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イモづる読書【その48】こてん!と眠れる電子書籍・・『ストーリーの解剖学』からボルヘス『伝奇集』から『ブラウン神父』ヘ・・・

「ストーリー」関連の指南書の中でも、一瞬手にとるのを躊躇する程のぶ厚い書籍『ストーリーの解剖学』・・【うん、ほんまやで】
「ぶ厚い」そのわけは、他のストーリー創作指南書に比べて「事例研究」が多いことによります。
この「事例研究」は映画に限らず、小説や戯曲も多く取りあげられています。
その中で、短篇小説「裏切り者と英雄のテーマ」(ボルヘス)がありました。(第8章  プロット→「プロットの手法・・テーマの発見」→「発見の連続性」)

ボルヘスは、とても短い短編にでさえ大きな発見を組み込みながらも、キャラクターやシンボルやストーリーワールドやテーマを損うことなくプロットで支配されない希少な作家の好例だ。・・・・・「裏切り者と英雄のテーマ」は、ほぼ発見の数々だけで成り立つている短編小説である。

『ストーリーの解剖学』第8章

とあり、発見が9ヶも掲載されています。
ここまで指摘されて読まないわけにはいかない・・・・・

こんなことを繰り返しているので、『ストーリーの解剖学』はなかなか完読できない【うん、ほんまやで】
読んでいない作家や作品を見つけると、気になる・・【ボクの悪いクセでして】
すぐにアマゾンで検索。

勝手に決めてる・・・すぐに読むプライマリー:

  1. kindleunlimitedにある

  2. 書棚かダンボールの中にある書籍(探すのがたいへん)【うん、ほんまやで】

  3. 電子書籍化されて価格が納得できるもの

  4. 紙媒体(電子書籍化されているが価格に妥協できないケースもアリ)(最近では宮城谷の『劉邦』『ロング・キス グッドナイト』など・・・・・)

アマゾン・kindle本にて「ポルヘス」で検索すると
kindleunlimitedには、
伝奇集/エル・アレフ』(グーテンベルク21)がポルヘスの代表作34篇が納められています。
目的の「裏切り者と英雄のテーマ」は、『伝奇集』第2部 工匠集(1944年)にありました。

この作品は、名のない語り部が自身のまだ知らぬディテールを秘めたストーリーを練り上げるという形で進む。

名うてのチェスタートン(優雅な推理小説の考案者で潤色者である)と宮廷顧問官のライプニッツ(予定調和を創造した)の影響の下に、わたしは、つぎに述べる筋書きを想像した。

『伝奇集/エル・アレフ』「裏切り者と英雄のテーマ」

以上の影響下で、ディテールを「発見」しながら「ストーリーを練り上げる」という物語ですから、なんのことはない「発見の連続性」自体が作品となっています。

「裏切り者と・・・・・」冒頭ともいってもいい箇所にて、「チェスタートン」がでてきます。「チェスタートン」、あるいは「チェスタトン」。

「チェスタトン」=『ブラウン神父』=BBC「Father Brown』という図式で
ひかりTVのミステリー系番組や『アマゾン プライム』でシリーズによっては無料で視聴できるので、原作を読むことなく、ドラマで済ませてきました。

これを機に、小説も読んで見ようと・・・・・
『ブラウン神父』シリーズでは第一巻ブラウン神父の童心』だけがkindleunlimitedです。『ブラウン神父』シリーズ以外では『木曜日だった男 一つの悪夢 』(光文社古典新訳文庫)もkindleunlimitedあります。

これが・・・面白い! 何故、読まずに観るだけで済ましてきたか後悔!
もちろん、江戸川乱歩絶賛のトリックも去ることながら、表現形式が、この記事のようにボルヘスに通じ・・・

ボルヘスの文学が二十世紀の前衛文学の最突端に位置することは、今日では、もう、ほぼ公認の評価になったようである。・・・
・・・G・K・チェスタートンの『ブラウン神父』物を読みかえしてみたらいい。チェスタートンなどは、たかが推理小説家じゃないかと、口をとがらせるのは、物を知らない人間のすることだが、いまは、チェスタートンの単純にして、複雑な文業について説明している余裕はない。なんでもいいから、『ブラウン神父』物の二つ、三つの短篇を読んで、ボルヘスの、そう、「アル・ムターシムを求めて」でもいい、あるいは、「刀の形」でもいい、読みくらべてみれば、そこに、おどろくほどの相似があることに、だれしも気付くはずである。・・・
・・・・五冊の『ブラウン神父』物、それに、『木曜日の男』でもいい、『奇商クラブ』でもいい、あるいは、『詩人と狂人たち』、それに、あのかけがえのない『ポンド氏の逆説』を、ぜひとも読んでみてほしい。そのうえで、ボルヘスの小説のなかから、あれこれとえらんで、たがいに共通し、また同時に、たがいに他からキッパリとみずからを区別する機微をつかみとることができれば、それはそれで、ボルヘスの小説そのものが喚起する悦びにもまして、スリリングで、サスペンスにみちた読書の楽しみを味わうことができるだろう。

ボルヘス. 伝奇集/エル・アレフ 解説より

ボルヘスからイモづるで、チェスタートンに行き着きましたが、先に、チェスタートンのブラウン神父にハマりそう・・・イエイエもうハマってる・・・・


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