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11回の五段落ち。70冊戦術本を読みこんだ男の「六段坂の登り方」はとてもシンプルだった

いったいどこまで続くんだこの坂は・・・

鳳凰卓につながる唯一の道、通称『六段坂』。幾多もの力自慢の猛者達がここで倒れていった。

自分が六段坂にはじめて挑戦をしたのは今から5年前の2015年のこと。それ以来これまでに14回挑戦している。

挑戦する度に思う。二度と六段坂を登りたくないと。

六段坂挑戦歴

①ちあ(2015/5/9~5/17)最高1490pt 五段降段
②ちあ(2015/8/9~9/13)最高1300pt 五段降段→引退
③ちあトリア(2016/4/6~4/27)七段昇段
④ちあトリア(2016/5/15~11/5)最高1575pt 五段降段
⑤ちありす(2016/11/2~12/17)最高1380pt 五段降段
⑥ちあトリア(2017/1/29~8/6)最高1200pt 五段降段→引退
⑦ちありす(2017/7/26~11/16)最高2270pt 五段降段
⑧ちありく(2018/2/20~4/28)最高1510pt 五段降段
⑨ちありく(2018/5/16~2019/3/7)最高2130pt 五段降段
⑩ちありっつ(2019/8/1~9/12)七段昇段 ※八段昇段二回
⑪ちありっつ(2020/4/20~5/29)最高1320pt 五段降段
⑫ちありく(2020/5/13~8/16)最高1290pt 五段降段
⑬ちありっつ(2020/6/9~10/7)最高1290pt 五段降段
⑭ちありく(2020/9/24~11/7)七段昇段 ※現八段

七段昇段3回に対し、五段降段は11回。一度八段を経験した後も、その後3度挑戦した六段坂は原点からほとんどポイントを増やせないまま五段に落ちている。3回とも今年のことだ。おそらく本来の実力は六段を維持するにはやや足りないくらいなのだと思う。

なにが言いたいかというと…。一度や二度失敗したくらいで六段坂きついとか言ってんじゃないよ!こっちは11回失敗しとるんじゃ!(←弱いだけ)諦めるな!自分で限界を作るな!!考えるヒマがあったら予約押せ!!!

すみません。取り乱しました。

上振れと下振れ・見かけの段位

麻雀というゲームの特性上、短期の成績では上振れ(好調期)と下振れ(不調期)が出てくる。よく確変とか地獄モードとか言われているものだ。これは天鳳で独自に用意された設定ではなく、リアル麻雀でも存在するものだと思うが、ネット麻雀は短期間に集中して打つことが多いため、感じやすいものなのだと思う。

以前どなたかがシミュレートしていたのだが、九段以下で東南戦の場合、自分の実力から±2段程度変動する可能性があるらしい。自分の実力が六段付近だとしたら八段に上がる可能性もあるし、四段に落ちる可能性もあるということだ。

自分の感覚的に五~六段をループしている人と、七~八段瞬間タッチの人はそれほど雀力に変わりはないと思っている。もっというと勉強熱心な三~四段の人ともそれほど変わらない気がする。もし変わるものがあるとすれば、昇段に対する執念(打数とか)と天鳳というラスペナゲームへの適応力だろうか。

特上卓の仕組み

特上卓は基本的には四段~六段でR1800以上の人が打つ場所である。たまに七段以上もまぎれているが。

特上卓東南戦(特南)のポイント配分は以下のとおり。

四段 1着75-2着30-3着0-4着▲90
五段 1着75-2着30-3着0-4着▲105
六段 1着75-2着30-3着0-4着▲120

四段ではトップを狙ったほうがよいし、五段もラス回避をメインで考えるよりはトップ狙いのほうがよいと思う。なぜトップ狙いがよいかというと、上振れを引いたときのポイントの伸び方が大きいからである。上振れを引いたときにラスを怖がりすぎて、取れるはずのトップを逃していくのはもったいない。

