稲葉曇「きみに回帰線」を元不登校が考察してみた

稲葉曇『きみに回帰線』Vo. 歌愛ユキ (youtube.com)

(今回感情移入が酷いので、考察というより自己解釈小説みたいになってます。ごめんなさい)

あたしのせいかな 筆箱の中身が減って身軽になってく楽になるはずなのに

不登校になり、家に籠るようになる。
歌詞の内容的に絵を描くのが好きな子っぽいので、
「どんどん筆箱の中身を取り出して絵を描く→そのまま机の上に文房具を放置→筆箱の中身が減る」みたいな流れ?

あたしの助けて欲しいがあたしのせいになるのはきみのためと思えば思うほど嫌になる

"いじめられている"と助けを求めると、"それはあなたが悪い"ときみ(いじめの主犯?)の親や先生に突き放される。
「それはきみの進学や成績、評判に影響しないようにする為なんだ、だからしょうがない。」と考えると辛くなる。

天気のせいかな 準備万全だったのに雨に濡れているのは 気にしがちのあたしだから

(そのままの意味と解釈している)

朝の会はひとりでいい 名前を呼ばれるだけでこわい 耳を塞ぐエネルギー きみから奪ってしまえばいい

久しぶりに登校して、朝の会の出欠確認で名前を呼ばれると
「えっ、いたの!?」みたいな視線を浴びる事がよくある。
そして、「何で来てんのw」みたいなざわつきを聞く。
そうやって騒ぐ、無駄に元気なきみから耳を塞ぐエネルギーを奪いたくなる。

今日はずるやすみをしよう 進む教科書 皆勤仕様 つぶれた鉛筆でお絵かきを するだけでいい世界に居たいのよ

授業のスピードは恐ろしいと感じる。
久しぶりの登校で準備万端だったはずが、鉛筆は削り忘れて潰れている。
授業の内容の意味が分からないまま教科書にお絵描きをし続ける。

 カーテンの隙間に野次を言う余裕があった頃は とうになくなっているから安心をきみから借りる。

回帰線ちゃんは昔不登校の子がいる場所(その子の自室や学校にある不登校の人が通う教室)のカーテンが少し開いていたら、野次を言っていた。
でも今となってはそんな余裕も無いし、逆にそうなる様になっている。
それに対して罪悪感もあるし、不登校をやめなきゃと思う事もある。
だけど、"そんな事をしてくるきみがいるから、不登校のままでいい。だからやめなくていい。"と安心している節もあった。

気のせいかな 久しぶりの授業が楽しいと感じたのは 明日から休めるから

今日行けば親や先生は少し安心するはず。
学校に復帰する目途を勝手に見出したはず。
だから、「つかれた」と言えば「きっとまた回復して学校に行ってもらえる」と思って休ませてくれる。罪悪感無しで休める。

あたしの助けて欲しいは次第にいなくなる それは嬉しいはずなのに 重いアンテナ

次第に、"きみのいじめから助けてほしい"という心情は無くなっていく。
それは喜ばれて、自分も嬉しいしまた学校に行けるはずなのに、身体は重たい。

布団で隠していい? きみのせいかな 間に合いそうの先に夢が続いているのは

重たいので布団で眠る。学校に行けてみんなのペースに間に合いそうと思っても、そこには夢(家にこもる)が続いている。それはきみのいじめのせいだからと思い込む。

あたしのせいにもできるから 今日はずるやすみをしよう
いらない給食 じゃんけんしよう

体調不良のせいにも出来るから休み続ける。
給食じゃんけんの下りはそのままの意味

使い慣れた部屋で自問自答 するだけでいい世界を知りたいのよ

これの意味はそのままっぽい

重い足取り 軽いかばん 悪いことしたような
そんな浮遊感 ぐちゃぐちゃの時間割 あたしの身代わりになって欲しい

学校に行く足取りが重い。途中から学校に行くから、カバンの中身は軽い。
使わないのでぐちゃぐちゃになった時間割。

今日はずるやすみをしよう 今日はずるやすみをしよう 欠席の理由 大事な私用 ファーストクラスの教室で きみのための景色を見たいのよ

昔は"大事な私用"という名目で休んでいた。
きみとのトラブルは解決したと思わせるために、
自分にとってはファーストクラスの様な教室にいかなければいけない。

ずるやすみをして 消えるあたしの回帰現象 正解を知るための自習を するだけでいい世界に居たいのよ

回帰現象…天体 が 公転 などにより(または 地球 からの見かけ上)もとの位置に戻り、その運動を繰り返すこと。(wikiから引用)

家→学校に行く(元の位置)→家 =回帰現象。
ずるやすみを続けることによってそれが出来なくなって消える。
ワークの答えを見るだけの世界にいたい。

カーテンの隙間に野次を言う余裕があった頃は とうに過ぎ去っているから 想像の通りにいかなかった分だけ 遠回りした正解で安心をきみに返している

カーテンの下りはさっきと同じ。
このフレーズはなぜか考察がおもいつかなかった。

感想

私が今まで見た、読んできた不登校を描いたものは、「いじめられて辛い。学校に行きたいけど行けない。」という物が大半でした。
ただそれは私の知見が浅いだけかもしれませんが……。

この曲はかなりグロテスクに、深く鮮明に不登校を描写している印象でした。
そして、描写する時期にも新鮮な感覚を覚えました。
"不登校真っ只中"より"不登校から復帰しそうだけど止まっている"という雰囲気。

「もう学校に戻れる程メンタルは回復しているけど、
何となく戻りたくない。それに罪悪感を抱いてしまい、それをいじめの主犯であるきみのせいにし続ける。またそれにも罪悪感を抱いて……」という負のループを描いていると思いました。

元不登校にとって刺さるフレーズが大量で、ここまで鮮明に刺さるのに詩的な魅力も感じる歌詞を書ける、稲葉曇様の強さに圧倒されました。
きみに回帰線は、不登校を描いた楽曲でも稲葉曇様の楽曲でも一番好きです。

稲葉曇『きみに回帰線』Vo. 歌愛ユキ - YouTube

twitter.com/inabakumori

日本語おかしかったらごめんなさい。

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