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ストーリー創作・・短編小説を書くために読む・・オープニングライン-2

前回のつつぎです。
「短編小説の名手」オー・ヘンリーの青空文庫にアップされている5作品のオープニングラインを検討してみました。

前回は、
(1)オープニングラインがストーリーの舞台になる場所の描写からはじまる短編小説
『水車のある教会』
『最後の一枚の葉』について記事にしました。

今回考えた分類は・・・・・

(2)キャラクターの紹介からいきなり行動からはじまる
魔女のパン
平凡でさほど珍しくもない主人公の最小限の紹介が終わると、すぐに主になる行動が始まります。
タイトルに「魔女」ってありますから、冒頭で名前が出てきますと、この人が「魔女」?
タイトルがからむと、普通の名前が、よくある店がフックになってしまいます。

ミス・マーサ・ミーチャムは、街角の小さなパン屋をやっている。とんとんとんと、階段を三段上がって扉を開けると、ベルがちりんちりんと鳴る、そんな店だ。 ミス・マーサは四十歳で、通帳には二千ドルの預金があり、差し歯を二つと、いわゆる同情心を持ち合わせていた。もっと結婚運に恵まれない女性でさえ結婚していく中で、彼女はずっと独身でいた。 ミス・マーサは、このところ、週に二、三度店に来る、ある客に興味をひかれていた。眼鏡をかけた中年の男で、とび色のあごひげは、先まで丁寧に刈り込まれている。

賢者の贈り物
同じようなパターンですが、なかなか行動に入りません。
しかし、読者は、タイトルから「贈り物」というキーワードを知っています。
贈り物」っていうと、「贈る」か「貰う」かです。
また、タイトルの「賢者」って誰?って、ストーリーへのめり込む原動力となります。

いきなり、「1ドル87セント。」で始まります。
その「1ドル87セント。」の内訳の説明があり、
「明日はクリスマスだというのに。」ということがわかります。

以上の二作は、「タイトル」との絡みを巧みに生かしています。
ゴハンに、タイトルという「永谷園のお茶漬け」ふりかけみたい【ほんまやで】


罪と覚悟
この作品は、上記と同じような「キャラクターの紹介」のようにみえますが、あえて、もうひと違うパターンにしてみました。

短編小説のオープニングラインのパターンのひとつ
陰謀が埋め込まれているパターン」にあてはめてみました。

冒頭の「一人の獄卒」、すぐにでてくる「金庫破り」に注目してみました。
主人公が恩赦で出獄する段になっても、「金庫破り」じゃないと言い張る・・・読者としては、余計に「金庫破り」を期待します。【うん、ほんまやで】
これを平凡に、「当代ナンバーワンの金庫破りが恩赦で出獄した」なんてやってしまったら、どうしようもないでしょう。
やっぱ、オー・ヘンリーってすごい!

まとめ
学者でもないので、「分類」することが目的ではありません。
したがいまして、これらの分類には「学術的」要素も、裏付けもありません。
強いて言えば、「私本・分類」です。
繰り返しになりますが、学術的裏付けはありません。
ひらにご容赦を・・・・・・

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