『無人島のふたり~120日以上生きなくちゃ日記』山本文緒さん(本のはなし)
山本文緒さんの、自分の病気がわかったのが2021年4月。それから亡くなる2021年10月まで日々のことを書いた本。自分の余命がわかってからどんな思いでいたのかを知りたいと読んだ。
体調のこと、通院のこと、食べたものや会った人、思ったことが書いてある。
一番好きなカフェに行ったあとは、「もう来られないかと思っていたので本当に嬉しい」とか、デザートを作ったらダンナさんが喜んでくれて「旅行や遠出ができなくても、家の中でやりたいことをやって過ごせて、負け惜しみではなく、とても幸せだ」など書いてある。一つひとつの出来事が密で、感じたことがぎゅっと濃い。
ダンナさんの描写もあって「お酒を飲みすぎて自分でホワイトソースから作ったグラタンをオーブンから出そうとして手を滑らせてひっくり返してしまい、泣き出した」という所は、ダンナさんのあふれ出した溜まっていた感情がこちらにもすごく伝わってきた。
意識が少し遠くのほうにいってる中で、ダンナさんが声を掛けている。その描写が切なかった。それを文章に残せてるって、そこまでの状態でも覚えていて書いてるってすごい。思い出したらまた泣けてきた。
この本を読んで追体験し、何度も目が潤んでしまった。貴重な出来事を感じさせてもらい、自分の大切なもの、大事にしたいことを改めて感じさせてもらった。日々の出来事に敏感に、もっと感謝をして過ごしていきたい。
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