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The Problemist 2014.9

この号ではJohn Riceによる「The legacy of Uri Avner」が必読だ。以下のマガジンの「Uri Avner傑作選」で全文翻訳してあるのでぜひ読んでいただきたい。


ということでSelected Problemsより私の気に入ったものを紹介しよう。

Vladislav Nefyodov
Special Prize Shakhmatnaya Kompozitsiya 2013

H#2 4solutions

1.Sexf4 Bh2 2.Sd3 Qxe3#
1.Sgxf4 Rh4 2.Se6 Qxf5#
1.Bxf4 Qh2 2.Bxd6 Bxd6#
1.Rxf4 Qh4 2.Rxc4 Rxc4#

最初の2つの解で、黒は線駒のラインを切り、白はQの道を開くためにR/Bを端に動かす。残りの2つの解では、先ほどR/Bが動いた地点にQが動いてロケットを作り、白Pがいた地点に突っ込んでメイトになる。
初手f4着手、白のB/RとQが同位置へ移動、全ての解で黒R/Bを取ってメイトという風に、2+2のHOTFの構成でありながら解全体にも濃い関連が持たせてある傑作。


Marjan Kovacevic
1st Prize Orbit

H#3 b)c3=wP

a) 1.Qh2 Sg2 2.Kc2 Ke2 3.Qxh3 Se1#
b) 1.Bg5 Sf4+ 2.Kxc3 Ke3 3.Bxh4 Sd5#

a)において、自然に追うと1.Qg2? Sxg2 2.Kc2 Ke2 3.?? Se1。黒の3手目には手待ちが存在しないのだ。よって初手はQh2!だったことが分かる。同様に2...Ke2まで進んだ時g2SはpinされているのでQを動かしてunpinするのだが、最終手を取り返せないようにQxh3!に決まる。
b)も構造は同じ。1.Bf4? Sxf4+ 2.Kxc3 Ke3 3.?? Sd5はtryであり、正しくは初手Bg5!とする。2...Ke3まで進んでやはりSがpinされており、それを3.Bxh4!で外してやると詰みに至る。
2手順を総括すると、tempo moveを残すための限定移動によってpinが発生し、それをunpinするためにいずれの解でもSを取って、結果Zilahiになるという構成だったのだ。配置に大きな代償を支払ってはいるものの、何とも奇妙なZilahiを表現した作として記憶に留めたい。
ちなみに、b)には1.Be3というtryがあるのに対してa)の1.Qe2+はtryになっていないという点が、解説で指摘されている。


Unto Heinonen
1st Prize StrateGems 2012

Ser-S#30

1.h4 〜 5.h8=R 6.Rd8 7.Rxd3 8.Ra3 9.d4 〜 13.d8=S 14.Sc6 15.Sxb4 16.Sc2 17.b4 〜 21.b8=Q 22.Qxg3 23.Qc3 24.g4 〜 28.g8=B 29.Bb3 30.Sa1+ Sxc3#

※Pの行進部分を省略して書いている

series-selfmateとは白が連続でn手指し、黒が白をメイトせざるを得ない局面を作るというルールだ。
力技のPGで知られるHeinonenの、センスの良さをここで見ていただきたい。2段目にいるPが成るという所謂Excelsiorを4回行うことによりAUWを実現するというただならぬテーマを、使用駒10枚で実現した素晴らしい作品である。

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