1/6 Mリーグ1戦目観戦記【瑞原さん視点】☆2勝目☆
Mリーグ2020レギュラーシーズン、U-NEXTパイレーツは苦戦を強いられ、一時マイナス300ポイントがみえるところまで沈んだが、前戦の小林剛選手の大トップで何とか踏みとどまった。
シーズン折り返しを過ぎ、そろそろ予選突破に向けてギアを上げていきたいところだ。
この日の初戦は、瑞原明奈選手が登板。トップまであと一歩のところまでいきながら、惜しくも2着という展開が多い今期の瑞原選手。
ここはチームの期待に応え、トップを持ち帰りたい。
対戦メンバーはこの4選手。
東1局、瑞原選手が58m1pの変則3メンチャンで先制リーチ。
今期の瑞原選手はかなりリーチ回数が多い。前日までのリーチ率ランキングは29.46%で29人中2位。無理に打点を狙いすぎず、中盤に打点効率のよい好形リーチを目指していくスタイルである。
しかし、リーチ成功率は36.84%で23位。決して勝算の薄いリーチを連発しているわけではなく、好形やよい愚形待ちで勝負しているにも関わらず、なかなか結果に結びつかない。もどかしい展開が続いている。
チームメイトの小林剛選手や石橋伸洋選手のイメージが強いのか、「パイレーツはよく鳴く」という印象を持たれているかもしれないが、瑞原選手は実はあまり鳴かない。中盤勝負型のリーチファイターだ。
すでに58m待ちのヤミテンを入れていた勝又選手から追っかけリーチが入る。5678m待ちに変化したが、67mは山にはない。58m待ち対58m1p待ちで瑞原選手が1p分だけ有利だ。
よくみるとドラ3が内蔵されている。
「やばい・・・」
瑞原選手は今期めくり合いにことごとく勝てない。嫌な予感がする。
最後の5mを勝又選手がツモりあげ、リーチツモタンヤオドラ4赤。裏ドラも乗ったが、乗らなくても倍満という超大物手である。4000、8000。
まためくり合い勝てなかったか…と思ったが、同じ待ちではなく、振り込んでいたらと思うとゾッとする。
東2局、瑞原選手の親番。かなり手牌がよい。
ツモがどんどん伸び、高め三色の親マン確定リーチ!3mをツモればその瞬間に6000オール、裏が乗れば8000オールまである!
「頼む!ツモらせてくれ!!3mを!!」(強欲)
瀬戸熊選手がチートイツで追いつき、ドラの2s単騎で追っかけリーチ。
ドラの2sは実際には山にはなかったが、瑞原選手はこの時、何を思っていたのだろう。
残りツモ10枚+王牌14枚の中に36mが5枚残っている状況。さすがに流局はしてほしくないと願っていた。
残り3巡まできて6mツモ!
「やったー!」
裏は乗らなかったが、4000オール。勝又選手を追いかける。
ドラ赤含みでまた先手が取れそうな手牌。發を鳴くかどうか。
發のトイツがすでにあるため、字牌を残して4sと受けがかぶっている1s切り。發を鳴いた瞬間に守備力が紙になるので、もう1枚字牌を重ねる価値が高い。かつ、1sは持っていたとしても、2sや3sを引いたとしてもサヨナラしそうだ。
これだけ整っていれば、字牌を切ってもさほど問題ないとは思うが、なんとなく字牌に手をかけないことが重要。
ちなみに西と白は役牌になる白のほうが優先度が高い。白が重なったらダブルバックになり、アガリやすさと守備力両方を兼ね備えることができる。
1mを引いて。西切り。1sと違うのは、2m3mを引いたときにターツになること。すでに5ブロック候補はあるが、瀬戸熊選手と和久津選手が第1打1mを打ったのをみて、優秀な愚形ターツになる可能性を瞬間的に残したか。直後にリーチを受ける可能性もなくはないので安全度でも優秀。
3sを引き、ソーズで3ブロック作る構想も出てきたため、1mはお役御免。一巡一巡で優先度が変わっていく。
6mを引き、白をリリース。ここから發を鳴くと、雀頭をどこに求めるか難しいし、メンゼンでもテンパイできそうなので、かなり發は鳴かない寄り。
發を雀頭にして、6m5p4sの優秀なくっつき牌からリャンメンを作りたいところ。
また状況が変わる。7sが重なり、發をポンして7sを雀頭にできる。
すでにリードを奪っており、5800の加点もこの後有利に運びそうなので、こうなると發鳴き寄り。
發が出る前にテンパイ。リーチ!36p待ち。
「6p6p6p!」
いたー!!高め6pツモ!しかもウラウラ!
リーチツモイーペーコー赤ドラドラウラウラで8000は8100オール!!!
