第18回ISC参加記 その4

(前回までのあらすじ)
時間が過ぎるのも忘れて楽しんでしまったシナトラは、森下駅に着いてから岡山に帰る新幹線の終電がとっくに出たことに気付く!


駅のホームで途方に暮れていると、敏樹さんが「うちに泊まっていいよ」と言ってくださった。本当に感謝に尽きません。なんか、この旅行中ずっと敏樹さんのお世話になっていたような気がする。申し訳ないとは思いつつ、行く当ても無かったので遠慮せずにお邪魔させてもらうことにした。ともかく、これで路上で凍死は免れることが出来たわけだ。ホームでイノテツさんとお別れして、2人で敏樹さんの家に向かうことに。

10時半くらいに敏樹さんの家に着き、ゆっくりする暇もなく詰将棋の話を始める。結局ここから朝の6時まで喋り続けることになった(どんだけ好きやねん)。

印象に残った話をいくつか。

【頭の切り替え】

敏樹さん「やっぱり貴方はフェアリーもプロブレムも伝統ルールも同じように作れるよね」

私「確かにそうかもしれませんね。そういえば上谷さんも、フェアリーと伝統ルールはすぐ行き来できると言ってましたね」

敏樹さん「逆に上田さんは、完全に頭を切り替える。プロブレムを始めた時は詰パラの購読をやめてプロブレムに没頭した」

ちょっと面白い話だと思う。


【若島作品について】

晩御飯の時に若島さんから見せていただいたパズルを2人で再確認しているうちに若島さんの話になり、若島さんの詰将棋ベスト50を作るなら選びたい作品はどれ?という議論をした。
私は真っ先に「2010年くらいの解答選手権10番のロイヤルバッテリーのやつ」、敏樹さんは50なら入るかもしれないけどもっとあるんじゃないかな?という感じの反応。
「じゃあ、取らせ合駒に飛の途中下車は?」「50なら入れたい」
「ルービックキューブは?」「あれは良いね」
ちなみに敏樹さんの好みは、飛の最遠移動(塚田賞)の改良図とのこと。


【添川さんの煙詰】

煙詰の大家である添川さんの話もした。敏樹さんは若い頃に添川さんの作り方を実際に見たとのこと。それによると、「駒が消える手順の塊や何らかの趣向が先にあって、正算で収束を付けて煙詰にする」らしい。具体例は『砂の城』。その作品のことだったかは忘れたのだが、添川さんがある煙詰を発表した後に収束部分が潰れていると判明したことがあった。普通に考えると煙は収束がダメならもうダメなのだが、流石は添川氏、収束の数十手だけ付け直す修正に成功したらしい。超人的である。


【デパートのツイン特集】

ツインについての議論をする中で、敏樹さんがデパートのツイン特集5作を批評してくださった。ある程度は意見の一致を見たが、やはり感覚は人それぞれ。私は馬屋原作を評価しているのに対して、敏樹さんは久保作への評価が高かった。


【プロブレム作家】

Fadil Abdurahmanovicは別格だよねという話もした。好きな作品を教えあって、さらにJanevski、Jones、Jonssonあたりの評価を再確認。敏樹さんはJonssonをそれほど評価していないらしい。敏樹さんの気持ちも分かるし、Jonssonが日本で人気なのもまた分かる。つまり、Jonssonは良質の手筋ものという感じなのである。


【相互交流】

私のYCCC発表作のアイデアの源泉が若島さんの詰将棋というのはビックリと言っていただいた。そして、その若島作のアイデアの源泉はプロブレムなのではと考えると、アイデアがプロブレム→詰将棋→プロブレムと1周したことになる。目標とする相互交流に少しだけ近づいた事例と言えるかもしれない。



もちろんこれらはほんの一部に過ぎない。書き切ることができないほどの話をして、朝の6時頃に就寝。目が覚めたら昼の12時で、お昼ご飯まで作っていただく。お世話になりっぱなし。サラダ美味しかったです!


これ以上ゆっくりしているとダラダラともう一泊してしまいそうなので昼過ぎには帰ることに。もちろん帰り道も喋り続ける。

「小林さんの家に来たことのある詰将棋作家っているんですか?」

「若島さんと高坂さん」

そのお2人に続いて3人目とはそれだけで一流作家になった気分である。

「あー高坂さんですか。あの人よく喋ったんじゃないですか?」

「貴方ほどじゃないけどね」

「ガクッ」

みたいな話をしていたらすぐ駅に。楽しい時間はあっという間である。ホームで敏樹さんとはお別れ。重ね重ねありがとうございました。

帰りの新幹線に乗って、岡山駅に着く頃には夕方に。あーめっちゃ楽しかった!来年もISC行きたい!

(終わり)


初めて旅行記を書いてみたわけですが、何か物足りないと思ったら写真がありませんでしたね(笑)。肖像権の問題とかもあると思うのですが、せめて風景か建物の写真くらい撮ってくれば良かったと反省しております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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