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瑞原選手のMリーグ2021シーズン最終日【祝・MVP獲得】

3シーズン目を迎えたU-NEXT Pirates(以下、パイレーツ)の瑞原明奈選手。レギュラーシーズン残り1節で+427.9ポイントで堂々の首位。

しかし、それを猛追するKADOKAWAサクラナイツ(以下、サクラナイツ)の沢崎誠選手との差はわずか12.7ポイント。シーズン最終日に瑞原選手の登板はあるのか?沢崎選手の登板は?注目が集まっていた。

最終日前日の22:50、サクラナイツのTwitterで異例の予告先発が発表される。

どう思われただろうか。Twitterで否定的な意見もみられたが、個人的にはとてもよいものだと思った。

そもそもMリーグというフィールドは、ライト層にも認知されはじめた初めての「プロスポーツ麻雀コンテンツ」だと思っている。Mリーグという場があるのは当たり前ではない。少しでも世間の注目度を上げるためにリスクを承知で事前告知に踏み切った。森井監督の才覚ではないだろうか。

この発表によってパイレーツの起用が難しくなったのは確かだが、沢崎選手がなりふり構わずMVPを狙うのであれば、予告先発をせずに初戦に沢崎選手を立てて、結果如何で2戦目の起用を行うことができたはずである。

それをしなかったのは、正々堂々MVP争いをしたいという沢崎選手の意向があったようにも思う。

一方のパイレーツ。瑞原選手を起用しないほうがMVP確率が上がるのかどうなのか。Twitter上でもいろいろな意見がみられたし、チーム内でもたくさん議論がなされたと思う。でも、ここまできたら10%20%の確率差は簡単に覆ってしまうものだと思うし、瑞原選手が後悔しない選択をとってくれたらなと思っていた。

自分は前日の夜に友人とのグループDMで下記のように発言した。瑞原選手は最終戦に志願して出場するのではないかと思っていた。

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「出ずに沢崎さんに取られたら後悔をする」
この点については、試合翌日のミズハラちゃんねる(Youtube)で瑞原選手自身が否定していた。なぜならチームメイトを信頼しているからとのこと。素敵や。

そして、運命のレギュラーシーズン最終日。

このツイートをみたときに「瑞原さんらしいな」って思った。瑞原選手の志願、木下監督の決断ともに簡単ではなかったと思う。

おそらくこの3シーズンでの瑞原選手の唯一のワガママだったのではないだろうか。(家庭事情は除いて)

こうなったら全力で応援するのみ!

1回戦は船長・小林剛選手が登板。

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見事なトップで、チーム状況をかなり楽にしてもらえた。

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パイレーツが首位浮上。6位まで大混戦の状況でもう少しポイントが迫っていたら、瑞原選手も沢崎選手との着順勝負だけではなく、チーム状況を考えた選択を迫られる可能性があったため、非常に大きなトップだった。

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試合前の控室が映る。

わろてるやん。

プロとしての大先輩であり、数々のタイトルを獲得している大ベテラン沢崎選手と、個人タイトルをかけて真っ向勝負ができることを楽しみにしているようにも思える。

緊張してガチガチになっていたら・・・と思ったけど、その心配は杞憂に終わった。

自分が麻雀を楽しみたいから強くなる

瑞原選手が自身の著書で語っていたことだ。その一つの形が実りを結んだように思う。

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試合開始。真っ向勝負じゃ。

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東1局、親の萩原選手から追っかけリーチを打たれるも、メンタンピンツモドラ1で2000.4000のアガリ。大きい。

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続く東2局も佐々木寿人選手のリーチをピンフのみ1000点でかわしていく。いい展開。

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続く東3局親番は白ドラ3で4000オール。選択がありながらも見事にアガリに結び付けた。

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持ち点は48,000点。沢崎選手とは29,000点差がついた。これはいけるかもと思ったが、相手は「マムシ」と異名をとるほどの選手。

沢崎選手の猛追で記憶から離れないものがある。瑞原選手のMリーグ初年度の出来事だ。

2019年10月25日

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瑞原選手はオーラストップ目だった。2着の滝沢選手とは僅差だが、少なくても連対は取れそうだ。

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最終的にトップを取ったのはラス親で怒涛の連荘を続けた沢崎選手だった。瑞原選手はオーラストップ目からよもやの3着落ち。

自分はその時ものすごく衝撃を受け、思わず人生初のnoteを書いた。

百戦錬磨の沢崎選手はあの手この手で相手を追い詰めていく。一瞬たりとも気が抜けないのだ。東場のこのリードは全然セーフティリードではない。

実際、東4局からは厳しい展開に見舞われた。

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東4局。沢崎選手は發を仕掛けており、役役ホンイツテンパイ。

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瑞原選手は親の寿人選手の仕掛けにも挟まれ、苦しい打牌選択が続く。

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南入し、沢崎選手はドラをアンコにしてリャンメンリーチ!

