配膳


グループホームでは自立支援ということで、できることはなるべく本人にしてもらうようにしていた。

食事の準備もそれぞれご利用者様に手伝っていただいていて、お米を研ぐ人、野菜の皮を剥く人、切ってもらう人、炒め物をしてもらう人、毎日「今日はこの人にこれをお願いしてみよう」と考えながら行っていました。

調理ができない方(拘縮があり手が動かさなかったり、ほとんど寝たきりとか、本人にやる気がない等)には、味見をお願いしていて、必ず誰かが関わるように。

配膳も一つ一つ「これはお盆のここに置いてくださいね」とお願いしながらやっていた。

お昼ご飯の配膳をSさんにお願いしながらやっていた時、

「俺に死ねって言ってるのかよ!」

私の方を睨んで叫んでるKさんがいた。

一瞬なんのことだかわからなかったが、Kさんのところへ向かうとすぐに理解できた。

ご飯とお味噌汁の位置が左右逆にに置かれていたからだ。

手伝ってくださったSさんが間違えて置いてしまったのだが、Kさんはそんなこと知らないから調理をしていた私に向かって叫んだみたい。

「ごめんなさい。そんなつもりではありません。」

慌ててご飯とお味噌汁の位置を戻すが、しばらくKさんの怒りはおさまらなかった。

Sさんが心配そうに私の方を見ていたので「大丈夫ですよ。私が間違えちゃっただけだから気にしないでくださいね」と言うと、いつもの可愛らしい笑顔に戻る。

数時間経ってからKさんのところへ行き、「お昼ご飯の時は大変失礼致しました。決して、Kさんに死んでほしいなんて思っていません。大変不快な思いをさせてしまってごめんなさい」と謝ると「俺もあんなに怒鳴って悪かったね。誰でも間違いはあるもんだから。でも次からは気をつけてね」と、とても優しい言葉をかけていただけました。
よかったー、ほっとして泣きそうになってしまった。

間違えて置いてしまったのはSさんだが、置いてあるものをちゃんと確認しなかった私のミス。

この後からは、一度自分の目で確かめてから配膳をお願いするようにしました。

起こってしまった日に上司にはしっかり報告していたので特に問題はなかったのだが、月一の全体会議の時にも共有事項としてこの件を報告した。

他のヘルパーさん達も「そんなことがあったんだね。私たちも気をつけなきゃね」と言ってくれたので、それ以降の配膳の時は私以外の皆さんも今まで以上に食器の位置に気をつけていました。


私自身は「食器の位置を間違えただけでそんなに怒ることか?」と思ってしまうタイプですが、人によって感じ方や捉え方は違うんだなーと、改めて実感した出来事です。

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