問題は六段だ。

六段坂とは

六段に昇段すると、1,200ポイント持った状態からスタートする。ここが原点。そこから1,200ポイントを積み上げて、2,400ポイントに到達すると晴れて七段昇段である。15p増えるラスペナの重みと1,200ポイントという距離の長さが、絶妙に六段坂のハードルを上げている。また、四段・五段はポイント配分的に押しやすいのに比べて、六段は不利な選択を迫られることが多い点もあるだろう。

自分も幾度となく経験したのだが、昇段間近の2,000ポイント台になってから鉛が巻き付いたかのように足が重たくなることが多い。それはなぜか。上振れが終わることが多いからである。五段から昇段してきた場合は五段で上振れの大半を使っているし、六段の原点下から巻き返す場合も戻すのに上振れの大半を使っている。

六段原点あたりから上振れを引くと、意外とすんなり七段にいけてしまうこともあるが、それはかなりラッキーなパターンだ。

上振れ上振れ言いすぎて、麻雀って運ゲーじゃね?って思われるかもしれない。確かにその側面は強いが、上振れの時に最大限ポイントを伸ばし、下振れの時にポイントの損失を最小限にする。普通のときに勝ったり負けたりしながらちょっとだけポイントを伸ばす。それが実力である。

強い人は下振れの時でもわずかな活路を見出だして勝つこともあるけど、それは上級者編のおはなし。

どう知識をつけるか

①戦術本
自分はありとあらゆる麻雀戦術系の本を6年間で70冊読んだ。でもその割に強くなった感覚が薄い。それはなぜか。

学校の勉強で例えると、とっかえひっかえ違う教科書や参考書を見て、流し読みをしているようなものだ。それは強くならないわ。

戦術本にもいろいろタイプがある。
①教科書
②参考書
③問題集
④辞書

自分の課題を把握して、レベルと目的に沿った麻雀戦術本を見つけることが大切である。理論派と感覚派どちらかによっても最適なものは異なるから、書店で眺めて自分の麻雀に活かせそうと思うものだけ手にとればよい。

戦術本の注意点はページ数の都合上、著者の書きたいことがすべて書かれているとは限らないことだ。麻雀は文章に落とすには複雑なことが多すぎる。

そして戦術本を読むことは必須ではない。読むとしても①②③④1冊ずつあれば十分なくらい。他にも実力をつける方法はたくさんある。

②強い人の牌譜を見る
これは自分が一番最初に六段坂を登ったときにやったこと。

気になる天鳳プレイヤーの鳳凰卓の牌譜を何度も繰り返し見る。特に序盤の手の組み方や押し引きでセオリー化できそうな部分をインプットする。

お手本にするプレイヤーでおすすめなのは、スタンダードな麻雀で最高九段の人。スタンダードな打ち方で九段までいく人は手組と押し引きの精度が非常に高い。

スタンダードとはどういう麻雀か。自分がみていて「真似できそう!」と思うものである。シンプルイズベスト。まあやってみると意外と難しいんだけど。

戦術本と違うのは第1打から手順を追えることだ。これは大きなメリット。デメリットとしてはその人がミスをしたり、トリッキーなことをしても説明がないので合っているのか間違っているのかわからないという点である。

打ち手が画面の向こうでどういう状況で麻雀を打ってるかわからない。いきなり眠気が襲ってきたとか、宅急便がきたとか、嫁に怒られたとか、子どもがいたずらして押したとか、いろいろあるから、何か変だなと思ったらそこは無視。全部実体験ね。

毎回同じような選択をしていたら、それがその人のセオリーなんだと思えばよい。

③強い人のブログやnoteをみる
これも戦術本に近いものがあるが、書いている人が天鳳や雀魂など牌譜が記録されるものをやっていた場合、その補完材料となるので効果的だ。

また、戦術本ではなかなか取り扱えないマイナーな戦術が取り上げられていることも多く、引き出しを増やすために自分は使っている。最近はプロアマ問わず素敵な麻雀ブログやnoteを書いている方がたくさんいる。

