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【かぞかぞDVD第9話】草太と取り巻く親子の思い

内容を知り尽くしたつもりでも、思わぬ遭遇がある。DVDボックスを入手したからには真っ先に見たいシーンがあった。かぞかぞ名シーンのひとつは、第9話の草太(吉田葵さん)と耕助(錦戸亮さん)が親子で歩くシーンだと信じている。黙々と歩くふたりがぼつぼつと交わす会話。錦戸さんの押さえた演技と葵くんが繰り返す問いかけ。演出の大九明子さんが暖めていた構想だそう。ダウン症の子ども達はなにも間違っていないよ、というメッセージ。

しかし、終わりではなかった。その直後の流れも秀逸。

母ひとみ(坂井真紀さん)が自宅で、草太の髪を切るシーン。甘える草太。

草太をグループホームへ送る車から転落しそうになるひとみに、草太が駆け寄り「僕は大人です。」と言うシーン。

母子の関係性を丁寧に伝えるエピソード。今回DVDを見る前はどちらのシーンも印象が薄くなっていたが、一番胸に迫る場面になっていた。見る時期により違う面を見せてくる。かぞかぞは厚みのあるドラマである。

自分が先に亡くなったら、残された子はどうなるのか。不安を訴える親の話を聞く。他人事ではない。いつか親元を離れるとき、笑って見送れるのか、やけ酒で紛らわすのか、今はわからない。

リアル放送時にNHKオンデマンドで見ていたときは、北陸新幹線の車中だった。脆弱なWIFIの中、途切れ途切れで見ていた間合いがちょうどよかったのを思いだす。かみしめられた。泣きながらMacbookに向かう姿を、隣の乗客は何事かと眺めただろう。

配信を見ながら食べていた冷凍アイスクリーム「スジャータ」の移動販売はなくなったそう。時代は変わっても泣きながら見た車中の思い出は消えない。

固いスジャータ

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