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観光における「質の向上」と「高付加価値化」について(2023.7.13 北海道議会 食と観光調査特別委員会 質問)

 皆さん、こんにちは。
 北海道議会議員の千葉真裕です。
 令和5年7月13日、第2定例道議会の食と観光調査特別委員会において、質問を行いました。

 一 「質の向上」と「高付加価値化」について
 6月21日、当委員会での「第5期 北海道観光のくにづくり行動計画」外国人関連指標の新数値目標案にかかる質疑において、「観光消費額単価の増加に向けては、宿泊や飲食、娯楽等に係るサービスの質の向上を図る」必要性を説かれる一方で、「観光の高付加価値化」、「アドベンチャートラベルに代表される付加価値の高い旅行商品づくり」にも言及されています。
 そこで、「質の向上」と「高付加価値化」について、伺います。

 1 「質の向上」と「高付加価値化」の定義について
 まず、道は、観光における「質の向上」と「高付加価値化」について、それぞれどう定義されているのか、伺います。
【答弁:藤田 経済部観光局観光振興課長】
 
観光に関する「質の向上」は、観光関連事業者が提供する「商品」や「サービス」について、旅行者ニーズを踏まえ、品質を高めていく行為と捉えている。
 「高付加価値化」は、一般に、生産過程で新たに加えられた価値を付加価値といいますが、「高付加価値化」とはこの付加価値を高めていくこと。
 観光客に、より付加価値の高い商品やサービスを提供し、観光客がその価値に満足していただくことが、観光の高付加価値化と捉えている。 

 2 「質の向上」と「高付加価値化」の関係性について
  観光は様々な要素を含むものですから、定義づけといっても難しく、ただいまの答弁もわかりにくいものではありましたが、「質の向上」と「高付加価値化」については、定義として別のものであるとの答弁がありました。
 それでは、「質の向上」と「高付加価値化」について、どのような関係性として整理されているか、伺います。
【答弁:藤田 経済部観光局観光振興課長】
 
質の向上は、観光の高付加価値化の中核をなすものであり、マーケティングに基づき、観光客のニーズに即した新しい商品やサービスを開発し、それらを効果的に販売する活動などを通じて、質の向上を図ることが、観光の高付加価値化に大きく寄与するものと考える。

 3 「質の向上」と「高付加価値化」の測定について
 いまの答弁も、なお整理が必要なものと考えますが、ただいまの答弁で、道の認識では、「質の向上」が「高付加価値化」の中核をなすと理解されていることはわかりました。
 単純化した例で申し上げますと、従来、1万円で宿泊できていたホテルがあるとします。仮に、それが、物価高騰等の影響を受けて、サービスの品質が変わらないまま1万5千円となった場合と、サービスの質の向上を図った結果として1万5千円になった場合、道の理解でいえば、前者は「高付加価値化」ではなく、後者は「高付加価値化」ということになると思いますが、販売価格からはその両者の区別がつきません。
 「質の向上」、「高付加価値化」がなされたかどうかをどのように測定するのか、道の認識を伺います。
【答弁:槇 経済部観光振興監】 
  高付加価値化や質の向上に関する指標は、観光消費額単価などが挙げられ、消費額単価は物価や為替レートなどに影響されることから、その時々の経済状況を十分勘案するとともに、毎年度実施している来訪者満足度調査における満足度評価や再訪の意向、旅行予算引き上げの意向など、消費額以外の指標も含め、総合的に判断していく必要があり、今後さらに検討してまいりたい。

(指摘:千葉 真裕)
 私の質問に対して、答弁を作成するのは大変苦労されただろうと思います。
 「質の向上」や「高付加価値化」という言葉は、いわゆる「質の観光」の文脈でよく使われる言葉ではありますが、漠然とした話になりがちで、具体的にはどういったものを指すのかという議論がなされていたり、整理されているとはいいがたい状況にあります。
 また、「質の向上」や「高付加価値化」をどのように測定し、見える化できるのかという問題もあります。さきほどの答弁にもあった、従前から行っている調査項目では、私が挙げたホテルの2つの例を説明するのは難しいのではないかと思います。
 前回の質問でも指摘した、観光サービスの提供者・供給力が大きなダメージを受けていることに加え、コロナ禍を経ての価値観やライフスタイルの変化、いわゆる「オーバーツーリズム」の問題等により、否が応でも「質の観光」にシフトしていかざるを得ない状況にありますが、道にあっては、「質の観光」を志向することは「言うは易く行うは難し」であるとの認識のもと、観光関係者を含め多くの方々に明確に理解してもらえるように、「質の向上」や「高付加価値化」とは具体的にどういったことなのかといった、諸概念や関係性の整理、どのような測定方法が適切かの検討を含め、外部有識者等のお力も借りながら、是非腰を据えて行っていただきたいこと、また、次期の「北海道観光のくにづくり行動計画」及び各指標に適切に反映させていただきたいことを、強く指摘します。引き続き、次回以降も各論点を議論をさせていただきたいと思います。以上、私の質問を終わります。(了)

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