しかし、特上卓で戦うために細かい引き出しはそれほど必要ではないので、自分の課題解決につながりそうな記事だけ読むことをおすすめする。

④友人と牌譜検討会をする
自分の思考を言語化すること。自分の中のなんとなくが排除され、セオリーを形づくる第一歩だ。それが気軽に出来るのが友人との牌譜検討会。

友人と牌譜検討をすることの最大のメリットは自分の麻雀をよく知ってくれている人が、自分の麻雀の課題解決に時間を使ってくれるという点だ。逆もまたしかり。

バランスが崩れているときに指摘されて、ハッとすることもある。

自分は相手のレベルや課題、テーマがわからないと最適なアドバイスは難しいと思っている。何がやりたいのか、どこで躓いているのか。それを知ったうえで言わないと逆効果になる可能性もある。だからこそ普段自分の麻雀をみてくれている人とのやり取りは大きいと思っている。

可能であれば強い人(天鳳であれば最高九段とか)が1人入っているとなおよい。

⑤レッスン
実力が不十分のとき実力をつけるのに手っ取り早いのは、上級者に時間をかけて教えてもらうレッスンだ。わからないことがあった時にその場ですぐに聞けるのは大きい。

時間的、経済的、場所的に直接指導を受けるのが難しい人も多いと思うが、可能であれば受けてみてもらいたい。

レッスン講師の方は、いろいろな方を見てきているので、受講者のレベルや課題の把握が速い。きっとその人に合わせた教え方をしてくれると思う。

自分もレッスンでの気づきはかなり大きかった。

自分の力にするためにはとにかく打って試すこと

とある強い人がこっちのほうが正しい!と言っても自分はすぐに鵜呑みにはしない。疑っているとかではなくて、自分の中で消化して、正しいと思えるまでは自分の力にならないからだ。

だから打ち続ける。うまくいかなかったら調整する。その繰り返しである。

特上卓で勝つために必要なシンプル思考3点

ここで書くのは特上卓東南戦(特南)で使える考え方である。特上卓東風戦(特東)や鳳凰卓、上級卓、一般卓はまた違ったバランスが必要になる。

自分は東風のほうが好きなのだが、混ぜるな危険である。

①牌理:相手より少し速く「アガれるテンパイ」を作る

勝つために一番重要なのは相手より少し速く「アガれるテンパイ」を作ることだ。特上卓はまだ牌理が発展途上の人も多く、鳳凰卓と比べると平均テンパイ速度は遅い。牌理が強ければパワープレイで押しきれる。

牌理は難しい!と思うかもしれない。実は自分もかなり苦手だ。昔から形に弱く、打牌検討でだいたいどこかしらは指摘される。特上卓の平均レベルに達しているかも怪しい。その分、強引な打点作りや狂気の押しでカバーしているのだが、それはまた違う記事で書きたい。

相手より少し速く「アガれるテンパイ」を作る意識を持って、手損少なく手を進めるためにどうしたらよいか。自分が主に意識しているのは下記である。

・配牌の構想(ドラ枚数/役牌トイツ有無/手役or速度/メンゼンor鳴き)
・イーシャンテンの種類(余剰牌/完全/ヘッドレス/くっつき)
・連続形/複合形の価値(中ぶくれ/四連形/亜リャンメン/5~7枚形暗記)
・鳴き判断・手組
・中盤に入る前の先切り・安全牌保有判断

大切なのはベストの選択をすることではなく、ベターな選択をし続けること。ミスの頻度を少なくすること。

可能であれば打点は高いに越したことはない。メンゼンでマンガンハネマンがみえる手を序盤に鳴いて1000~2000点にするのはやりすぎだ。相手より少しだけ速ければよい。

中盤(7巡目)以降は先制であっても愚形リーチは慎重に。これは鳳凰卓や上級卓、リア麻とは違うバランス感覚が必要だ。次の押し引きの項目で書くが「不利なめくり合い」になりそうな状況をなるべく作らないことが特上卓の安定解。

そうは言っても一発・裏ありの麻雀はリーチが強い。どうしたらよいか?

