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交点捨ての纏め(Plachutta編)

↓の続き。


Plachuttaの定義は「同陣営の、同じ動きをする2枚の線駒の交点への捨駒」というものだ。こちらも作例を見てみよう。

自作
Twitter 2022年1月

23銀
同飛上/同飛右
13金/25金
同飛/同飛
24金/13金まで5手。

簡単な例題。2枚の飛の交点に捨てることで、どちらかのラインを止めることが出来る。

既にNovotny編をご覧になられた方にはお分かりいただけると思うが、やっていることはNovotnyと変わらない。飛と角の交点に捨てるか、飛と飛(角と角)の交点に捨てるか、その差だけの問題だ。似通った手筋なのに別の名称を与えるなんてプロブレミストは変わってるね、と思われるかもしれない。
しかし、NovotnyとPlachuttaには大きな違いがある。Plachuttaは3手詰では実現できない!その理由は明らかで、2つの線駒が同種だから。Novotnyと違い、一方のラインを切った駒がまだ目的地点に利いているのだ。

その事実は、Plachuttaテーマの中で最も有名な作品と言えるこの古典からも明らかだろう。

作者不詳

54香
同角左/同角右、
43桂/63桂、
同角/同角、
63桂/43桂まで5手。 

さて、拙作や古典を見てみると、このテーマを詰将棋で表現する際の問題点が浮かび上がってくる。それは交点捨て以降の手にダブりが生じやすいということだ。拙作では13金という手が、古典では桂を打つ手がダブっている。それを意識的に避け、Plachuttaのテーマで1作仕上げたのがこの作者だ。

小林敏樹
第12回詰将棋解答選手権 2015年

37桂、同龍、34角、同龍、57桂まで5手。
   (同飛成、27角、同龍、35馬まで)

解答選手権用ということもあって、一方を駒余りにしてある。評価されるべき作品だと思う。


Plachuttaテーマの本格作品としては『将棋図巧』第二十五番がある。ここでは解説しないが動く将棋盤のリンクを貼っておくので参考にしていただきたい。


Novotny編で見た長谷川作と同様に、Plachuttaにも2枚の線駒にCritical squareを飛び越させる事前工作を行った作品が、(恐らく)1作だけ存在する。

青木裕一
詰パラ2016年12月

47桂、
同馬、
67桂、
同馬、
56香
同馬左/同馬右、
45金/65金
同馬/同馬
65金/45金まで9手。

左右対称を使って手順前後を回避というか(回避は出来ていないが)ノーダメージにしている。これが最もシンプルな作り方ということになるだろう。しかし、左右対称を使わずに作ることができれば作品価値はさらに向上するはずだ。今後の実現に期待したい。


今回はNovotnyとPlachuttaという2つの手筋について、簡単に纏めてみた。これからこのテーマに遊んでみようと思う方の参考になれば幸いです。

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