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観光業における人材確保について(2024.8.7 北海道議会 食と観光調査委員会 質問)

 皆さん、こんにちは。
 北海道議会議員の千葉真裕です。
 令和6年8月7日の食と観光調査特別委員会において、質問を行いました。

 なお、このテーマについては、昨年11月にも質問をしております。
 その際のやりとりについては、下記をご覧ください。

一  観光業における人材確保について
(一)今シーズンの観光サービスの供給力について

 観光業における人材確保について伺います。
 わたくしは、昨年 11月にも同じテーマで質問をいたしました。その後も、全国の数字ではありますが、本年6月の訪日外国人旅行者数が約314万人と、単月として過去最高を記録し、国内旅行者数についても、コロナ禍以前の水準に戻りつつあるなど、観光需要が旺盛である一方、観光サービスを提供する側、観光サービスの供給力については、依然として厳しい状況にあるとの声が私のもとに届いております。
 そこで、まず、今シーズンの観光サービスの供給力について、道は、現状をどのように認識しているか、伺います。

【答弁:新田 経済部観光局観光地づくり担当課長】
 
観光人材の現状についてではございますが、道内の宿泊業の就業者数は、総務省の「労働力調査」によれば、飲食サービス業も含めた2023年の平均は17万人となっておりまして、前年からは、やや増加しているものの、近年で最も多い2019年の22万人に比べますと、5万人の減少となっております。
 また、観光客の主要な移動手段の一つである観光バスにつきましては、一般社団法人北海道バス協会の調べによれば、乗合も含めたバスの運転者数は、平成5年の約8,000人をピークといたしまして減少傾向が続いておりまして、昨年の調査では、約5,400人というふうになっております。
 観光関連産業における人手不足は、コロナ禍以前からも大きな経営課題でありましたが、宿泊事業者からは、現在も、部屋の稼働率に影響しているとの声や、さらに、働き方改革に伴う、いわゆる「2024年問題」などにより、旅行会社からも観光バスの確保に苦労しているとの声が聞かれるなど、取り巻く環境は、より厳しくなっているものと認識をしております。


(二)観光サービスの供給力把握の必要性について
 ただ今、道の現状認識について答弁がありましたが、観光関連産業は裾野が広く、国の各種統計等から、直ちに「観光サービスの供給力」を明確にすることは困難であります。
 ですから、観光サービスの供給力把握というのは大変に難しい作業ではあるものの、昨年11月にも指摘したとおり、観光サービスの供給力の現状がどうなっているかについては、受入体制の中核をなすものでありますので、これを絶えず観測していくことが重要であると考えますが、道の認識を伺います。

【答弁:小田桐 経済部観光振興監】
 
観光サービスの供給力把握の必要性についてでございますが、観光人材における就業実態につきましては、観光サービスの供給力の一つとして常に把握しておくことが重要であると認識をしております。
 このため、道におきましては、定量的な把握として、総務省の「労働力調査」や厚生労働省の「雇用失業情勢」など、国における各種統計や民間の調査会社の各種データを活用するとともに、定性的にも、業界団体や事業者、国の関係機関へのヒアリングなどを通じて最新の状況の把握を行っているところであり、今後とも、観光人材における就業実態の正確な把握に努めてまいります。

【指摘:千葉 真裕】
 観光サービスの供給力は、各地域の特性等も勘案する必要があり、国の各種統計等ではなかなかわからない部分もありますので、道として主体的に、きめ細かくその把握に努めるよう、指摘をいたします。


(三)観光業における人材確保に向けた取組状況について
 次に、昨年11月のわたくしの質問以降、観光業における人材確保に向けた、道の取組状況について伺います。

【答弁:新田 経済部観光局観光地づくり担当課長】
 観光人材の確保などに向けた道の取組みについてでありますが、道では、これまでも、新規雇用や職場定着に向けた取組みとして、宿泊業をはじめとする観光関連産業を対象としたセミナーや相談会、道内観光産業への関心が高い移住希望者向けセミナーを実施しておりまして、今年度は、新たに、宿泊業への就業を促進するため、学生等を対象としたインターンシップや職場見学会等の取組をスタートさせまして、幅広く若年層へ宿泊業の魅力を伝えることにより将来にわたる宿泊業への人材確保につながる試みを展開しているところでございます。
 また、バスの人材確保に向けて交通事業者や関係団体と連携し、全道各地での合同就職相談会の開催や移住・観光施策と連携した首都圏におけるプロモーションの実施、さらには、退職される自衛官向けの就職相談会の開催などの取組みを進めているところでございます。


