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すがりの笑(藁)

すがりの笑(藁)というモノがある。元日に、磐田市の矢奈比賣神社(やなひめじんじゃ)で購入した。5㎝位の藁の束をまとめて祈祷してあるものだ。

説明書きにこう記してあった。

人間は一生に一度は「藁にもすがる」ような思いをすることがあるそうです
そのようなことを避け笑って暮らせる様に「すがりの笑(藁)」を家の玄関または鬼門の方向へお掛け下さい
         見付天神
         矢奈比賣神社

見付天神を初詣の神社に選んだのは、おみくじの可愛さに惹かれたからだった。
『ゆるキャン△』のアニメにも登場した神社だ。静岡県磐田市のゆるキャラに、しっぺい、という名前の犬がいて、そのスポーツのコスプレ⁉︎をかたどったおみくじが出ていた。オリンピックでの活躍があった卓球、サッカー、野球、ラグビー、などのスポーツ姿のしっぺいおみくじ。他に裸祭りバージョンもある。

足の方から、おみくじを取り出して、入れ物は飾っておくことができる。私はサッカーボールを携えたおみくじを選び、友達はラケットを持つ卓球のそれを選んだ。ひいたおみくじの結果は神社に結んで来ようか迷うものだったが、戒めにもなるかと思い、持ち帰ってきた。
しっぺい、は町を救った犬として、祀られている。見付天神には、霊犬神社もある。犬を連れて参拝に来ている人も多かった。

現在の状況は、まさに藁にもすがりたい生活なので、お札を一枚、神社に納めるのも微妙だったが、実家への土産の一つになった。
ただの藁の束、と笑う人もいるかもしれない。
でも、それも狙いのひとつ。
実家に戻ると、家族は「そうだねー。これは飾った方がいいねぇ。どこにしようか」と笑わずに考えていた。
その後に差し出した磐田名物の「粟餅」には、笑顔だった。祖母の実家が磐田市なので、母はたいそう喜んでいた。

どこで笑うか、何に笑うか、いつ笑うのか。

私たちには、笑うことが暮らしの何よりの栄養。

楽しいことに涙が出てくるときもある我が家。ただの藁のパワーにすがって、一年が始まった。

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