ムハンマド5世大学の留学生登録について(どれだけ苦労するかを語りたい)
こんにちはさちです。
今、モロッコの首都ラバトに滞在しています。
このnoteでは昨日今日で私が体験したムハンマド5世大学(以下M5大)での留学生登録(?)に関して、めっちゃ大変だったのでつらつら語っていきたいと思います。
私は3年ぶりのムハンマド5世大学への派遣留学です。外大アラ科の皆さんはご存じだとは思いますがモロッコ・M5大学はかなり人気のない留学先です。アラビア語とフランス語だしね。そんな奇を衒った留学を経験したい外大生、他の国の留学生との比較がしたい方、ただただ興味のある方に読んでいただけたらと思います。
目的
9月4日にラバトのホームステイ先に着いた私。M5大学のアカデミックカレンダーを参照(Début des curs de la session d'automne 2023/24のとこ)すると、Licence(学部的な、モロッコは3年なのでLicence)は最短でも9月11日に始まることが分かったので、それまでに到着を目指して1週間前に到着しました。
事前のピンチ事項
モロッコ到着した翌日9月5日に、今まで連絡を取っていたM5大学の偉い人にメールをしました。すると、
なんと連絡を取っていた方が退職していた。まじか、やばい。
幸先不安な中、一か八かで大学に行ってみることにしました。
手続き開始1日目(9月6日)
大学の場所がわからない
M5大学を舐めていました。ホストファミリーにM5大に行きたいことを伝えると、「それならトラムの1番線に乗るんだよ」と言われたのでトラムで大学を目指します。
※トラムとはラバト市内を走る路面電車。
Ibn Rochd駅で降りてねとGoogleMapが言っているのでその駅で降りたところ、M5大学の広大な敷地にビビりました。M5大学は総合大学なのですが、学部ごとにキャンパスがあります。地図でググって出てきたM5大学はその一帯を示すものでした。
私の行くべき人文科学部はIbn Rochd駅ではなく、その一個先のCité Universitaire de Rabat駅でした。
まずここで15分彷徨い歩く。炎天下。
仕方なく道行く人間に「人文科学部のキャンパスはどこか」と拙いフランス語で聞くと、「Do you speak English?」と聞かれて救われた。
「この道を真っ直ぐ行くと着くよ」と言われた言葉を信じて突き進みます。
めっちゃ奥に人文科学部のキャンパスがありました。あるはむどりっらー。
救世主登場。この子がいなかったら帰国してた
キャンパス入って早々近くにいる学生に副学部長の場所を聞いていると、「Can I help you?」と一人の女の子に話しかけられました。
NARUTOのキャラクターはたけカカシの服を着ています。「Oh!I like NARUTO」まじでNARUTOに救われた。日本のアニメは世界共通。最高過ぎる。
どうやら中国語専攻で、日本語と韓国語を学んだことがあるこの子。
仮に琴子としよう。以前知り合った日本人が彼女に名付けた名前である。
フランス語は少ししか話せず、アラビア語を母語とし英語を話す彼女がすごく頼もしかった。
マジでずっとお世話になっている。
副学部長の元へ。彼はいなかった
副学部長の元へ向かうも、「彼は14時に出勤するよ」とのこと。大学の営業時間が16時30分までなのに2時間30分しか働かないんか?というお気持ちになった。
この時点で12時。待つしかない。
琴子も一緒に待ってくれている。ありがたすぎる。
いろんな話をしていると、彼女のベストフレンドが遊びに来た。
同じ中国語専攻で今週末から中国の大学に学士入学するため留学をするらしい。4年間。すごすぎる。
頑張って1時間30分を炎天下(木の下)で過ごす。
英語とフランス語が分からない副学部長。コミュニケーションが取れない(主に私のせいで)
やっと14時になり、彼の元へ再度向かう。
しかし彼は英語もフランス語も解さない方だった。
私のアラビア語力が低いせいではあるものの、「よくわからんアジア人のよくわからん書類にサインすることはできない」「留学って言ったってお前、そのアラビア語力じゃ授業受けても無駄やろ」「留学生用のアラビア語講座に通え。有料だけど」
こんな感じのことを琴子が訳して伝えてくれた。
その通り、その通りなんだけど在籍証明書のサインがどうしても欲しい。
途方に暮れていたところ、琴子が「アラビア語講座の先生がいる建物へ行こう」と言ってくれた。
その責任者がすごくいい人だった。
「そもそも副学部長もよくわかっていないから、まずは学部長のところへ行った方がいい」
学部長のいる場所は今まで私たちがいたキャンパス(Suissiキャンパス)とは違う、トラムに乗って数駅行ったところのAgdalキャンパスに存在する。
私と琴子、そして彼女のイトコ(小さい。多分小2くらい)と彼女の友達3人でトラムに乗ってAgdalキャンパスを目指す。
学部長の元へ。
Agdalキャンパスについた時点で15時を回っていた。
M5大学は始まりも遅いし終わりも早い。「もしかしたら会えないかも…」と琴子の友達に言われる。
受付で日本から留学しに来たこと、学部長に会いたいことを伝えると学部長もしくはその秘書の元へ案内される。
案の定怪訝な顔をされる。
私が大学とのつながりを証明できるものは、8月中旬にメールで送られてきたアクセプトレターのみ。
それを見せまわってどうにかここまで来た。
「ごめんけどよくわからんから、退職した副学部長(私が連絡を取ってた人)に連絡してみるわ」と言われ電話をかけてくれた。
ちなみにここまで全部モロッコ方言アラビア語で話されている。
前任の担当者とうまく話が繋がったようで、その方から現在の副学部長に連絡を取ってくれるらしい。だから明日またSuissiキャンパスに行けとのことだった。
学部の授業もなぜか受けられることになり、
「授業でわからないところをわかるようになるために留学生向けアラビア語講座も受けるんだよ!!」と言われた。うれしい。?
