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議会は本当に不要か

総じて、世間の議会に関するイメージは悪い。
議会は面倒くさい、時間の浪費だ、拘束時間が長すぎる、議員がエラそう。
本当にそうなのかな。
ネガティブなイメージで向き合うともったいない。

議員経験のない人はもちろんのこと、経験のある首長でさえ、「有能な人材を議会に張り付けておくのはもったいない。」なんて言ったりする。
これは痛烈な皮肉が含まれているので、文言通りに読むと議会不要論に受け取られるが、実は議会に対するエールだったりする。

注意

最初に言い訳を。
ここでは地方議会を想定しています。国会のことは想像だけで分からないので。
あと、そんな人がこれを読むとは思えませんが、学術論文ではないので物足りない人はゴメンなさい。

議会の役割

総務省のホームページには次のように書かれていて、的を射ていると感じたので引用します。
「地方公共団体のガバナンスのあり方に関する参考資料」
平成26年8月29日 第31次地方制度調査会 第6回専門小委員会

議会は、地方公共団体の意思を決定する機能及び執行機関を監視する機能を担うものとして、同じく住民から直接選挙された長(執行機関)と相互にけん制し合うことにより、地方自治の適正な運営を期することとされている。

役所から見た議会

議会議員に対して、役所側の首長をはじめとする幹部や職員の事を執行部とか、理事者といいます。
彼らからすると、議会の会期中は出張もできないし、休暇も取れない。打ち合わせの予定を入れることもできない。なんて束縛が厳しいんだと感じます。それだけ議会が特別視されています。

しかも、会期中の説明を行う際の緊張はもちろんのこと、閉会中でも議員が執務室に乗り込んできて住民の要望と言って要求を突きつけてくる。その態度がどうかはいちいち可否を含めてご説明しなければならない、面倒な存在なのです。

住民から見た議会

議会は何をやっているか分からない。
選挙の時は声をかけられるし、当選後は支持した議員から困ったことがあれば相談してと言われているから、何かあれば相談することもある。議員を通せば役所の対応がぞんざいになることはない(はず)。それもそんなに頻度はない。

議員から見た議会

首長はアクセルもブレーキも持っていて、予算や条例を制定することができる。議会にも権限はあるが圧倒的に数が少ない。二元(的)代表制というが、とても対等な立場とは言えない。

議会の効能

以上がステレオタイプなよくあるイメージだが、本当にそうだろうか。
薬ではないが効能がある。

執行部が予算や条例を提案する場合、一番念頭に置くのは「理論的に議会に説明できるか」である。感情的な問題で進まないこともあるが、基本的に筋が通っていて、いろいろな立場の人に説明できるものでなければ話にならない。立案をし始める時期が来た職員が注意されるのはこれである。

住民にしても、議員を通じて首長に意見を伝えることができる。
役所も窓口を開いているが、直接言いにくいことも伝えられるし、施策のわかりにくいことも説明してもらえる。

議員にとってのメリットは、議会全体の意志は無視されることはないことだ。
議会の意見が集約されるには大変な調整が必要だが、一度合意されれば必ず影響を及ぼすことができる。
実際的な予算案や条例案を作成しなくても、こうしたいという動議を一本可決して意思を示せば、実際的にそれを無視することはできない。
議場外でも活動して意見することもできる。「議場だけが職場ではない」と公言する議員もいるくらいだ。

まとめ

議会は、地方公共団体の意思を決定する機能及び執行機関を監視する機能を担うものとして、同じく住民から直接選挙された長(執行機関)と相互にけん制し合うことにより、地方自治の適正な運営を期することとされている。

首長も議員の直接選挙により選ばれ、それぞれを自由な権限を持つことなく、けん制し合う立場にある。独走を許さないのだ。
監視・批判機能は情報公開法の趣旨にも通じるものがある。

(おまけ)非常時に議会は不要か

自然災害や新型コロナウイルス感染症対策で忙しいので、議会を開く暇がないという言説が流布されている。開会延期や会期短縮も報道されている。

しかし、役所の行う情報発信が充分でなかったら、対策に問題があったらどうだろう。
それは積極的に議会を開いて説明すべきだし、問題があれば問いただすべきである。役所のアンテナだけでは足りないかもしれないし、議会の理解を得た方が進めやすいこともあるはずだ。
早く行わないと時期を逸するのも問題だ。

理想論ばかり並べたかもしれないが、せっかくの機会を大事に生かしていきたいものだ。

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