リャンメンでリーチを打つ手組をすればよいのだ。

打点があれば愚形リーチでも不利とは言えないし、序盤で手替わりがほとんど期待できなければ愚形リーチしてしまってよい。先に抽選を受けにいく。あるいはすでに持ち点が少なくなっていて、その場面で相手にアガられると厳しい場合は渋々愚形リーチをすることもある。このへんは状況に合わせる必要がある。

②押し引き:先手を取られたら「無理しない」

上級卓を攻め倒して上がってきた人が苦しむ難病「押しすぎ病」。収支戦やトップの価値が高いルールでは押し有利となる場面でも、完全順位戦かつラスペナの大きい天鳳段位戦では損になる場面も多い。特上卓では特に。

鳳凰卓では先制リーチに対して安易に中抜きすると、他のリーチ者以外がうまく回ってアガりきられたり、一人ノーテンをくらうこともあって難しいが、特上卓はリーチに対して押しすぎるか、中抜きしてきっちりオリようとする人が多い。わざわざ自分が過中の栗を拾いにいくことはないのだ。

「不利なめくり合い」をしないこと。大事。

リーチを受けて安全度の高い牌があるのに、価値の低い手で安易に先切りのまたぎ打ってない?ワンチャンス打ってない?スジ打ってない?相手の切り順を過信して決め打ってない?

安全牌がないときのオリ方も知っているか知っていないかでは大違いだから、覚えておいたほうがよいと思う。

特上卓ではリーチには対応しても、他家の鳴きに対して無頓着な人は多い。本当は相手の打点や読みも入れてテンパイ確率考えたうえでの押し引きになるけど、特上卓では見えている情報だけ拾ってざっくり対応するくらいでちょうどよいと思う。

ものすごくエコに考えるのであれば、ドラポンは1副露、それ以外は2副露はリーチと同等に扱うとか。雑すぎるけど。意識しないよりはマシである。

③セオリー:複雑な思考は不要「考えすぎない」

麻雀の知識がある程度ついてくると余計なことまで考えてしまう。それによって本来できるはずの手組や押し引きがおそろかになることがある。鳳凰卓ではそれが余計なことではなく大切な気づきだったりすることもあるのだが、特上卓ではそこまで深く考える必要がない。たとえば「読み」である。

「読み」は基礎能力でなかなか差がつかない上級者同士で戦うときに+αとして使うことが多い。「読み」は相手がしっかり手損なく打っていることが大前提であるからだ。そのうえでさらに例外がたくさんある。

少なくても特上卓で活かせる読みは少ない。それよりも基礎の牌理と押し引きを徹底し、あとは見えている情報だけでざっくりと「読む」くらいがちょうどよいと思う。

「読む」というよりたくさん「気づく」こと。強い人はほぼこの能力が備わっている。

上家ホンイツやってそうだなーとか。捨牌変則だからチートイ系かなーとか。普通の捨牌のリーチで5がポツンと出てるから、14と69待ちは警戒しよーとか。鳴いてマンピンソーの真ん中全部出てきてるからテンパイかなーとか。

目先のポイントを追いすぎるな。KPIを設定せよ

自分は100戦を1セットで考えている。100戦でラス率20%以下がひとまずの目標。最初の100戦でクリアできれなければ、次の100戦(101~200戦)でラス率20%以下になることを目指す。

20戦でラス8回(ラス率40%)とかだとやめたくなるけど、まずは100戦打ってみてほしい。100戦でダメなら次の100戦。それでダメなら次の100戦。

ラスを引いたからって悲観しないこと。3連ラスなんてザラにあるし、かなり強い人だって5連ラス以上引いてることもある。諦めなければいつかきっと六段坂を登れるはず。

↑ずっとラス率20%切れなかった人

おしまい

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