今までよいリーチをたくさん打ってきたけど、めくり合いに負けたり、かわされたり、流局したり・・・。
それでも瑞原選手はリーチすることをやめなかった。少しだけ報われた瞬間である。
さらに加点を目指したいところ、赤1あるし、ストレートに手を進める。
カン3p待ちでリーチ!待ちは苦しいが、ツモると4000オール、出アガリ7700。点数状況的に抑えつける効果がかなりあり、最悪1人テンパイ3000点収入でも悪くない。
この点数でリードしたと思ってはいないだろうが、リーチ後のこの瞬間だけは少し余裕があったようにみえる。
流局。1人テンパイ。
6ブロック。カン7pとペン7mどちらも拾えるようにしておく。
中をアンコにして形を決めた。全員に対して情報のない2m切り。
3sが重なった後、4mをポン!中をアンコで持っていることで守備力は担保できているので、割とラフに鳴いても問題ない状況。
發が場に出ていないため、發を持っていない人からみるとこのポン仕掛けは打点が読めず、かなり怖いはずである。捨牌の切り出しもいかにも役牌を持っていそうだ。
こうやって瑞原選手は場を支配しにいった。
瑞原選手の思惑通り、瀬戸熊選手は孤立の發を切りきれずに回ったが、最後のツモで發を重ねてテンパイ。7m發待ち。
瑞原選手もテンパイを目指したが、テンパイできず。
よくみると、テンパイをしていたら、7mで瀬戸熊選手にホウテイロンだったかもしれない。危ない・・・。
いつだって、麻雀は危険と隣り合わせだ。
瀬戸熊選手の1人テンパイ。瑞原選手は親が落ちたが、1000点失点での親落ちは悪くないか。
親の勝又選手がダブリーチャンス!
「まじか!」
1sじゃなくて、2s引きでリーチならけっこうな事件だった。
瑞原選手もかなりいい。リャンメン2つの2シャンテン。ぶつかりそうだ。
思いのほか時間がかかっている勝又選手はようやくテンパイ。2p待ち仮テン。
ドラの6pを引き、69p待ちノベタンでリーチ!
いつもならやめてー!って思うけど、まだ、点棒的に心の余裕がある。
瀬戸熊選手も追いついた。4pを切ればピンフドラドラの36s待ちだが、4pが切りきれないと判断し、45sのシャンポン待ちでヤミテン。
現物の4sを切って36s待ちでリーチ。その後4pをツモりアンカン。
軍配は勝又選手にあがる。リーチドラドラ、7700は8900のアガリ。
瑞原選手またまた手牌よさげ!不要牌は丁寧に比較し、切り順を考える。9sは勝又選手に100%通るプレミア牌なので大切に。
12pの並びシャンポンをスマートに処理し、3pを引きメンツ化。
1p2pのトイツ2組を残したまま、なんとなく9sや北を切らないことが大事。北もこの時点で勝又選手の現物になっている。リードがあるため、多少スリムに受けつつ、攻めきれると判断したときだけ前に出る格好。
手牌が育ってきた。9sは全員の現物になったため、北切り。ここまでくれば戦いの舞台に上がれそうだ。
ミズハラアイ。
ドラの7sを引き、やってやんよ!の9s切り。かなり強気の選択にみえた。
4sを引き、打点よりも仕上げやすさを優先する。
勝又選手からリーチ!發と中のシャンポン待ち。
やばい。またリーチがきた・・・。
瀬戸熊選手もピンフドラドラでテンパイをして、流局2人テンパイ。
6本場。
ここで1mを切って雀頭を崩す。下家の勝又選手がソーズ模様にみえる仕掛けで、36s白絶対切らないからね!の1m切り。
ここは絞ることがかなり有効な局面である。
勝又選手はソーズになったらいいけど、最悪25pが入ったら素直にという手組だった。ここで8s切り。
アガリやすさならば、ペン7sを残さないほうがよさそうだが、ドラの9sを切ってしまうと、9sが切れずに回っていた人を助けてしまうかもしれない。また、自身で9sを重ねると一気に打点上昇もある。相手を縛りつつ、テンパイに向かう。
6s引いて、ペン7s待ちでテンパイ。
瑞原選手はカン7s待ちでテンパイにもとれたが、勝又選手の最終手出し3sはほぼ関連牌で1sは危険牌。ホンイツに当たるとよくて5800、12000の可能性も十分にある。
白を押してきた和久津選手も強烈で、ここは危険を冒さずに白を合わせる。
勝又選手がツモアガリ、1300は1900オール。6本場大きい。
なんと、和久津選手と瀬戸熊選手がマイナス域に。和久津選手にいたっては無放銃で東3局、25000点以上削られている。これはきつい。
瑞原選手と勝又選手のマッチレースとなった。
7本場、瑞原選手の手はけっこう苦しい。後手を踏みそうなので、うまくいったときだけアガれるようにスリムに構える。価値のない手で安全牌0という状況をなるべく作らないようにしたいところ。
勝又選手にすでに仕掛けが入っていて、捨牌が濃くテンパイしている可能性があると判断し、和久津選手の5mに合わせる形で5mを切ると勝又選手がチー。親の手を進める結果となってしまった。ここは瑞原選手も反省点にあげていた。
和久津選手、147p待ちメンホン發テンパイ、ヤミテン。これはエグい。
勝又選手に対して、放銃できないため1p切り。
和久津選手に痛恨の放銃。この瞬間1pでの放銃を避けることは難しかったと思うが、それ以前の選択で反省があった。
東4局は重たい一局となり、チートイツのイーシャンテンだった瑞原選手もテンパイできず。
勝又選手もテンパイできず。
全員ノーテンで瀬戸熊選手の親が流れる。瀬戸熊選手もきつい。
南1局、瑞原選手はカン7pでテンパイ。赤5m切り。
終盤でヤミテンが入っているケースもあるが、瞬時のアガリやテンパイ料、相手のテンパイ気配を感じとりながら選択をしていく。
14m待ちでヤミテンに構えていた瀬戸熊選手が1mをツモアガリ、2000、4000は2100、4100。
親番を迎えた瑞原選手。ここで加点をして勝又選手を引き離したいところ。
かなり手牌が整っているので、一番鳴かれたくない牌である「ダブ南」から切る。
ツモが伸びる!勝負手だ。目一杯に構える。
6sを引き、完全イーシャンテン!