(四)いわゆる「ニセコ・モデル」の実証事業の効果や課題等について
 昨年11月の質問で、わたくしは、沖縄県における、修学旅行のピークシーズンである10月から12月の、県外からの修学旅行受け入れに対応するために必要な乗務員等を県外から確保した貸切バス事業者に対し、県外からの乗務員等の受入に必要な渡航費、滞在費、研修に要する費用の一部を補助するという、「修学旅行貸切バス等受入体制緊急支援事業」を例に挙げ、こうしたアプローチについて、道としてどのように考えているかを質したところ、当時の観光振興監から、「昨年度の冬期間に実施された、ニセコ地域における、東京や札幌地区からタクシーの車両と運転手を調達し、外国人観光客や地域住民の円滑な移動手段を確保するという、いわゆる「ニセコ・モデル」の実証事業も参考にしながら、観光人材の効果的な確保策について引き続き検討する」旨の答弁があったところです。
 そこで、昨冬の実証事業について、その効果や課題等について、道としてはどのように受け止めているのか、伺います。

【答弁:金盛 経済部観光局誘客担当局長】
 ニセコ地域における実証事業についてでありますが、この事業は、世界的なスキーリゾート地となったニセコ地域の課題であります地域住民や外国人観光客の円滑な移動手段を確保することを目的として、倶知安・ニセコ両町や一般社団法人北海道ハイヤー協会、そして、配車アプリを運営するGO株式会社が中心となり、昨年12月11日から今年3月19日までの間、東京や札幌地区からタクシー車両11台と運転手の派遣を受け実施されたものでございます。
 事業実施のために規制緩和を行った北海道運輸局からは、冬期のタクシー不足への対応として、一定程度の成果が得られたとの認識が示されており、ニセコ地域においては、引き続き、この冬も、採算性や労働環境等の諸課題を克服するため、オーバーツーリズム未然防止・抑制に向けた先駆的な取組みを行う地域に対する国からの支援も活用しながら、事業を実施する予定であると承知しております。


(五)観光業における今後の道の人材確保の取組みについて
 これまで縷々答弁がございましたが、それらを踏まえ、今後、道として、地域間の連携も含め、観光バスの運転者など、観光業における人材確保にどのように取り組んでいく考えなのか、伺います。

【答弁:小田桐 経済部観光振興監】
 
観光人材の確保に向けた取組みについてでございますが、宿泊業をはじめとする観光関連産業につきましては、新規雇用や職場定着に向けたセミナーや相談会、就業を促進するインターンシップや職場見学会等の人材確保に向けた取組みを進めているところでございます。
 また、バスの人材確保に向けて、国に対し、引き続き、バス事業を支える運転手の雇用環境の整備への支援などを働きかけるとともに、北海道バス協会はもとより、北海道運輸局や市町村などと連携を密にしながら、全道各地での合同就職相談会の開催など運転手の確保などに向けた取組みを進めているところでございます。
 道といたしましては、地域間の連携による取組みは、繁忙期と閑散期の特性のマッチングなど、丁寧な調整が必要と承知しており、引き続き、宿泊事業者をはじめ、国や市町村、関係機関とも連携し、柔軟かつ幅広い視野で、観光人材の確保につながる効果的な取組みを進めてまいります。

【指摘:千葉 真裕】
 
ただいま、「柔軟かつ幅広い視野で」との答弁がございましたが、全産業に亘る人手不足の状況の中で人材を確保していくためには、絶えず、様々なアプローチについて前向きに検討し、道として、まさに、柔軟かつ幅広い視野で主体的・積極的に取り組んでいただくことが重要であります。
 その点を改めて指摘いたしまして、私からの質問を終わります。(了)

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