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【変体仮名 ことはじめ-6】 古文書(江戸版本)を読みたい!読みたい箇所が見つからない!・・源氏物語以前の顛末-6

独学の気楽さで、名セリフや名場面だけを読んでいました。
だいたい目的が「変体仮名が読めるようになる」ですから、テキストとしてはどんなものでも構わないわけで、であるなら、気になるシーンや名セリフを原文(影印(くずし字))で読もうってものでした。
活字化された原文は翻刻(解読文)というそうですが、個性がありません。全部いっしょです。【うん、ほんまやで!】

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しかし、影印はそれぞれ個性あふれています。
何度もふれましたが、同じ文章でも「あて字」が違う!
癖なのか、故意なのか・・・まっ、両方でしょうが・・・
さらに、くずし字にも個性があり、

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とてもいきなり読み下しできるものではありません。

そこで作戦として、まず、翻刻(解読文)の書籍をさがすことです。
それを手かかりに読み下しすばかりでなく、
読みたい箇所を翻刻(解読文)で探します
原文(影印)から見つけるには、相当「変体仮名」が判別できるようにならないと、みつけるまでに時間がかかります。

翻刻(解読文)があってもみつからない・・・・・こんな失敗談がありました。
「おそかりし、由良之助」
この名セリフ、聞いたことがありますか?
巣鴨のとげぬき地蔵辺りで
集合に遅れてきた人に浴びせる言葉です
それに返す言葉は「委細承知」
さらにそれに返して「うん・・待ちかねた・・」

ご存知、仮名手本忠臣蔵の四段目
塩谷判官(えんやはんがん)切腹(せっぷく)の段

ここを読んでみたいとおもいました。
その頃、よく落語を聴いていて(CDで)、その内で、
六代目三遊亭圓生の『淀五郎』が印象に残っていて、
「近こう、近こう・・・」つっつっつっが耳に残っています。
題目は『淀五郎』ですが、世界は仮名手本忠臣蔵の四段目、
塩谷判官(えんやはんがん)切腹(せっぷく)の段 で、今でいう大部屋役者の淀五郎がいきなり「塩谷判官」役に抜擢され、「名題(なだい)」なったはいいが・・・・・という噺。

余談だが・・・(司馬遼太郎風)
前半では、当時(江戸時代)の芝居や役者の様子など解説を加えながら進行していきますが、後半に入り語りにリズムがでてくると、「ちょぼ」とか「七三」とか解説なしででてきます。
ここで一々「ちょぼ」ってますのは…なんてちゃちゃをいれると、進行のリズムが崩れます。
七三(しちさん)」は、花道で役者が見栄を切るところ。「スッポン」があるところ。舞台にも関わりがありますので、これはわかりましたが、「ちょぼ」はわからない。【うん、ほんまやで!】
セリフでもナレーションでも、観客に「?」が入るとその方のリズムが乱れて集中してもらえなくなります。
「ちょぼ」は「歌舞伎劇で使われる義太夫節のこと」だそうです。
『(早口)つんつんつんつんという「ちょぼ」で、花道から由良助が・・・七三のところで、』「ちょぼ」と「七三」をいいかえて、
『つんつんつんつんという義太夫節で、花道から由良助が・・・花道で、』
意味は通じますが、「義太夫節」って言葉が重すぎて、次にくる肝心の「由良助」が沈んでしまう。ここは軽い言葉で「由良助」に重点がいくように。
七三のほうの「花道」はまずい。すぐ前に出ていて重なる、「すっぽん」を使うか・・・いきなり「スッポン」とくると、亀に以た生物のすっぽんを思い出してしまう。【うん、ほんまやで!】
意味が通らなくても、リズムをだいじにして、【シランケド!】

(早口)つんつんつんつんという「ちょぼ」で、花道から由良助が・・・七三のところで、
が名人の技か【わすれようにもわすれられへんやんか】

・・・・・余談だが・・・(司馬遼風)が長すぎた・・・

と、いうわけで・・・・・・
仮名手本忠臣蔵の四段目
塩谷判官(えんやはんがん)切腹(せっぷく)の段
を読みたくなった・・・・・

翻刻(解読文)は日本古典文学全集 仮名手本忠臣蔵(浄瑠璃集)を参照すべきだろうが、手っ取り早く(出典不明の)PDFを使った。
・・・・・これも失敗の原因【シランケド!】

失敗 1 このセリフがない! 「おそかりし 由良助」
四段目の翻刻(解読文)をよんでみたが、ない。
しかたがないので、

「近う 、近う 、近う」
「ハツ、ハツ、ハツ、ハ、ハヽ」
「ヤレ由良助、待ち兼ねたわやい」

を読んでみようとしました。このあたりにありそうなのに
まったく当たりがつかない!

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こうなると、この四段目の冒頭から読み下していくより方法がない。
すらすら読めればいいのだが・・・・
冒頭から・・・わからん!

こういう場合は、二つの選択肢がある

1 即、撤退! (おすすめ)

2 四段目の冒頭から読み下していく

楽しくなさそうだから・・・・。楽しくないと独学は続かない・・・

次、行こう!


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