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「リモートで映画鑑賞会しよーぜ!」「イイネ!」

映画を映画館以外で誰かと一緒に観るというのは、付き合っているカップルまたはそれに近い2人組が、夜の運動会をしたい口実作りのためによく使うらしい。

ちなみに私は一回もそんな口実作りのために映画を使ったことはないし、そういう目的で「ウチで映画でも観ない?」と誘われたことはない。誰かと映画を観るときはしっかり最初から最後まで観ている。
まぁ人生に一度は「ウチで映画でも観ない?」なんてセリフを使ってみたいものではある。

ちょっと話がそれてしまうけれど、映画でお相手を釣るとして、何の映画を選ぶのがいいのか。

私はそこそこ映画が好きな方なので、見始めてしまったら夢中になってそれどころじゃない気がする。観るのが飽きてくる作品がいいのか。いやそんな映画を観た後に気持ちが盛り上がるはずがないだろうな。何を見たら正解なんだろう。

ちょっと昔の映画だけど『セブン』を1か月前くらいに観た。若きブラット・ピット様とモーガン・フリーマンが刑事を演じる犯罪&アクション映画。事件が次々に起こるけど、なんかあんまり頭に入ってこなくて残り24分を観ていない。
なので、もしこの世に私に対して例の口実作りを使いたい人がいるとしたら、『セブン』を見せてくれれば1時間半後には飽きて、チャンスが訪れるかもしれない。

『セブン』1995年

本当に話が逸れまくって申し訳ないが、いい案を思いついた。

私はインド映画が好きでよく観る。インド映画は他の国の映画の特徴とは違ういくつかの点がある。そのひとつに、「インターバル」の表示が出るということだ。インド映画は基本的に3時間とかある長尺映画が多いので、映画の途中で「インターバル」と出るのだ。

現地の映画館では本当に休憩タイムがあるみたいだが、日本の映画館だと、その文字が表示されるだけで休憩タイムはなくぶっ通しで後半が上映される。日本の映画館でも休憩タイムを作れば、トイレに行けるし、ドリンクや軽食を買い直せるから、店側とお客さん側双方にwin-winなのにどうしてやらないんだと常々思う。

映画館はともかく、各家庭で映画を観るときはいつ休憩しようが自由だ。夜の運動会という休憩を目指しているのならば、インド映画を再生して「インターバル」が出てくるのは、なかなか都合が良いんじゃないだろうか。そこで明確な区切りができる。

そして一時停止を押す。
…2人で何もしていない状況が完成するのだ。

どうだ?良くないか?
ただインド映画は先にも述べたように長尺映画がほとんどなので「インターバル」の表示が出てくるのは大体1時間半後くらいなんだよなー。そこは頑張って見てくれ。
あと、インド映画でムードが作れるのかは疑問だ。『RRR』や『バーフバリ』のようなゴリゴリアクションだったら別方向に気持ちが盛り上がってしまうし、『きっとうまくいく』だと残酷なインドの学力競争で打ちのめされ、消えた主人公の行方が気になってしまうことだろう。

っていうか映画を口実にする、そんな面倒くさいことをしたくないって?
私もそう思う。ストレートに言え。断然早い。効率がいい。ストレートに言わない人たちってどうしてるんだろうっていう妄想をしてみただけだ。

閑話休題…。

私にはよく映画を一緒に観る友達がいる。
お互いに社会人になってから、物理的に遠くに住んでいるのでなかなか会えない。でも、一緒に映画を観たいねって話をした。

サブスクの動画配信サービスでは同時視聴ができるウォッチパーティのようなサービスもあるみたいだけど、使い方がよくわからない。なのでお互いにNetflixを開いて、電話越しに「せーの」という掛け声と共に、同時に再生ボタンを押す。単純な方法でリモート映画鑑賞会をしてみた。

映画館で見るときは黙って見るが、友達とのリモート鑑賞会では声を発している。
同室で一緒に見ている時には及ばなくても、一緒に見ている感覚はすごいある。インパクトあるシーンで友達と「スゲェ!」って言い合うのはなかなか楽しい。

