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やさしさが伝染していくような場所にしていきたい|千葉ウシノヒロバメンバーインタビュー③佐山春さん

千葉ウシノヒロバへ入場してすぐのところに、もともと牛舎だった場所があります。今はそこを改装し、「大屋根ガーデンYAHHO」という広場として利用しています。YAHHOにはミルクバースタンドがあり、毎週実施しているマルシェの開催場所にもなっています。

YAHHOでは、人が集まり談笑している光景を見かけます。ペットのお散歩ついでに足を伸ばして来られた方やキャンプの常連さん。ほかにもスタッフ同士が声を掛け合う姿や、スタッフが子どもとイスを並べておしゃべりしている姿など。

そんな中で特にいろんな人に声をかけたり声をかけられたりしているメンバーがいます。佐山春さん(以下、春さん)です。春さんは「コミュニティーマネージャー」という役割のもと、お客様に接することとお客様に提供するサービスや仕組みをつくることの両軸に携わられています。

はじめて訪れたときに、人を迎え入れるのにふさわしく暖かい場所だと直感しました

春さんは千葉ウシノヒロバの施設がキャンプ場として整備される以前から関わっていたメンバーの1人です。プロジェクト初期は、清掃やDIYがメインの業務で、明確な役割も決まっていませんでした。それでも千葉ウシノヒロバでお客様を迎え入れるイメージはしっかりと持てていたと話します。

「2020年1月に勉強会が開かれ、初めて現場を訪れました。そのときに代表取締役の川上さんや施設の設計を担当されたTAIMATSUの松尾さんたちと未来についての話をしたんです。こういう場所にしていきたい、こういう場所になっていくだろう。僕はそういった熱い話をしながら、『ここはとても暖かくて、人を迎え入れてもいい場所だ』という確信を得ていました。」

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そこから約1年かけて、千葉ウシノヒロバはオープンを果たしました。春さんは現在「コミュニティマネージャー」として、千葉ウシノヒロバの盛り上げ役を担っています。お客様とのやりとりを中心に、お客様に提供するサービスの考案や、サービスを適切に運用するための付随業務にも関わっています。現場メンバーのマネジメントも行っており、聞いている感じだとかなり大変そうな印象です。

しかし千葉ウシノヒロバではスタッフともお客様ともコミュニケーションを惜しまない春さんの様子が目に入ります。忙しさを感じさせないその笑顔に、こちらまで楽しい気持ちになるようです。

「人と話しているのが一番楽しいですね。3月からはお客様と話すきっかけづくりに、行商をはじめました。行商用のカートを引いて、お客様の近くにでかけていくと声をかけてもらえるんです。いつも行商の途中にお手製のパンをくださるお客様がいて、一緒に座ってパンを食べながら休憩したり、感想いいあったり。同じものを見ながら、そのときの空気感を共有する機会の大切さを感じます。こういった時間はなによりも大事にしていきたいです。」

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プレオープンして約半年、お客様とも関わる中で、千葉ウシノヒロバをはじめて訪れた日に思い描いたイメージにはどれくらい近づいているのでしょうか。

「お客様との距離感や信頼関係は、イメージしていたところに近づいているように感じます。とてもありがたいことに、『春くん』と名前を呼んでくれたり声をかけてくれたりする常連の方が増えています。中にはウェブからの予約方法がわからないからと一緒に画面を見ながら予約をしたところから仲良くなって、何度も足を運んでくださる方も。そういったお客様とは、当初から思い描いていた『暖かさ』みたいなものを共有できているんじゃないかな。」

春さんのお話から、お客様が共有する時間の積み重ねによって、千葉ウシノヒロバの「暖かさ」が実現されいることを感じます。

「千葉ウシノヒロバの空気感は本当にお客様がいてこそ。僕たちもお客様と話しているなかで、「次はこうしよう」「もっとこうしたい」というアイデアやイメージが得られています。」

千葉ウシノヒロバにいらっしゃるお客様と共有する時間の中で、「暖かな場所」というイメージをより具体化しアイデアを得ていく春さん。発想したアイデアにはどんどん挑戦し、形をもたせていきます。

