるすぎる…。80年代のミュージカル映画にしてこの完成度はエグいです。


ブレインデッド(1992・ニュージーランド)

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【あらすじ】
マザコン男のライオネルは運命的に知り合った女性と動物園デートに行くが、そこには黒魔術に使われる謎の猿が展示されており、隣の檻の猿の腕を引きちぎり喰らうというやばい生態を目の当たりにする。子離れ出来ないライオネルの母親は動物園まで息子を監視するも、偶然その猿に腕を噛まれてしまい、翌日ゾンビのように変化する。マザコン男はそのゾンビ母を地下室に幽閉するが…。な話

映画ファンの方には「何を今更」って感じかと思うんですが、今年初めてみて、その衝撃的な面白さに圧倒されてしまいました。あまりにもあまりにも最高すぎる超傑作…、ずっと笑いながら見てました。

母親がゾンビになってしまったのを発端に、その母ゾンビを地下室に隠し、さらに看護婦や神父など母に関わった人も次々と感染してどんどん隠していき、ゾンビ同士の交配でベビーゾンビも1日で産まれ、さらに幽閉してる屋敷でホームパーティーをしてしまったが運の尽き、大量のゾンビが誕生してしまう…という流れなんだけど、無茶苦茶すぎるストーリーながら片時も目を逸らさず見続けられたのは、その圧倒的なコメディセンス!そしてやりすぎなぐらいの凄惨なゴア描写!さらにただグロいだけじゃない、常識を超越したユーモアとアイデアが冴え渡るゾンビ達の動き方、死に方、たたずまい!…などなど、次から次へとクリエイティビティの真髄を見せつけられた私はもうお腹いっぱいを通り越して腹が爆発してしまいました。圧倒的満足感…。

ありえない量の流血や人体破壊、クリーチャーなどをはじめとするグロ描写がてんこ盛りなので、耐性のある方は是非見てみてください。個人的に歴代上位に入れたくなるくらい好きになりました。ギャグのセンス、ゴアのセンス、ストーリーテリングのセンス、キャラ造形のセンス、全てが尋常ならざるクオリティ…。

※何故かまるまるYoutubeに上がってます。字幕つきで…


●HiGH & LOWシリーズ

High&LOW THE MOVIE 1〜3、HiGH&LOW THE WORST(日本)

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「EXILEが喧嘩する映画」という、私とは最も縁の遠かったジャンルなんですが、食わず嫌いは良くないと思って実際見てみたらめちゃめちゃ面白くて、かなりハマってしまいました。

2シーズンあるドラマを見ずにいきなり映画版から入ったということもあり、THE MOVIE 1は「登場人物、多っ!!何が誰でどれが何!?」ってなるし細かいところはわけがわからねぇ〜って感じではあるんだけど、大勢いる中から光る主要キャラ(本当に見た目が分かりやすい)を見極めながら思惑などがハッキリしてくると、そこから強い絆で結ばれている男たちの友情や、いがみ合ってたであろう5つのチームが連合軍となって強大な敵と無謀な戦いに挑むなど、少年マンガやアクション映画の基本を抑えた展開に少しずつ感情が高まっていく…!まさに全員主役!熱い!!

終盤の大乱闘シーンはかなりむちゃくちゃな規模で迫力も十分だし、時の流れとともに少しずつ狂っていった歯車を力と涙で直していく泣かせシーンもみんな演技を頑張ってました。2と3も、1から連なるストーリーを大胆に進めながらまた別軸の爆熱を滾らせて突き進んでくれて、見終わるころにはハイローの世界をもっと知りたい…となってしまいました。スピンオフのTHE WORSTも一番分かりやすくて熱い!


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以上です。年末年始暇な時の参考にどうぞ。来年もたくさん見れるかな。

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