『大事にされてた』#毎週ショートショートnote
「夏なら数週間、冬だと数か月だよ」
何の話?ー私は流れる雲を見てた。
「ひとが死んでから白骨化するまでの時間」
なおのこと日数が合わない
ー有楽(うら)が居なくなった日を頭で数えた。
「有楽が死ぬ理由なんてない」
評判は良かったもんね。何をやっても許された。そういえば、あの、なんて言ったかな‥‥茶色の、ケージで飼う、鼠の仲間の‥‥
「ハム‥‥あ、違う、モルモットだ」
(そう、モルモットも一緒に居なくなってた。
家族と暮らしていたのに、なんでモルモットまでー)
嫌な予感はした。
子供の秀が言ってた。
モルモットを見なくなったのは、3か月前だ。
「見つかるまでに秋口の涼しさを考えると流石に3か月では無理か」
白骨化した肋の下に大量の虫
虫が腐敗を手伝ったのだ
肌身離さず持っていたスマホ。
肋の下に見えたそれは、スマホから鼠の姿に変わった。
可哀想に、虫を自分に呼んで腐敗を早まらせたんだ。見つかるように。
脊椎動物の骨はポロポロと指の隙間からこぼれた。
(410字)
◇たらはかにさんの企画に参加します。
お題の【白骨化スマホ】です。
12/15(金)深夜が〆切りです。
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