「いける!」
2枚切れの中も放ち、勝負態勢。3s先切って中を残すか、完全形のままいくかは永遠の論争になっているけど、親番で勝負手だし、わずかな受け入れのロスも捨てたくない…。
子だったら、3sを先切りしていたかもしれない。
残していた3sが重なり、リーチ!!!47m待ち!
7mを引き、裏は乗らなかったが4000オール!!!美しい!
勝又選手も追いすがる。14m待ちでリーチ!
和久津選手も気合いの3副露で47m待ちテンパイ。
和久津選手から1mが放たれ、8000は8300のアガリ。
デッドヒートだ。
親の勝又選手。めちゃくちゃいい。
瑞原選手、イーペーコー形があるが、4p引きでチートイツ1シャンテン。ここまでくるとチートイツのほうが速そうだ。
山にいそうな牌、待ち牌の優秀さ、残す牌の安全度を総合的に判断し、選択を繰り返す。チートイはセンスが必要だ。
ミズハラAI解析中。
和久津選手のリーチを受け、ここは撤退。
「和久津選手お願いします!」
勝又選手は決めてやんよ!と腹を括り、4mプッシュ!かなり情熱が入った一打。
この4mが和久津選手につかまり、勝又選手は痛恨の放銃となった。
おそらく勝又選手はトップとれたらほしいけど、最悪2着にはなれるだろうという点で、強気な選択をしたのだと思う。今年の風林火山の3選手は勝負所でしっかり攻めている印象で本当に手ごわい。
瑞原選手、何を思う。
オーラス。条件計算をしっかり行う。トップをとるためには、勝又選手にハネマンをツモられるとダメ。マンガン直撃されてもダメ。和久津選手にハネマンまでなら放銃OK、瀬戸熊選手に放銃すると連荘かつ放銃素点分勝又選手に近づくためできれば放銃をしたくないところ。
和久津選手が中を鳴き、ソーズのホンイツに向かう。
ペンカン7sでテンパイ。
これで4769s待ちに広がる。
和久津選手はおそらくテンパイ。和久津選手にハネマン放銃までなら待望のトップだ。実際にソーズのホンイツにまでなっているかはわからないが、可能性は高いと仮定して、バイマンはありえるのか?慎重に考える。
瀬戸熊選手の連荘は面倒だし、勝又選手にハネツモの手を仕上げられて2着落ちは悲しい。
苦しい・・・。和久津選手に当たってもよい牌を切ろう。決意を固めた。
最終手出し8sをみて、9s切り。
和久津選手が瑞原選手から8000点をアガリ、ゲームが終わった。
ありがとうございました。
「しゃああああああああ」
瑞原選手待望の2勝目。今シーズンは本当にトップが遠くて遠くて、トップ取れそうで取れなくて、悔しい日々を過ごして、それでも諦めずに打ち続けて・・・。
本当にいい日になったと思う。
瑞原選手はこれで2勝目。1勝目はあのDAISUKI卓でのもので、DAISUKIを言うことに精一杯で、敬礼をするのを忘れてしまった。これが今シーズン初めてのトップ敬礼。ビシッ!
瑞原選手トップおめでとうございます!
瑞原さんにはいつもパワーもらってる。麻雀をよく観るようになったのは瑞原さんの影響だ。いつか瑞原さんと対等な目線で麻雀を語れるように自分は勉強を続けたいと思う。
これからも応援しています!
おしまい
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