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前兆のサイン.3

「なんかお腹が張るんだよなぁ。出るもん出ないしなぁ。」

大腸がんの宣告の3ヶ月前、父がよく言っていた。
元々便秘症で40歳手前の時に腸閉塞をやった父なので、腸に関しては割と気にしている事が多かった。

その時期私は、里帰り出産のため、実家に1ヶ月くらいいた。
臨月間近のわたしも体力つけないといけないし、父も運動するよう心掛けていたので、週末の朝は2人で5.6キロ近く散歩をしていた。

散歩してる最中
「おっ、腸が動き出したぞ。」と喜ぶ父。
家に帰ってすぐトイレに行くも
「おっかしぃなぁ〜。出ないなぁ」と嘆く父。

私と母は、歳とった故の気にしすぎだと思い
『そんな気にしない方がいいよ!出るときは出るんだから。』と言っていた。


思えば、ここ1.2年くらいでとても父の老いを感じていた。同じ時を過ごしている母は変わらないのに。

お酒好きな父だが、酔いが廻るのも早くなってきたし、体もひと回り小さくなった気もした。
友達に『最近親の老いを感じるようになってきて、なんだか切ないわ〜』と冗談交じりだが、口に出してたくらい老いを感じていた。

今思えば、前兆のサインなんていくらでもあったのかも知れない。
だけどまさか、それが癌に繋がるなんて思わないし、"老い"という自然現象を自然に受け入れる方がすんなりいった。

タラレバを言うのが1番無意味であり、無駄な後悔しかしないから言わないけど、こうやって現実をつきだされ、今までのことを振り返って付箋を回収するのもまた、自然な事だと思う。

だけど1つだけ事実を言うならば、腸閉塞という大腸がんに繋がる危険因子を持っていた父は大腸がんの定期検診をすべきであった。

自治体によっては、50歳以上の方を対象にした大腸がん検診の無料クーポンを配布しているし、なんせ今や癌の中でも大腸がんに罹る人が1番多いのだ。
自分で自分の身体を知り、守るためには絶対に検診は受けるべき。
無料だし、何もなきゃないでハッピーだし。

ぜひ、そんな機会が訪れた人は検診を受けてほしい。

何事にも前兆のサインは絶対的に潜んでいるんだな、と父の身をもって学ばせてもらった。

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