電子帳簿保存法はひと安心。フリーランスの私はホッとした

インボイスと並んでフリーランスを悩ませてきた電子帳簿保存法
2024年から本格開始でどうすれば良いか分からなかった人も、そもそも知らない人もいると思います。今回は現実的な対策を紹介します。
(なお、わかりやすさを優先したので、詳細の説明は省いていますのであしからず)

そもそも電子帳簿保存法とは

電子保存は次の3種類に分けられます。

  1. 電子取引(義務)

  2. 電子帳簿・電子書類(任意)

  3. スキャナ保存(任意)

電子取引が義務です。AmazonなどのECサイトやメールに添付されている請求書・領収書は、必ずデータのまま保存することになります。紙に印刷してはいけません。

それでは、ただダウンロードしてデスクトップに置いておけば良いのでしょうか。法律では厳格な管理を求めているのです。保存要件でやっかいなのは、次の2つです。

1.検索機能の確保

検索機能の確保とは、「取引年月日」「取引金額」「取引先」で検索できるようにすることです。具体的な対策としては、次の3種類のうちどれかを採用か併用します。(太字がおすすめ)

1.検索機能に対応した専用ソフトを使用する
2.ファイル名を「20240131_(株)帳簿商事_110000」等にしてデータを保存する
3.Excel等で索引簿を作成し、保存したファイルと関係づける

2.真実性の担保

真実性の担保とは、保存した電子データの改ざんを防ぐものです。具体的には次の4つの対策があります。(太字がおすすめ)

A.タイムスタンプが付与された書類を受け取る
B.データに速やかにタイムスタンプを付与する
C.データの訂正・削除が記録されるまたは禁止されたシステムでデータを受け取って保存する
D.不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を整備・運用する

フリーランスの現実的選択

これらの基本を踏まえて、現実的な対策は次のとおりと考えられていました。

ファイル名やExcelなどで検索機能を持たせつつ、事務処理規程を運用する

驚きの緩和措置(令和5年度税制改革大綱)

ところが、関係者からの大反対があったのでしょう。大幅な緩和がされました。令和5年度税制改革大綱です。

改正のポイントは次の2点です。

  1. 相当の理由があれば当面の間、「電子取引」の保存を猶予する

  2. 売上5千万円以下の事業者は、「電子取引」の検索機能を求めない(期限なし)

つまり、電子取引を保存できない理由があれば、当面は紙保存で良い。

さらに、電子取引を保存する場合でも、小規模事業者はデータを保存しておくだけで、検索は考えず税務署の求めがあれば提示できるようにしておけば良い、ことになったのです。ただし、この場合でも事務処理規程の整備と運用は必須です。

この改正で、電子帳簿保存法の危機はほぼなくなりました。

注意すべきこと

しかし、喜んでばかりはいられません。電子保存の流れは変わらないからです。

相当の理由があれば、当面猶予されることになりましたが、相当の理由がなにか明らかではありません。6月頃に質疑応答集で示されるとも言われています。
つまり、6月になってから理由に該当しないことが判明して、急いで準備をしなければならないかもしれないのです!

最悪の事態を想定すると、当初考えていた対策をしておいた方が良いでしょう。

不当な訂正削除の防止に関する事務処理規程を整備・運用する

この準備はやっておいた方が良いようです。
ひな形は国税庁にあるので、ダウンロードして自分に合ったものにしておきましょう。電子取引に関する事項です。

規程を整備したらファイル保存についても検討を始めましょう。現実的な対策は次のいずれかです。

  1. ファイル名で整理してExcelで索引簿作成

  2. 会計ソフトでファイル保存をする

どちらを選ぶかはまだ時間的余裕がありますが、私は会計ソフトの機能を使う方が簡単だと考えています。後日検証します。

最後に

雲を掴むような電子帳簿保存法がおわかりいただけたでしょうか。
来年から運用される制度です。今のうちから対策を考えておきましょう。
このメモが、フリーランスの方の参考になれば幸いです。

参考資料

2023年1月末現在で網羅的でもっともわかりやすい動画解説です。
結論は、クラウド会計ソフトを利用しましょう、ということです。

また、もっと詳しく知りたい方は次の記事がおすすめです。

https://toma.co.jp/blog/software_it/zeiseikaisei-taiko-denshi-2022/


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