これからのバリアフリーとは?
コロナ禍で働き方が昨年(2020年)から大きく変わった企業も多いのだが、このタイミングで実は2021年4月から障碍者雇用率制度の法定雇用率が引き上げとなる。
2021年4月からは、以下のとおりである。
<画像引用>令和3年3月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります/厚生労働省
障害者雇用率の計算方法は「常時雇用する労働者数」×「障害者雇用率」で、パートなど短時間労働者は、一人あたり、0.5人としてカウント。
従業員数が3,000人、短時間労働者が250人の事業所の場合、
{3,000人+(250人×0.5)}×2.3%=71.875人
小数点は切り捨てますので、72人となります。
ちなみに、短時間労働者は、
1週間の所定労働時間が、当該事業主の事業所に雇用する通常の労働者の1週間の所定労働時間よりも短く、20時間から30時間未満である常時雇用する労働者 である。
さて、近々に迫る法定雇用率の引き上げであるが、現状について調べてみた。
(※こないだ2級キャリアコンサルティング技能士の勉強した時に見た資料より)
平成30年度の障害者雇用実態調査では、従業員5人以上の事業所に雇用されている障害者数は82万1千人(身体障害者42万3千人、知的障害者18万9千人、精神障害者20万人、発達障害者3万9千人)
この数字を皆さんはどのように思うでしょうか。
そして現在は2.11%(令和元年障害者雇用状況の集計結果より)が民間企業の実雇用率で過去最高を更新しているものの法定雇用率2.2%の数字には届いていない。
制度がもっと手厚いものであれば法定雇用率は上がるのか?どうもそれだけが問題でもないような気がする。
そもそもバリアフリーとは?
なんとなく使っている言葉であるが言葉の意味を今一度確認しておきたい。
対象者である障害者を含む高齢者等が、社会生活に参加する上で生活の支障となる物理的な障害や、精神的な障壁を取り除くための施策、若しくは具体的に障害を取り除いた事物および状態を指す用語である。
引用:Wikipedia
物理的な障害となると、段差、階段、スロープ、エレベーター等足が不自由な方には問題となるし、目が悪いなら点字ブロック、点字の案内等だろうか。
精神的な障壁を取り除く
精神障害者の方であれば発病原因と因果があるような職務や勤怠は避けなければならないのは当たり前なのだが、これはその他の障害を持つ方に対しても精神的に苦痛となるような場面を排除する必要があると解釈できる。
これが大変難しいのではないかと考える。同じ障がいを抱える方であったとしてもその方が「何に対して精神的に苦痛を伴うか」が異なると思うし、そこまで感じなかったとしても「何に対してストレスを伴うか」というのも人それぞれだからだ。
ハンディのある方が健常者と一緒に働くために、どんなことに気をつけたらよいか
受け入れる側の視点から考えると「意識改革」であるととらえる。女性活躍や外国人労働者の雇用についての話題にも共通する事項であると思うのだが、「良かれと思った大きなお世話」は避けたい。
では、「良かれと思った大きなお世話」はどういう時によく起こるのか?
それは「思い込み」である。良かれと思ったことがあだにならないためには該当する方が何を望み、何があれば助かるのか、今よりも貢献できるようになるのかを対話を重視しながら聞く必要がある。
あとは「偏見」が起こらないよう社員の意識改革が必要である。
分け隔てなくともに協力しながら働ける体制を構築できたら理想的であるし、そのような企業文化が育てば、その他の女性活躍や外国人雇用問題に対しても一歩前進しうる気がしている。そんな偏見がないのが普通・当たり前になるといい。
ノーマライゼーションとは?
normalizationとは「標準化・正常化」、または「常態化」という英語の意味。これを日本ではよく福祉の用語として用いられる。
厚生労働省が提唱しているノーマライゼーションとは、「障害のある人が障害のない人と同等に生活し、ともにいきいきと活動できる社会を目指す」という理念である。
ハンディのある方が働き続けるために、どんな支援や取り組みが必要か
これも、人それぞれ異なるからあくまで上記に書いた「良かれと思った大きなお世話」が無いようにその方にあったカスタマイズが必要だ。
例えば混雑時を避ける目的や、通院を考慮し、時差通勤などを導入することも良いと考える。これに関しては病気の治療をしながら働く他の社員にも有益だと考えられる。
物理的な障壁を少しでも取り除くための設備導入は必要である。
では聴力障がいの方向けには何かあるのだろうか?電話応対はできないが、チャットでの対応業務などには携わることができそうだ。
また従業員とのコミュニケーションについては手話のアプリなども最近はあるので手話がわからなくてもコミュニケーションをとることもできそうだ。
視覚障がいの方向けには何があるのだろうか。最近はオンラインのコミュニケーションが増えてパソコンとにらめっこだからなかなか厳しい。
音声がクリアである必要があるからリモートワーク用のマイクなどを導入してより鮮明な音を届けたい。
ハンディがある方も働きやすい、バリアフリーな働き方とは
これはまだまだ考える余地がたくさんありそうだ。基本的には世の中に今数多く存在している「これができたらもっと活躍できるのに」という声を少しずつピックアップしていくことが最終的にバリアフリーな働き方にも活きてきそうであるが、おそらくそれではまだ足りないだろう。
健常者が考えた制度ではたぶん当事者でないと気がつかない穴がきっとある。そして、同じ障がいを持つ人同士だったとしてもお困りごとは人それぞれであるはず。
そうなると、よりよい働き方ができる職場にするには?という項目をどの立場の人からももちろん障がいのある方も発信できる社風作りをしていく必要があるだろう。
コロナ禍でのバリアフリー
コロナ禍になってからの外出時に気がついたことがあった。今までいらっしゃった車いすの方、白杖をついた方がすごく減った気がした。コロナ禍で生活が変わって苦労されていることも多いと思う。
耳が悪い方は、相手の口元をみてある程度なにを言っているか判断できる方もいただろうが、マスクで相手の口元は見えない。
目が悪い方は点字を触ることに対してコロナ禍では抵抗がある人もいるだろう。それに、ソーシャルディスタンス的な距離感も点字ブロック対応されているわけではないから距離を保つことも困難であるだろう。
大きな変革期を迎えた2020年以降バリアフリーも急ピッチの変革が急務であると考える。
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