Senshu Igarashi

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Gruen Curvex 330ムーブメントの組み立て

balance wheel(天輪)をつつくとちょっとだけ弱々しく動いてすぐに止まる不動品のGruen Precision Curvex 330ムーブメント。 分解し、main springが切断していること、埃や汚れの付着が多いこと、4th wheelのmain plate側hole jewel(四番車地板側穴石)に若干の欠けがあることなどが判明。こんなこともあろうかと、ebayで購入していたスイス製after market品の互換main springは手元にある。振りが弱

    • Gruen Curvex 330ムーブメントの分解

      デジカメ、ウォークマン、Curvex、これらには共通点がある。オリジナリティの高い製品を初期に完成させたメーカーの商標であるのに、商標自体の出来もすばらしかったため他メーカーの後続商品を含めた名称として市場で使われてしまった、という点。 20世紀前半、1940年頃までのGruen社は、米国製ムーブメントのHamilton社と並び米国市場での高精度腕時計の雄であった。Hamilton社の腕時計が鉄道時計直系の精度とE.Howardの流れを汲む技術(これは都市伝説)を背景として

      • アメリカの時計 その1

        アメリカの時計会社について、web上の断片的な情報を繋いで自分用のメモにまとめていたものを公開してみる。 あまり知られていないことだけど、19世紀末から20世紀初頭にかけて、世界最大の時計生産国はスイスではなく、日本ではもちろんなく、アメリカだった。これは国を支える産業として時計産業を奨励していたスイスにとっては大問題。どうしてアメリカではスイス製の時計が売れずアメリカ製が流行っているのだろう、と、1876年にスイス業界団体が出資してアメリカに調査員を長期派遣している。Da

        • Wyler社の自動巻き時計

          表題写真はスイスWyler社の1960年代のメンズ用自動巻き腕時計のテンプを取り外したところ。ムーブメントはETAのエボーシュ、2375ベース。文字盤の12と6のインデックスデザイン、先端が下に湾曲したsecond hand、など美しい。 腕時計というのはなんだかんだで19世紀末には存在していたらしい。主に女性向けの精度は二の次のアクセサリとしての存在で、本格的な腕時計の普及は第一次大戦で実用性が証明されてから。当初の軍用時計は小型の懐中時計のケースに細工をして、ベルトを通

        Gruen Curvex 330ムーブメントの組み立て