見終わったあとは一旦Netflixを閉じて感想を言い合う。
この前『死刑に至る病』という阿部サダヲ主演のサスペンス映画を見たときは、

「岡田健史の顔面イケメンすぎてやばいな」
「わかる!顔ばっか見ちゃう」
「てか阿部サダヲの不気味さヤバくない?」
「えーやばい爪剥ぐところしんどかったー。被害者役の人の叫ぶ演技が凄くてゾワゾワしたー」
「あの剥いだ爪コレクションするんかと思ったら川に捨ててたよね」
「ねぇー思った」
「ロケ地宇都宮だけど街並みウチらの地元と似てない?」
「うわ分かるウチの近く、阿部サダヲの犯行現場みたいな感じの森ある」
「夜、行こうぜ(笑)」
「無理ーーーーーーーーーーー‼︎」

みたいな感じでおしゃべりした。

『死刑にいたる病』2022年

これだよコレ。
映画の醍醐味、、、、。
同じものを見たときに、それについての感想を共有するの、めっちゃ楽しい。

自分が思ったことを、相手も思ってた時とか嬉しくなるし、自分が思わなかったことや気付かなかったことを相手が言ってると新しい発見がある。
誰かと見るってのは、見終わってからも面白いんだ。

離れていても一緒に映画を楽しむことを可能にした。リモート映画鑑賞会によって。
我ながら名案だぜ。

リモート映画鑑賞会は楽しみ方がいっぱいあるなって思った。

一緒に見る映画を決める方法も、ただ話し合いで決めるんじゃなくて、2人で2つずつ候補を出してスマホアプリのルーレットを使って決める方法をやってみた。映画館に行く時とかって、予め何を観に行くか決めてから行くから、なかなか斬新だと思う。観るものをルーレットに任せて決めるのも楽しい。

この前『劇場版名探偵コナン ベイカー街の亡霊』を一緒に観た時は、その映画をまだ観たことがない友達に物語最後に出てくるオチを予想させるクイズを出した。(友達は正解できなかった^_^)

観る映画をルーレットで決めてみたり、オチ予想クイズをしてみたり、楽しみ方には、いろんな可能性がある。リモートならではのことも、もっとできるかもしれない。どんなことができそうか、探してみたい。

2010年代以降はスマホやタブレットで映画を見れるようになった。それにともなって映画の特別感は減った気がする。いつでもどこでも見れる。ちょっと聞き逃したら、すぐに巻き戻せる。途中で飽きて一時停止しても、しばらく置いても、すぐに再生できる。Netflixのようなサブスクに入っていれば、レンタルではないから返す前に見なければという使命感も湧かない。
映画が身近になったはずなのに、なんだか価値が下がっているような、そんな気もする。

人と映画を観るのは結構いい。

誰かと観ていると思うと「友達は今どんなところに注目してみてるんだろう」って気になったり、「見終わったら何を言おうかな」って考えたりするから、一人で観るより映画の各場面を大切に見る気がする。

同じ映画を再度見るのは簡単だけど、同じ相手と見る機会は少ないだろうし、もしかしたらその相手と観るのは、それで最後かもしれない。
そう考えたら特別な気分になる。


一期一会。
一生に一度のものと心得て、主客ともに誠意を尽くすべき。

映画を見る約束をしていた日、通話を始めたら「今日、一緒に映画観れるの楽しみにしてた!」って言われた。

それを聞いてとても嬉しかった。
なるほど、映画なんてNetflixとかでいつでも観れるけど、あえて見る予定を入れるから楽しみになるんだ。
楽しみな予定になるし、話す話題になる。映画を一緒に観ることの意義は大きい。

それもこれも、一緒に映画を観る相手がいてこそだ。
「リモートで映画鑑賞会しようぜ」なんて馬鹿げた提案を、面白がって快諾してくれる友達がいるのは幸運だった。

いつも一緒に観てくれている友達に感謝申し上げる。
thank you!

あ、冒頭で夜の運動会をしたい口実作りのために「ウチで映画でも観ない?」なんてセリフを使ったことはないと言った。でも、なんとなく会いたいと思った、そこまで会う頻度が多くない友人に「今度、あの映画観に行こうよ」という誘い文句は何度か使ったことがある。会ってない期間が長くなったけど、今どうしてるのかなって気になってしまった。

「映画を観よう」というのは使い勝手がいいよなぁ。全く便利な口実作りだ。

誘いに乗って来てくれた友人みんなが、その時間を楽しんでくれたかは分からないが、来てくれたことに感謝したい。
감사합니다!

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