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建築新人戦オフィシャルブック, 2010

『建築新人』001
『建築新人戦オフィシャルブック』 2010


冒頭タイトルにある書影は、「建築新人001」です。「建築新人戦」の第1回を記念するオフィシャルブックの一部として、2010年に発行されました。

「建築新人戦」は、関西圏を中心に行われている、建築系学科の学部生が参加資格をもつデザインコンペです。建築学生が主体となって企画、運営を行っているそうです。2009年に第1回開催なので、今年で12回目となるのでしょうか。

2021年版は、応募登録が6月1日に開始し、決勝、展覧会は9月に行われるようです。


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さて、冒頭の、「建築新人001」(2010)に話を戻すと、この本、コンペのオフィシャルブックとして2009年の第1回建築新人戦の受賞作品を紹介する一方、反対側の表紙からよむと、雑誌「建築新人」となります。

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こちらの「建築新人」、編集後記で槻橋修先生が書かれているとおり、「人」にフォーカスした誌面づくりとなっています。その目的として「建築の新しい多様性の中で、いきいきと活躍している「人」を紹介していきたい。」とあります。

雑誌「建築新人」で紹介されているのは、平成時代の若い世代の建築家です。現在まで活躍をつづける建築家たちが国内で精力的に活動する等身大の作り手として紹介されています。それぞれの皆様が個性的でありつつ、爽やかですね。学生たちは、「建築新人」の誌面を通して、職業人としての方向性やロールモデル、理想的なありかたを見出していったのだろうな、と思います。

一方、昭和の「建築家」像には、いわゆるモダニズムの流れにおけるスターアーキテクトというべきか、どこか怪物的で、特別・特殊な存在というイメージがつきまといます(私見です)。昭和から平成への建築家像の変化を感じさせられます。

それでは一体、2020年代の建築家像というのはどんなふうになるのでしょうね。そのうち、昭和のコテコテと平成の爽やかさをハイブリッドさせた令和タイプの建築家、みたいなひとも、登場するのかなあ、それとも想像の彼方の建築家みたいな人種も登場するのかしら、と勝手に想像してます。

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ちなみに、この記念すべき第1巻がわたしの手元にあるのは、本文中の英訳の仕事をさせていただいた関係です。ありがとうございます。

先日、書架を整理していたら出てきて、なつかしいなあ、とページを繰っていたら、中からチラシがポロリと落ちてきました。

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すると、小学校からダッシュで帰ってきた子供がめざとくみつけ、「古っ、、!」とつぶやき、冷蔵庫のカルピスめざして去っていきました。

自分の生年より前の出来事であれば、「古い〜」と感じるのは世の常。モダニズムやコンテンポラリー概念にまつわる永遠の問題系ですね。2010年なんて中年まっさかりの母にとっては、昨日のことみたいですけど。若いひとたちにいつも学ばせられます。

かつての建築新人たちも、きっともう、アラサー。建築的社会の中堅どころとして、きっといまごろ、建築最前線でご活躍中のことと想像しております。ひとは等分に歳をとるのだ。。

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