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インサイドセールスとマーケの溝を埋める。ジェイタマズが挑む「日本の商習慣をひっくり返す」プロダクトとは?

こんにちは、千葉道場ファンドです。

2022年7月、千葉道場ファンドは、アポイントなしで商談を始められるWeb接客ツール「OPTEMO」の開発・運営を行なう株式会社ジェイタマズに対し、プレAラウンドで追加出資しました。本ラウンドにより、同社の累計調達額は約2億円(22年11月現在)となりました。

ジェイタマズは2020年7月に設立。代表取締役CEOの小池桃太郎さんは、シャープで電気回路のエンジニアとして働いた後、船井総研に転じてコンサルタントとして活躍した異色の経歴の持ち主です。

元エンジニア・元コンサルタントの起業家が、なぜインサイドセールスを変えるプロダクトに取り組むのか。リード獲得において、今後もインサイドセールスは重要な地位であり続けるのか。

前・後編の2記事にわたり、千葉道場ファンド・キャピタリストの木村拓哉が、小池さんにうかがいます。

元・製造業エンジニアがインサイドセールスの課題解決に取り組む理由

木村:製造業のエンジニアからコンサルタントを経て起業というのは、珍しいキャリアだと思います。どんなきっかけだったんですか?

小池:私がいたころのシャープは外資系企業による買収が話題になっていて、ニュースでは「“経営再建中の”シャープ」という枕詞をつけられてしまう状況でした。

その時に「こんなに技術を持っている会社なのに、経営面で不遇な状況になってしまうのはもったいない」と思ったんです。自分は技術で世の中を変えるだけでなく、別の形でモノ作り企業をサポートしていきたい。そう思って船井総研に転職しまして。同社では一貫して、製造業の支援を担当していました。

その後、2020年にジェイタマズを創業して、インサイドセールスの課題解決という領域に取り組むことになったわけです。これには2つのきっかけがあります。1つが、現場の方々へのヒアリング。もう1つが、船井総研時代の私自身の経験です。

実はOPTEMOに取り組む前、我々は別の領域で事業をやっていました。そこからピボット先の領域を決めるにあたって、いろいろな職種や領域の人にヒアリングをしたんです。その中で、特にインサイドセールスの現場から浮かび上がってきた「リード不足」という課題に注目しました。

たしかに船井総研時代を振り返ると、支援していた企業が素晴らしいWebサイトを立ち上げてデジタルマーケティングを頑張っても、問い合わせのコンバージョンレートは1%くらい。2%に届けば良いかなというのが常識でした。

これって、考えてみると、残りの98~99%を逃がしても当たり前という状況です。それはおかしいんじゃないかと、私もずっと疑問だったんです。

現場の「リードが足りない」という声と、私自身がコンサルタントとして感じていた違和感。この2つがそろったことで、インサイドセールスの領域に取り組もうという気になりました。

マーケとインサイドセールスの分断を埋める、OPTEMOの仕掛け

木村:OPTEMOの機能を簡単にご説明いただくと。
小池:OPTEMOには主に3つの機能があります。1つ目が、Webサイトに訪れているユーザーがどのページを見ているのかを可視化する機能。

2つ目が、Webサイト上での音声通話機能。テキストでのコミュニケーションは従来のチャットボットでも可能ですが、OPTEMOは個人情報保護やツールのインストールなど手間のかかる作業を一切排して、ユーザーが訪れているWebサイト上でテキストチャットや音声通話を使ってコミュニケーションができます。

そして3つ目が、サポートすべきユーザーを検知したら最適なタイミングを通知する機能です。Webサイトを訪れる人の動きを把握し、特定の動きをしたユーザーに対して「アプローチすべき人が来てますよ」という通知を出します。

3つの機能が組み合わせて、Webサイトを訪れた方の中から特にアプローチが必要そうなユーザーがいたらすぐアプローチ可能な仕組みをワンストップで提供する。これがOPTEMOというプロダクトです。

木村:「アプローチすべきユーザー」の判断は、具体的にどうやって?

小池:WEBサイトを閲覧しているユーザーの行動をもとに、アプローチすべきユーザーを判断しています。

例えば、閲覧者が、どこのページにどのくらい滞在しているのか。価格のページに30秒滞在している人は「詳しい価格を知りたいな」と思っている。そのような人を1分程度で抽出することができます。

さらに、現在閲覧中のページの前に閲覧してたページの判定も可能です。つまりアプローチする人を「ページAを見た後にページBを見ているユーザー」に絞るなど、WEBサイトの導線ごとにタイミングを設定することができます。

また、WEBサイトへ何度も来ている人に限定したり、PC・スマートフォン・タブレットなどデバイスごとの絞り込みもできます。

マーケティングオートメーション(MA)ツールを使っている場合は、MAに登録されている人、すなわち名刺交換をした人にアプローチを限定することも可能です。

木村:リアルタイムでのアプローチという面では、チャットボットをWebサイトに埋め込んでいる企業も多いですよね。一方で、チャットボットをうまく使いこなせていない企業も少なからずあると聞きます。チャットボットがうまくいかない理由って、どこにあるんでしょう?

小池:2つの理由があると思います。

1つ目が「PDCAサイクルを上手く回せていない」から。自社のWebサイトに来ているユーザーがどういう情報を求めているのか、どういう体験を提供できればコンバージョンに結び付けられるのか、といった理解が足りていない。それゆえPDCAサイクルも上手く回せない状態になってしまうわけです。

それともう1つ。「チャットボットが形骸化している」というのも理由です。よくあるのが「会話する」というゴールに固執するあまり、チャットボットからの遷移先が特定のページに片寄るという事例です。あるいは、すでにユーザーが閲覧済みのページに遷移させてしまうことで、ユーザーの期待値を下げてしまっているようなケースも多くあります。

木村:なるほど。チャットボットも含めWebサイトからのリードが不足している中で、一般的なインサイドセールスの現場では、どのようなアプローチをしているんですか?

小池:いわゆる「リサイクルリード」や「ホワイトリスト」への地道なコールをすることになります。でも、これらって基本的には99%断られ続ける「作業」なんですよね。私自身もそういった作業の経験がありますが、こんなことを延々とやると心が折れてしまいます。

そもそも論ですが、Webサイトにおけるマーケティング戦略とインサイドセールス戦略が分かれてしまっていることが問題なんだと思います。

例えばチャットボット。マーケティングのツールだということから、インサイドセールスの現場ではほとんど重視していないか、あるいはそういう機能があることさえ知らないという人もいるんです。そこの意識をもっと合わせる、つまりインサイドセールスをもっと効果的に行えるように、Web側も工夫するという考え方が大事だと思っています。それがOPTEMOを貫く考え方の柱にもなっています。

※※※

後編では、アフターコロナでのインサイドセールスのあり方を小池さんに語っていただきます。さらに、千葉道場ファンドでジェイタマズの担当を務めるキャピタリスト廣田航輝が目から見た、OPTEMOの可能性に迫ります。

文:小石原 誠
編集:西田 哲郎




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