ここまでお分かりかと思うが4,5時間経っている。
その間琴子は嫌な顔一つせず、私に対してダリジャと英語の通訳をしてくれている。
トラムのお金だってかかっている。本当にありがとうしか言うことがない。あるはむどりっらー
とりあえず希望の光が見えたところで、明日11時にSuissiキャンパス最寄りに集合することを約束した。
手続き開始2日目(9月7日)
電車に乗り間違える痛恨のミス
私の住んでいる場所(なんと世界遺産から歩いて3分)の最寄り駅は、ルート①とルート②のトラムが走っている。
何も考えずトラムに乗ったらルート②だった。遅刻が確定する。WhatsAppで琴子にめっちゃ謝った。
やっとこさ大学へ、昨日とは違う対応。あるはむどりっらー
何とか15分遅刻で琴子と合流し、Suissiキャンパスの副学部長室を目指す。歩いていると2階から副学部長が顔を出してくれ「二階に来てくれー」と叫んでいた。
モロッコ方言アラビア語(ダリジャ)でOKを「ワッハ(wakkha,ハは無声口蓋垂摩擦音)」という。「ワッハワッハ」と言いながら二階へ向かう。
副学部長なので秘書が2人いて、おっかなそうな女の人と若めの女の人。
ここに座って待っててと若めの女の人の真ん前の椅子に琴子と私は座らされる。
「ちょっとお祈りしてくるわ」と副学部長が出て行ってしまった。モロッコはムスリムが多い国なので仕方ない。お祈りはとても大事なものなのだ。
彼が戻ってくると、私はすかさずトビタテの奨学金受給にもらう在籍証明書を書いてもらうよう頼む。
しかし彼は英語を解さないため、どこに何を書けばいいのかわからない。
頑張って説明して、若めの女の人が記入してくれ、副学部長のサインももらった。
「!!أهلا وسهلا في جامعة محمد خامس」
「ようこそムハンマド5世大学へ!!」
と歓迎してくれた。
「よく勉強してください!在籍証明書も毎月持ってきてくれたら書くから!頑張って!よいM5大生活を送ってね!」と急に快い言葉を頂いて嬉しくなった。
在籍証明書は頂けたのでようやく肩の荷がおりそうになるも、
・留学生用のアラビア語講座はどこで登録すればいいのか
・本授業はいつから始まるのか
この二つがまだ未解決のため、再びアラビア語講座の場所へ行く。
全てはいんしゃあっらー、ホームページを逐一確認してね
「まず、人文科学部の授業はいつ始まるのか?」
琴子は言った。「いや、わからない。ホームページにもまだ出てない。毎日ホームページをチェックするしかないのよ」そんなことあるかよと思った。大学のアカデミックカレンダーには11日から始まるって書いてあるんだよ…。
「わかるよ。クレイジーだよね。わかる」と共感を示してもらったがどうすることもできない。
アラビア語講座の登録をしにアラビア語講座の建物へ
とりあえず本授業は良いから、アラビア語の授業の登録方法だけ知りたいとアラビア語講座の建物へ向かう。
しかし担当者不在。「ここで待ってたらくるよ」と言われたので椅子に座って待つ。
琴子の友達も(2日後に出国だというのにも関わらず!)合流してくれた。日本からのお土産渡した。
20分くらいして担当者がやってきた。琴子がダリジャで要求を伝えてくれる。
「ここじゃ登録できないから、学部長のいるAgdalキャンパスに行きなさい」
また昨日と同じパターンである。
まあなんとかなりそう。いんしゃあっらー
琴子と彼女の友達に申し訳なくなりながらもトラムに乗ってAgdalキャンパスを目指す。
この時点で15時30分。望み薄である。
警備員さんに聞いたら今日は新入生の登録があるから、そこに行けばいいとのこと。
彼の言葉通りおっきいホールみたいなところに向かうと、どうやら担当者がいたらしい。琴子が話してくれた。
「登録は9月11日からだよ。本授業はいつからかわからない。カレンダーとか出たら琴子に送るからそれをさちにシェアしてあげて」とのこと。
そんなこんなで登録ができるのは来週になってからのよう。果たしてどうなるでしょうか。
琴子とその友達と帰りにフランス風のカフェに寄った。
「私らモロッコ人はフランス料理嫌いなんだよね…。タコスとかピザとか食べたい…でも挑戦するチャンスをくれてありがとう…」て言われた。えーん。
次期M5大学派遣留学生に伝えたいこと
事前に担当者と連絡を取ってもその担当者が消える可能性がある。
今回はとっっっても親切な友人に出会えたが、それがいない場合はかなり難しいと思う。
…とはいえ私はアラ科主戦2年春学期までの履修で飛んでいるため、通常皆さんが渡航する3年秋だったら、どうにかなるのかもしれない。まずはSuissiじゃなくてAgdalキャンパスで学部長に会え。Agdalキャンパスの最寄はBab Rouah駅です。
そんなこんなで大変だった2日間をまとめました。
ここまで読んでくれた人は特にオチもないですが、これからの私に期待していただければと思います。
すべてはいんしゃあっらー、琴子・その友達との出会いに、あるはむどりっらー。
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