【葬送のフリーレン】「鏡蓮華」久遠の愛情
運命の指輪は、実態がないのかもしれない。
フリーレンが勇者ヒンメルからもらった鏡蓮華をあしらった指輪。ヒンメルから贈られた物の一つだが、ものに執着しないフリーレンにとっては存在すら忘れていたプレゼントなのかもしれない。
しかし、ヒンメルがひざまずいて渡してくれたことで、なにか特別な感情が込められていると感じたのだろう。「人との距離感って何?」というような、人間の感情の機敏に疎いエルフだ。はっきりと自覚できなかったのは無理もない。フェルンが同じ意匠のブレスレットを、シュタルクからもらうまでは。
振り返れば、ヒンメルと出会ってからフリーレンは人間の感情を知るようになる。誕生日プレゼントを忘れられて怒るフェルンをなだめる姿は、感情を持たないフリーレンには似つかわしくない。若いふたりを屋根の上からこっそり見届けるなんて。
ともかく、フリーレンが受けた久遠の愛情は、弟子のフェルンに引き継がれた。それは物理的な鏡蓮華が継承されたのではなく、人を想う気持ちが時空を超えたのかもしれない。
フリーレンがかつてハイターを褒めたように、今はザインの頭を撫でている。想像を超えた長い時間を生きているお姉さんが。
それにしても、今になってヒンメルを大切に思うなんて。遅すぎるよ、フリーレン。
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