「やばいやばいやばい・・・」

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これは見事にツモあがりを決められ20004000。裏ドラが乗らなかったのが救い。

やっぱ簡単には終わらせてもらえないな・・・。さながらタイトル戦の決勝をみている気持ちになった。

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続く南2局、親の沢崎選手は残り1巡までノーテンでこのまま親流れか?とも思われたが、最終巡でカン材を持ってきてリンシャン牌から最後の9pを引きギリギリでテンパイ。

沢崎選手強し・・・。

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続く1本場はカン4pで12000のテンパイ。4pは山にはないが、テンパイノーテンでどんどん迫られてくるのもきつい。

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ここは寿人選手がツモアガリでメンピンツモ赤ウラ20004000は21004100のアガリ。沢崎選手の親番が流れた。

南3局の瑞原選手の親番は寿人選手の5001000で平和に流れた。

そして運命のオーラス。

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沢崎選手との差はわずか8100点差。マンガン出アガリは届かないが、ツモられたらマクられてしまう。

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沢崎選手はなんとイッツー確定形が入る。ドラ1あり、5mが入れば条件を満たせそうだ。しかしこの時点で5mは萩原選手にアンコ。残り1枚。

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親の寿人選手がトップを確定させるべく流局で伏せるのか、さらに点棒を加点するのかはわからない状況なので、瑞原選手としても指をくわえてみているだけではダメという判断でチーして打9s。

瑞原選手、沢崎選手ともに強引にトップを狙う場面ではないため、寿人選手が流局で連荘をする可能性も十分にあった。

「お願い・・・」

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白を切って、タンヤオブクブク。

親の寿人選手が發を仕掛けてピンズのホンイツ模様だが、2p引き3p引きも逃したくない状況。怖いけど強気にいくしかない!

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親の寿人選手も12000のイーシャンテン。

「やめてやめてやめて・・・」

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沢崎選手が欲しかった残り1枚の5mがチーによって流れてここにきた。全日本結果論協会ではあるが、チーをしていなかったらと考えると本当に恐ろしい。。

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寿人選手が中を仕掛けて、カン8p待ちテンパイ。すでに發を仕掛けており、周りからみると最高48000点まである怖い仕掛け。

2フーロで確実にテンパイしている寿人選手が流局時にテンパイ宣言をするのか?伏せるのか?

瑞原選手は少しでも自身がテンパイをしているようにみせるために安全牌が足りていない状況で決死のチー!

見た目では345の三色の可能性が消えておらず、寿人選手からみて放銃トップ落ちがありえることと、ここでノーテンだと思われると連荘されて次局マンガンツモが届かなくなってしまうため、寿人選手の連荘が続き、毎回沢崎選手の攻撃に怯える可能性があった。

勇気の選択。

そして運命の時、流局を迎えた。

寿人選手は開ける?伏せる?
「どっちだー!?」

もう言葉はいらないだろう。沢崎選手の「おめでとう」に思わず涙を浮かべる瑞原選手。こんなにキレイな結末はないと思う。

直接対決で沢崎選手との着順勝負に勝ち、自力でMVPを獲得した瑞原選手。最高にカッコイイ!

このギリギリの経験を出来たことは今後の競技人生にも活きそうだし、さらに結果までついてきた。瑞原選手の勇気ある選択に勝利の女神が微笑んでくれたのかなと思う。

そして沢崎選手の紳士的な立ち振る舞いや、サクラナイツファンの方の祝福が本当に暖かくて、マジで感動した。サクラナイツは本当にいいチームなんだろうなって思った。

チームメイトの声を聞きすぎて麻雀のバランスを崩してしまった1年目。

自分なりのMリーグでの戦い方をみつけて、シーズン最終日を任されるほど監督から信頼を得たが、結果的にマイナスでシーズンを終えてしまった2年目。

そして、シーズンプラス3桁を目標に掲げ、結果を残すことために麻雀の精度をあげた3年目。

リーチ率1位、和了率1位、放銃率(少)1位。そしてシーズン成績1位。
まさに圧巻の成績だった。

ホップ、ステップ、特大ジャンプ!

カッコよすぎでしょ。

最終日の翌日、自分もイベント参加で外に出る機会があり、たくさんの方にお会いしたけど、随所で「おめでとう!」って声をかけてもらった。
それが何よりもうれしくて、瑞原選手にありがとうって言いたい。

セミファイナル、ファイナルでも活躍してもらって、チーム優勝して、それで表彰式で満面の笑みの瑞原選手を見たいなって思う。

まだ航海は続くよ。

おしまい

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