そんな春さんの行動力の源泉はどこにあるのでしょうか。

千葉ウシノヒロバはやさしさに溢れた場所であってほしい。だから僕たちは笑顔や思いやりを忘れずにいたいですね

「洋服を買うときも、飲食店でご飯を食べるときも、『この人が売っているから買う』ことって、ありませんか。例えば僕だったら、よく行く居酒屋の店主がそういう存在。料理自体が出てくるスピードは決して早くない。でもあの店主のおっちゃんがつくったご飯だから食べたくなる、みたいな。関わる人にとって僕自身もそういった存在でありたいから、千葉ウシノヒロバでも『スタッフとお客様』だけじゃない『僕と〇〇さん』という関係を大事にしたいんです。」

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「僕と〇〇さん」。お客様と接する春さんの様子を見ていると、なるほどと納得する部分がたくさん見えてきます。なかでも特に意識している点についておうかがいしました。

「笑顔でいることや目線をあわせるといったコミュニケーションを自分たちからやっていくこと。あとは、自分たちが一番楽しくあることですね。その場にいる人の雰囲気って、意外と自分にも影響があるものじゃないですか。スタッフがせわしなくしていたら、きっとお客さんもせわしない気持ちになってしまう。だからスタッフが暖かい気持ちで気遣っていたら、お客さんにも同じ気持ちが伝染していって、会話や振る舞いに表れていくんじゃないでしょうか。だから必ず、自分たち千葉ウシノヒロバのスタッフから体現していくことが大事だと思っているんです。」

そうして千葉ウシノヒロバスタッフからお客様に伝染していったやさしさが、今度はお客様同士の思いやりへと広がりっていく。春さんはそんなつながりをイメージしているといいます。

「一方通行じゃなく、お互いにやさしさや思いやりをもてる場にしていきたいです。やさしさに溢れていて、みんなが親切で思いやりを持っているような。世界規模で実現することは難しいかもしれません。でも千葉ウシノヒロバはそういった場所であってほしいですね。」

春さん個人としても、千葉ウシノヒロバで「恩送り」を実現していきたいという思いがあるそうです。春さんが実際にそう感じた経験についても語ってくれました。

「アラスカを旅行したときに、カードが使えなくて、現金も数円足りなくて困っていたら、後ろの人が10ドルをくれました。その後お釣りだけでも返そうと思ったら、もう立ち去っていて。その人には感謝を伝えられなかったけど、このやさしさを自分は誰かに巡らせないといけないなって思ったんです。それで渋谷で前に並んでいた高校生に10円を渡したこともありました。絶対に10円足りていないなって高校生が前にいて、アラスカでの出来事を思い出して10円を渡しました。もちろん怪しい人だと思われたどうしようっていう迷いもありましたけどね。」

見ず知らずの人にやさしくすることはとても勇気がいることです。「変な人だと思われたらどうしよう」「嫌な顔されないか」私自身、そんな不安を感じて声をかけられなかったという経験もあります。春さんもそういった不安が頭を過ぎったといいます。それにもかかわらず、勇気をもって声をかけた背景にはどんな考えがあったのでしょうか。

「もらったやさしさを次の人に渡していくことは、人と人の関係が少しでも良くなるために自分ができることの1つだと信じているんです。
あと恩返しは『返しきれないもの』だと思っています。やさしさをくれた人にたくさん感謝を伝えたいけど、隣にずっとその人がいるとは限らない。だから僕が今まで受けたやさしさとか暖かさをちゃんと他の人に渡して巡らしていきたい。そうすれば、いつか誰かからの恩送りが恩返しに繋がるかもしれませんよね。」

春さんが人へ渡しているものはやさしさや思いやりだけではないのかもしれません。困っている人に声をかけたり手を差し伸べたりする勇気のようなもの。そういったものが人から人へと広がっていくことで、千葉ウシノヒロバはどんな場所へと変わっていくのでしょうか。

牛と人と自然が穏やかに交差し、勇気のきっかけが生まれ、ここに訪れた人がなんとなく前向きな気持ちになって帰路につく。そんな場所になっていくんじゃないかなと、春さんの言葉から想像しました。

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(執筆:稲葉志奈)