ケロウナカフェ日記
こっちに来てからカフェで勉強する機会がふえた。海外のカフェ巡りをしてみたかったのも確かだが、カナダのお洒落なカフェの方が明らかに入店のハードルが低いのが大きな追い風となった。モデルかと思うような若い女性からなんでも知ってそうなおじいさん、飲み屋で生まれ育ったようなおっさんまでカフェには色々な人がいる。本当に誰でも入れる。
さて、ケロウナと聞いてなにを思い浮かべるだろうか。なにも思い浮かばないことだろう。何も恥じることはない。なにか思い浮かんだ方が異常である。そこで少しばかりケロウナのカフェについて紹介しようと思う。「ケロウナ入門 I 」である。シラバスで「前提知識を必要しない」としておきながらいざ授業が始まってみたら「そんなことも知らないのか」といった空気を醸し出す教授もいるが、そんなことはしない。ただただお気に入りのカフェを記していくだけなので、前提知識など不要も不要である。
1.Pulp Fiction Cafe
ケロウナダウンタウンで最も雰囲気の良いカフェだと自信を持って言える。「パルプ・フィクション」という洋画をご存じだろうか。いわゆる名作である。が、僕にはまだ早かった。面白いとかつまらないとかではない、ただただまだ早かった。気になった方は見てみてほしい。ちなみにこのカフェは映画をモチーフにしたという訳ではないらしい。
"Pulp Fiction"とはもともと「安っぽい小説」であり、オーナーが世界各国で見つけた安い雑誌や骨董品を古物商のように展示しているため、「パルプフィクションカフェ」と名付けられている。ここで渋めの顔をしつつブラックコーヒー(は飲めないのでモカ)を飲むと自分がさも洋画のキャラクターになったかのような気分を味わえる。要は京都の映画村のような場所だ。
唯一欠点を上げるとすれば机が狭い。長時間の勉強には向かないがそれがまたいいのだろう。洋画の主人公は往々にして荷物が少ない。
2.Third Space Cafe
ダウンタウンから少々離れて位置するサードスペースカフェ。「サードスペース」とは家でも職場でもない第三のくつろげる居場所という意味らしい。ちなみにこのカフェはオフィスビルの1階にある。だいぶ職場寄りじゃん、などというのは無粋な疑問なのだろう。
このカフェはとにかく開放感がある。高い天井、広い机、ガラス張りの壁。特に机はとんでもなく広い。トランプの七並べをしても余るほどのスペースを一人で使える。窮屈さの欠片もない店内にはサラリーマンが多く見受けられる。こちらのサラリーマンはさほどかっちりとしたスーツを着ない。そんな文化的な違いも見つけられる。
3.Bliss Bakery
名前からパン屋なんじゃないかと敬遠してたが行ってみたらゴリゴリのカフェだった店。写真のように、ガラス張りの窓に向かってカウンターがあるのが推しポイント。他のカフェにも似たような構造を持つ店舗はあるが、ダウンタウン中心部の交差点にあるこの店から見る景色が最も楽しめる。冬でも半袖のおっさん、オオカミかと思うくらい大きな犬を手懐けているおばさん、顔面の至るところにピアスのあるギャルなど、様々な人を見ることができる。「海外に来たなぁ」と実感できるカウンター。
ちなみに先日訪れた際には「若者が外にいるホームレスにパンとコーヒーを奢る」という小説の始まりのような場面を目撃できた。この店の欠点は1時間毎にWi-Fiをつなぎ直す必要があること。あとはトイレの鍵に何故か泡立て機のストラップ、というか本物の泡立て器がついていること。でかいねん。
番外編
他にもたくさんいいカフェはあるが、入門 I のテスト範囲はここまでである。もし難関大学を受験したいのであればBean Sceneというカフェも覚えておくといい。たまにセンター試験にも出る。「あれ、大学の授業の設定じゃなかったの?」「そもそもいま共通テストじゃない?」と思った方、鋭いのは鋭いが黙ってててほしい。鋭さは時に人を傷つける。
さて、Bean Sceneはチェーン店でありながら店舗ごとに店の構造は大きく異なり、店長の好みが感じられる。また、カップの色も形容できないがかなり可愛い。この色は日本語でなんて言うんだ。教えて詳しい人。
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