みちのく潮風トレイル1 蕪島
雲一つない青空だった。
蕪島に立ち寄ったのは、2017年9月末のこと。
夏の暑さは残っていたが、さすがに海で泳ぐ人はなく、
波打ち際で遊んでいる親子が何組かいるだけだった。
海辺の街灯に、一羽のウミネコがとまっていた。
蕪島は、ウミネコの繁殖地として知られている。
「海猫(ごめ)渡る」という春の季語があるように、
毎年3月になると、3万羽のウミネコが繁殖のために飛来し、
産卵、子育てを終えた7月下旬ごろ、親子で蕪島を飛び立っていく。
島を離れたウミネコは、いったんサハリン島付近まで北上し、
その後、南下して九州まで渡るという。
もう9月である。
街灯のウミネコは、
居心地の良い島に、飛び立つのをためらっているのだろうか。
あるいは、もうサハリン島から戻ってきて、
さらに南下する前に、長旅の起点であるこの島で、
羽を休めていたのだろうか。
蕪島は、みちのく潮風トレイルの出発点(終点)でもある。
みちのく潮風トレイルは、
青森県八戸から、福島県相馬市まで、
全長900kmを超えるロングトレイルだ。
この日から、何年かにわたる
相馬への長いトレイルの旅が始まった。
(2017.09.24 青森県八戸市 蕪島)
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